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体質が変わったので 改め 御崎兄弟のおもひで献立  作者: JUN


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チビッ子編 / 初めてのお留守番(1)怜と直と怪獣と

「とれた」

 直の妹の晴は、直に熊のぬいぐるみを突き出した。

「ん?ああ、エプロンが外れたのか。ちょっと待ってね」

 直は一生懸命に、熊が首からかけているエプロンのひもを結び直す。そしてようやくちょうちょ結びができ、晴の方へそれを突き出した。

「はい、できた――あれ?晴?」

 いない。と思ったら、絵本を読んでいた怜に突撃していって、頭突きしてそのまま滑って転がりそうになっていた。

「うわあああん!」

「晴ちゃん!危ないよ!」

 怜が顔面からスライディングしないように受け止めていたが、ほとほと困り果てたような顔付きだ。

「晴。ほら、できたから」

 熊のぬいぐるみを差し出しながら、

(これでしばらく静かになるかな。怜と本を読んでる途中なのに)

と思った。

 が、晴はぬいぐるみをぽいっと放り投げると、今度は本を引っ張り出す。

「ダメだって!破れちゃうから」

「ちょうだい、ちょうだい」

「晴!ダメ!あ」

 本を奪った晴は次の瞬間、両手でページを破っていた。直のお気に入りの挿絵のページだったのに。

「うわあああん!」

 泣きたいのはこっちだと、直も泣き出した。

「うわああん!」

 直も晴も泣き出して、どうしていいかわからなくなった怜も、泣き出した。

「うわああん!」

 これが最近の、よくある光景だった。

 そんなある日、直の母がお願いをしてきた。

「ちょっと買い物に行って来るから、お留守番していてくれる?もうお兄ちゃんだから、大丈夫よね?」

 そう言われては、できないとは言えない。

「いいよ」

「晴の面倒もお願いね」

「……うん。わかったー」

 少し不安はあったが、怜も直も頷いた。

「ピンポンが鳴っても、ドアを開けちゃだめよ」

「うん」

「電話が鳴っても、出なくていいからね」

「うん」

「じゃあ、お願いね」

「いってらっしゃあい」

 こうして、怜と直、6歳。初めての留守番となったのだった。





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