サンタさんにお願い(3)呪殺屋
僕達は蜂谷が術者への痕跡を辿る途中で合流し、術者が潜んでいる所へ向かっていた。
「ここだな」
蜂谷が特定したのは、古いアパートだった。
「1階の端だな」
アオを飛ばして確認すると、管理人室とあった。中に本人はいるようだ。
「アパート経営してるのかねえ」
「とんでもない副業だな──そっちが本業かもしれないか」
言って、すぐに確保の準備に入る。
アパートの表と裏に張り込み、令状が届き次第踏み込んで確保だ。
「相手は腐っても術者だ。気を付けて」
言って、持ち場に散ろうとした時、強烈な気配が管理人室へ飛び込んで行った。
「今のは何だ!?」
皆、ギョッとなる。
「どうするかねえ!?令状はまだだよお!」
「緊急事態だ。突入する!」
「まずくないですか、課長!?」
「責任は僕が取る!行くぞ!」
飛び出して行くとすぐに直が続き、やや遅れて他が続いた。
玄関ドアへ辿り着くと、直がすかさず札をきる。それで、蜘蛛の糸のようにドアを守っていた罠が無効化される。
「警察です。失礼します」
言い、ドアノブをひねる。鍵がかかっていたが、蹴って力任せに開けた。
抗議して来るはずの住民は、部屋で胸を押さえ、こちらに助けを求めるような目を向けていた。
「安積利和だな」
言いながら、どういう状況かと素早く見る。
安積のそばに男の霊が立って、安積を睨みつけていた。
「た、助けてくれ!」
男は怒りの表情のまま、男に手をのばす。
「ま、待ってくれ!俺は依頼されただけなんだ!恨むなら依頼人を恨め!」
安積が言うと、霊は手を止めた。
僕達もその言葉を聞いて注意を向ける。
だれだ
「安積、待て!」
止めるのも虚しく、安積が暴露する。
「母親だ!再婚するのに子供が邪魔だったんだろ。ついでに保険金も入るしな!」
「ああ。何で言うんだよお」
直が呻くように言うが、霊もしっかりと聞いた後だ。
「あなたは」
男に声をかけようとした時には、すうっと姿をけしてしまった。
それで慌てて僕達は安積に詰め寄った。
「今の話は暮林陽斗君の事か!?」
ガクガクと揺さぶると、安積が痛い痛いと抗議した。
「痛いと感じられてお前はまだ幸せだな!で!?」
安積は怯えながらもどこか安堵した顔で頷く。
「陽斗をよくもって言ってた」
依頼についてなども、引っ張ってじっくりと調べればいい。今はそれよりも、母親のもとに向かったと思われる今の霊だ。
「暮林陽斗君の家へ行く。こいつとここの捜索は任せる。直」
「はいよ」
僕と直は、暮林陽斗君の家へ向かった。
お読みいただきありがとうございました。御感想、評価などいただければ幸いです。




