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少年忍者のエスコート

 目立つに決まってる。

 時間帯的に、絶対に、目立つ。

 こんな時間に登校するのは、昔はあったらしいウサギ当番くらいだ。

 しかも、あたしはお兄ちゃんから距離を取って、曲がり角が来たらそこに隠れなくちゃいけない。

 そのたびに塀の影から顔を出して、背高い癖に小刻みのハイピッチでせかせか歩くお兄ちゃんの背中が遠くの曲がり角に消えるのを確かめてから、とぼとぼと後を追うのだ。

 人がいたら目立つに決まってるでしょ。

 だから唯一の救いは、玉三郎に邪魔をされないことぐらいだった。

 でも、世の中そうそう甘くないってことを覚悟しておくのも忍者の心構えだ。


 実際、頭の上から、声をかけてきた者がある。

「一人じゃ危ないよ。学校まで送ろうか?」

 あたしの身体に悪寒が走った。

 反射的に、ランドセルを担いだまま地面を蹴る。

 身体がふわりと宙に浮いた。

 ほとんど勘だけで、後ろの痴漢の顔面辺りにローリングソバットをお見舞いする。

 これが吉祥蓮の体術だ。

 男を守るだけでなく、男から女を守らなくちゃいけないときもある。

 だけど、あたしの蹴りは空を切った。

 ……ウソ?

 着地した瞬間、同じ声が背中から語りかけてきた。

「痴漢扱いはひどいな。君と僕の仲じゃないか」

 これでこいつが誰だか分かった。

 振り向きざまに上段蹴りを食らわす。

 だが、このノッポは目を閉じたまま、のけぞってかわしてみせた。

 しかも、当たるか当たらないかのぎりぎりで。

 いわゆる「寸の見切り」だ。

 天を仰いで余裕たっぷりにうそぶく。

「女の子がスカート履いてハイキックってのはどうかな」

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