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少年忍者の秘術

 さて、俺の読み通りなら、今頃、菅藤瑞希は排気ダクトの中を這いずってる頃だ。

 うまく行けば、講堂でブクブクに着ぶくれたほこりまみれの「なんちゃって女子高生」を笑ってやれる。

 さっき入学式が終わったばかりだから、大扉にカギはかかってないはず……。

 そう思って、再び戻ってきた講堂に入ろうとしたが、その読みだけは甘かった。

 扉は開かなかった。

 今日は、律儀な校務員さんが当直らしい。

 仕方がない。

 俺は鍼を取り出した。

 針金があれば「地獄極楽通行自在鍵」が作れないこともないが、生憎と切らしている上に、作るのは手間がかかる。

 高等部の生徒がやってくる前に、鍼でカギを開けるしかない。

 確かに、中から開錠できるのだから放っておいてもいい。

 だけど、見たいものは見たいのだ。

 着ぶくれた姿におろおろする菅藤瑞希が。

 しゃがみこんで、カギ穴に鍼を突っ込む。

 こんなの、高等部の生徒が来る前に楽勝で開けられる。

 よちよち歩きを始めた鳩摩羅衆の男がまず仕込まれるのは、錠前破りなのだ。


 だけど、これは人目がないときに限られる。

 まずいことに、廊下を歩く足音が聞こえてきた。

 耳を澄ますと、1人だけだということが分かった。

 校務員さんがカギを開けにきたのだ。

 俺の手間は省けるが、姿を隠さなくてはならないから、すぐには講堂の中に入れない。

 ……間に合うか。

 焦ると、普段は簡単にできることでもどうにもならないものだ。

 ちっ、俺としたことが!

 だから放っておけばいいのだが、こうしている間にも菅藤瑞希は講堂の中に降り立っているかもしれない。

 出現の瞬間を笑ってやるのがポイントなのに!

 今にも、講堂の床で金属の格子が音をたてるんじゃないかとハラハラする。

 でも、その音はなかなか聞こえない。

 ということは……。

 何かあったのだ。

 まずい。

 講堂の扉辺りで待ち伏せて、入ってきた最初の集団に紛れ込むのが肝心なのに。

 どうする? 

 どうする?

 考えろ、考えろ、考えろ……。

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