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倉庫の冒険

 あたしは、黄色く変色した壁紙の間を歩きだした。

 扉の外の獣志郎が声にならない声で叫ぶのは聞こえたが、完全無視だ。

 小部屋の奥に、塗装の剥がれた扉がある。

 例の「地獄極楽通行自在鍵」を差し込むと、簡単に開いた。

 その向こうにあったのは、壊れた机や椅子の積まれた物置だった。

 扉を閉めると、獣志郎を締め出したときみたいに、再びかたりと鍵が勝手に回る。 

 その奥の扉を開けて次に入った部屋は、カビ臭い布団の積まれた部屋だった。

 そんな具合に鍵を開けては、部屋を次々に抜けていく。

 古い額縁や掛け軸、理科の実験道具。

 しまい込まれたまま忘れられた道具の数々。

 その間を通って、あたしは行動裏の倉庫に裏扉から入ることができた。

 窓は、高い壁の上に擦りガラスをはめ込んだものが1つあるだけだ。

 壁沿いには、無数の木箱が高々と積まれている。

 薄暗い中にいくつも人影が浮かんでいるのにびくっとした。

 よく見れば、歴代の制服を着たマネキンだった。

 古い教科書が巨大な棚にびっしり並んでいる。

 校旗が壁にフック付きで何本も立てかけられた校旗。

 大机や彫刻の施された肘掛け椅子に大きな鏡。

 伝統ある倫道学園の歴史が埃をかぶっている。

 その他、日の丸や校章のパネルなどがきちんと整理されて置かれていた。

 その隙間を、迷路でも歩くように探す。

 しばらくして、やっとたどりついた。

 生徒手帳が並んだ小さな棚。

 革に似せたビニールの表紙に、校章が押された手帳。

 一冊取ってページをめくり、今年度のものであるのを確認する。

 よし!

 懐へ収める。

 だけど、そこで事故は起こった。

 暗い壁に一条の光が射した。

 ……え?

 振り向いてみたら、もう一つある講堂側の扉が開いていた。

 とっさに、鏡の後ろに隠れる。

 息を潜めていると、足音が近づいてきた。

 気づかれることは、まずない。

 あたしは、吉祥蓮の忍者。

 気配を消すのは忍術の基本だ。

 おまけに、薄暗い中で鏡に机や棚などが映っている。

 パッと見には、その場にあるものと勘違いしやすい。

 でも、問題はそこじゃなかった。

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