表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/150

美少女忍者のお出迎えを受けた兄

 いらっしゃい、と店のおじさんに声をかけられて、セーラー服の小柄な女の子が入ってきた。

 中等部の制服だ。

 胸の辺りを腕で覆ってモジモジしている女子に、ボブカットの白堂君は、親し気に手を挙げる。

「よお」

 よく見れば、そこにいたのは瑞希だった。

 ……なるほど、いつの間にこんな男の子と。

 中学生にしては背が高くて、眩しい笑顔は、テレビの歌番組でよく見る篠原エイジに似ている。

 瑞希もなかなか隅に置けない。

 そう思っていたら、妹は胸を抱えたまま、唸り声上げてツカツカツカッと歩み寄ってくる。

「たーまーさーぶーろー!」

 ……誰だって? 玉三郎?

 確か彼は、獣志郎といったはずだけど。

 本人も、そういうことを言い返した。

「俺の事は獣志郎と……」

「たまさぶろーをたまさぶろーといって何が……」

 瑞希は、最後まで聞いてはいなかった。 

 他の客の目もはばかることなく、怒りに震えている。

 理由は、さっぱり分からないけど。

 でも、ここで間に入れるのは僕だけだ。

「知り合い?」

 それはもう白堂君から聞いていたから、僕にとっては意味のない社交辞令だ。

 でも、そうだと言ってくれないと困る。

 僕のささやかな願いだった。

 この険悪な雰囲気の中には、いたたまれない。

 運がいいのか悪いのか、その願いは半分だけかなえられた。

「お兄ちゃん、なんでこいつと」

 瑞希の怒りの矛先は、僕に向いた。

 こうなると、確かになだめるのは面倒だ。でも、いつものことだ。

「いや、今日、帰りに芝居のことで話が盛り上がっちゃって。ああ、詳しいね、白堂君」

 もう慣れているとはいえ、テンパってるなとは自分でも思う。

 正直、何を言ってもムダなのだ。

 いったんムキになると一気に押してくる瑞希には……。

「そこでいきなり道草食ってお好み焼き屋入る、フツー?」

 そこで獣志郎君(玉三郎と言っていいのかどうかわからないけど)が割って入ってくれた。

「まあまあ、ここは仲良く豚玉でも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ