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こちら、駒桜高校将棋部Outsiders  作者: 稲葉孝太郎
第54局 再来!秋の個人戦(1日目・2015年9月6日日曜)
651/682

639手目 男子の部準決勝 葛城〔升風〕vs捨神〔天堂〕(1)

※ここからは、葛城かつらぎくん視点です。男子準決勝開始時点にもどります。

 ふぇぇ、ついに準決勝ぉ。

 ここまで来たら、優勝したいねぇ。あいてはつっくんだけど、がんばるよぉ。

「準備はよろしいですか?」

 たっちゃんの合図で、開始ぃ。

「それでは、始めてください」

「よろしくお願いしまーす」

「よろしくお願いします」

 ボクの先手番。つっくん、チェスクロポチぃ。

 7六歩、3四歩、2六歩、4二飛。


【先手:葛城ふたば(升風ますかぜ) 後手:捨神すてがみ九十九つくも天堂てんどう)】

挿絵(By みてみん)


 ここまでは予想通りだからぁ、どんどん指すよぉ。

 2五歩、6二玉、6八玉、3三角、同角成。

 角交換してぇ。

 同桂、7八玉、5二金右。


挿絵(By みてみん)


 あ、そっちかぁ。

 つっくんのほうから変化してきたねぇ。

 これも予想してたよぉ。

 今回の大会は、つっくん対策大作戦になってたからねぇ。

 研究外しはするよねぇ。

 3八銀、2二飛、7七角、4二銀、3六歩、5四歩、3七銀。

 銀ニョキニョキぃ。

 5三金、4六銀、4四金。


挿絵(By みてみん)


 強く出てきたねぇ。

 2五桂ポン戦法かなぁ。

 ボクも動かないとダメって感じぃ。

 5八金右、7二玉。

「3八飛ぃ」

 つっくんは、

「さすがに反応してくるよね。3二飛」

 と、合わせ飛車ぁ。

 9六歩、9四歩、5六歩。

「2五桂」


挿絵(By みてみん)


 うーん、けっきょくポンかぁ。

 でもでも、3八飛は、3筋で決戦の準備じゃないんだよねぇ。

「5五歩ぅ」

 右サイドを無効化するよぉ。

 つっくんは、なるほどね、と言ってから、3五歩ぅ。

 攻め合いだねぇ。

 5四歩、3六歩。

 ここで3五歩かなぁ……4四角もありそぉ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 同歩に5三歩成ってしてぇ……後手はなにをするのかなぁ?

 同銀は4三金だよねぇ。

 これで先手良し……ん? そうでもなぃ?

 3四飛、5三金のあと、3三飛で狙われちゃうねぇ。

 4三銀……それとも5四歩ぅ?

 4四角が間違ってるのかなぁ?

 やっぱり3五歩……一番ありえそうなのは、2七角、2八飛、3七歩成、同桂、同桂成、同銀、5四角成だよねぇ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 後手指しやすいわけじゃないけど……力将棋ぃ。

 つっくん、得意そぉ。

 もうちょっと考えよぉ。

 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………決定的にどっちがいいかは、言えないかなぁ。

 4四角はストレート勝負で、3五歩は変化球勝負、くらい。

「……切るよぉ。4四角ぅ」

 ストレート勝負ぅ。

 同歩、5三歩成。

「4五歩」


挿絵(By みてみん)


 ふえ? ……いきなり外れちゃった。

 4二とでもいいってこと? 時間攻め?

 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………

 ちょっと冷静に考えよぉ。

 つっくんは、あんまり変なことはしないからねぇ。

 最善手だと思って指したんじゃないかなぁ。

 でも、最善手に見えないしぃ……4二と、同金、4五銀だと、先手の銀は取れない……だからって、4二と、4六歩の取り合いはありえない……ってことは、4五銀のあと、なにかあるんだねぇ。

 すぐ思い浮かぶのは、3七歩成ぃ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 これかなぁ……だけど、3三歩の反撃もあるから、後手がいいように思えない……あ、後手がいいようになる、っていう前提が変かなぁ。後手の最善手=後手が良くなる、じゃないもんねぇ。

 互角……互角かどうかでいえば、互角ぅ?

 一直線に攻め合ったら、3三歩のあと、同飛、3四歩、4三飛、3七桂、同桂成、同飛、4五飛、3三歩成だよねぇ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 金を逃げないで5五角もあるから、むずかしぃ。

 とりあえず、つっくんに選択肢が多いから、そこを利用しちゃおう。

「4二とぉ」

 つっくんは、同金、4五銀に、3七歩成ぃ。

 ボクは3三歩と叩いてぇ、同飛、3四歩、4三飛、3七桂ぇ。

 つっくん、ここで長考ぉ。

 っていうか、ここで考えるんだぁ……不穏だなぁ。

 3七同桂成、同飛、4五飛、3三歩成の瞬間かなぁ、と思ったのにぃ。

 違う手がくるかも……5七歩ぅ?


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 これはちょっと考えたんだよねぇ。

 5七に金がうわずったかたちだと、たぶん進行に影響が出るよぉ。

 そこを読み読みぃ。

「……」

「……」

 あ、つっくん、指しそぉ。

 動いてないけど、気配がするぅ。


 ……パシリ


挿絵(By みてみん)


 ……ふつぅ。

 他の手と比較して、悩んでたんだと思うんだけどぉ。

 考えてもしょうがないから、同飛ぃ。

 4五飛、3三歩成、5五角。

 角打ちがノータイムぅ、ってことは、これを考えてたのかなぁ。

 4六銀は9九角成、4五銀のあと、5五角があるから、4六きぃん。

 そのあと、ボクの王様はちょっと危なくなるねぇ。

 斬り合ぃ?

 残り時間をチラリ。

 ボクが14分、つっくんも14分。

 ちょっと遅めのペースぅ。

 この将棋、100手いかない可能性があるから、じっくり考えたほうがいいよねぇ。

 とりあえず、ここは4六金の一手……でもないかぁ。

 5六金、3七角成、4五金もあるねぇ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 これは、馬が王様のそばに来ないっていうメリットがあるよぉ。

 だけど、飛車を渡してるっていうデメリットもあるんだよねぇ。

 積極的に選ぶ手じゃないかなぁ。

 やっぱり4六金が本線で、9九角成、4五金のあと、つっくんがなにをしてくるか、ボクがどう対応するかを考えよぉ。

 有力なのは9八ぎぃん。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 詰めろじゃないから、ボクはそこまで焦らなくていいよぉ。

 4二とと入る余裕もありそぉ。

 ただ、そこで6五桂と打たれたら、めんどくさいって感じぃ。

 6五桂は詰めろなんだよねぇ。

 あ、でもぉ、5二飛は王手だから、先着できるねぇ。金合いもないしぃ。

 そこで4八金とすれば、飛車が自陣にも利いて、グゥッド。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 ……あれぇ? そうでもないねぇ。

 5七歩が詰めろだから、受けになってなぁい。

 もしかして、4五金一択っていう読みが、間違ってるぅ?

 すなおに8八銀打で、馬を取るほうがいいかなぁ。

 飛車には逃げられちゃいそうだけどぉ。

 8八銀打、9八銀、9九銀、8九銀不成、同玉……7七けぇい?


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 7八玉、6九桂成、同玉、8五飛、4二と……後手もいろいろできそぉ。

 でも、厳密には先手が良さそうかなぁ。

 ってことは、9九角成には4五金じゃなくて、8八銀打だねぇ。

 決まりぃ。

「4六きぃん」

 つっくん、ここでちょっと考えるぅ。

「……9九角成」

「8八銀打ぃ」

「5七歩」


挿絵(By みてみん)


 あ……叩いてきた。

 これは、同金だと6五桂が厳しくなる、っていう手だねぇ。

 だけど、この瞬間に、馬か飛車を取っちゃえばいいんじゃないかなぁ。

 友だち読みで悪いけど、つっくん、今の進行に自信がなさそうだしぃ。

 手つきとか表情が、イマイチなんだよねぇ。

 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………ふえ? これ、4五金、5八歩成、9九銀、6九と、同玉なら、金銀と飛車角の交換になる……の?


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 びみょうに駒得……だけど、あんまり先手良くないかなぁ。

 金銀のバランスが悪いから、後手のほうが固いよねぇ。

 やるなら、最後の6九同玉の代わりに、4二とでどう、って感じぃ。

 あんまり選びたくないから、4五金としないで、単に9九銀かなぁ。

 飛車は逃がしちゃって、5八歩成、同金、2五飛、4二と、2八飛成、3八歩、1九龍、5九歩ぅ。


挿絵(By みてみん)


 (※図は葛城くんの脳内イメージです。)


 あれ……これもなんかイヤな感じ……。

 も、もしかして、複雑にしちゃったぁ?

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