639手目 男子の部準決勝 葛城〔升風〕vs捨神〔天堂〕(1)
※ここからは、葛城くん視点です。男子準決勝開始時点にもどります。
ふぇぇ、ついに準決勝ぉ。
ここまで来たら、優勝したいねぇ。あいてはつっくんだけど、がんばるよぉ。
「準備はよろしいですか?」
たっちゃんの合図で、開始ぃ。
「それでは、始めてください」
「よろしくお願いしまーす」
「よろしくお願いします」
ボクの先手番。つっくん、チェスクロポチぃ。
7六歩、3四歩、2六歩、4二飛。
【先手:葛城ふたば(升風) 後手:捨神九十九(天堂)】
ここまでは予想通りだからぁ、どんどん指すよぉ。
2五歩、6二玉、6八玉、3三角、同角成。
角交換してぇ。
同桂、7八玉、5二金右。
あ、そっちかぁ。
つっくんのほうから変化してきたねぇ。
これも予想してたよぉ。
今回の大会は、つっくん対策大作戦になってたからねぇ。
研究外しはするよねぇ。
3八銀、2二飛、7七角、4二銀、3六歩、5四歩、3七銀。
銀ニョキニョキぃ。
5三金、4六銀、4四金。
強く出てきたねぇ。
2五桂ポン戦法かなぁ。
ボクも動かないとダメって感じぃ。
5八金右、7二玉。
「3八飛ぃ」
つっくんは、
「さすがに反応してくるよね。3二飛」
と、合わせ飛車ぁ。
9六歩、9四歩、5六歩。
「2五桂」
うーん、けっきょくポンかぁ。
でもでも、3八飛は、3筋で決戦の準備じゃないんだよねぇ。
「5五歩ぅ」
右サイドを無効化するよぉ。
つっくんは、なるほどね、と言ってから、3五歩ぅ。
攻め合いだねぇ。
5四歩、3六歩。
ここで3五歩かなぁ……4四角もありそぉ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
同歩に5三歩成ってしてぇ……後手はなにをするのかなぁ?
同銀は4三金だよねぇ。
これで先手良し……ん? そうでもなぃ?
3四飛、5三金のあと、3三飛で狙われちゃうねぇ。
4三銀……それとも5四歩ぅ?
4四角が間違ってるのかなぁ?
やっぱり3五歩……一番ありえそうなのは、2七角、2八飛、3七歩成、同桂、同桂成、同銀、5四角成だよねぇ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
後手指しやすいわけじゃないけど……力将棋ぃ。
つっくん、得意そぉ。
もうちょっと考えよぉ。
……………………
……………………
…………………
………………決定的にどっちがいいかは、言えないかなぁ。
4四角はストレート勝負で、3五歩は変化球勝負、くらい。
「……切るよぉ。4四角ぅ」
ストレート勝負ぅ。
同歩、5三歩成。
「4五歩」
ふえ? ……いきなり外れちゃった。
4二とでもいいってこと? 時間攻め?
……………………
……………………
…………………
………………
ちょっと冷静に考えよぉ。
つっくんは、あんまり変なことはしないからねぇ。
最善手だと思って指したんじゃないかなぁ。
でも、最善手に見えないしぃ……4二と、同金、4五銀だと、先手の銀は取れない……だからって、4二と、4六歩の取り合いはありえない……ってことは、4五銀のあと、なにかあるんだねぇ。
すぐ思い浮かぶのは、3七歩成ぃ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
これかなぁ……だけど、3三歩の反撃もあるから、後手がいいように思えない……あ、後手がいいようになる、っていう前提が変かなぁ。後手の最善手=後手が良くなる、じゃないもんねぇ。
互角……互角かどうかでいえば、互角ぅ?
一直線に攻め合ったら、3三歩のあと、同飛、3四歩、4三飛、3七桂、同桂成、同飛、4五飛、3三歩成だよねぇ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
金を逃げないで5五角もあるから、むずかしぃ。
とりあえず、つっくんに選択肢が多いから、そこを利用しちゃおう。
「4二とぉ」
つっくんは、同金、4五銀に、3七歩成ぃ。
ボクは3三歩と叩いてぇ、同飛、3四歩、4三飛、3七桂ぇ。
つっくん、ここで長考ぉ。
っていうか、ここで考えるんだぁ……不穏だなぁ。
3七同桂成、同飛、4五飛、3三歩成の瞬間かなぁ、と思ったのにぃ。
違う手がくるかも……5七歩ぅ?
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
これはちょっと考えたんだよねぇ。
5七に金がうわずったかたちだと、たぶん進行に影響が出るよぉ。
そこを読み読みぃ。
「……」
「……」
あ、つっくん、指しそぉ。
動いてないけど、気配がするぅ。
……パシリ
……ふつぅ。
他の手と比較して、悩んでたんだと思うんだけどぉ。
考えてもしょうがないから、同飛ぃ。
4五飛、3三歩成、5五角。
角打ちがノータイムぅ、ってことは、これを考えてたのかなぁ。
4六銀は9九角成、4五銀のあと、5五角があるから、4六きぃん。
そのあと、ボクの王様はちょっと危なくなるねぇ。
斬り合ぃ?
残り時間をチラリ。
ボクが14分、つっくんも14分。
ちょっと遅めのペースぅ。
この将棋、100手いかない可能性があるから、じっくり考えたほうがいいよねぇ。
とりあえず、ここは4六金の一手……でもないかぁ。
5六金、3七角成、4五金もあるねぇ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
これは、馬が王様のそばに来ないっていうメリットがあるよぉ。
だけど、飛車を渡してるっていうデメリットもあるんだよねぇ。
積極的に選ぶ手じゃないかなぁ。
やっぱり4六金が本線で、9九角成、4五金のあと、つっくんがなにをしてくるか、ボクがどう対応するかを考えよぉ。
有力なのは9八ぎぃん。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
詰めろじゃないから、ボクはそこまで焦らなくていいよぉ。
4二とと入る余裕もありそぉ。
ただ、そこで6五桂と打たれたら、めんどくさいって感じぃ。
6五桂は詰めろなんだよねぇ。
あ、でもぉ、5二飛は王手だから、先着できるねぇ。金合いもないしぃ。
そこで4八金とすれば、飛車が自陣にも利いて、グゥッド。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
……あれぇ? そうでもないねぇ。
5七歩が詰めろだから、受けになってなぁい。
もしかして、4五金一択っていう読みが、間違ってるぅ?
すなおに8八銀打で、馬を取るほうがいいかなぁ。
飛車には逃げられちゃいそうだけどぉ。
8八銀打、9八銀、9九銀、8九銀不成、同玉……7七けぇい?
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
7八玉、6九桂成、同玉、8五飛、4二と……後手もいろいろできそぉ。
でも、厳密には先手が良さそうかなぁ。
ってことは、9九角成には4五金じゃなくて、8八銀打だねぇ。
決まりぃ。
「4六きぃん」
つっくん、ここでちょっと考えるぅ。
「……9九角成」
「8八銀打ぃ」
「5七歩」
あ……叩いてきた。
これは、同金だと6五桂が厳しくなる、っていう手だねぇ。
だけど、この瞬間に、馬か飛車を取っちゃえばいいんじゃないかなぁ。
友だち読みで悪いけど、つっくん、今の進行に自信がなさそうだしぃ。
手つきとか表情が、イマイチなんだよねぇ。
……………………
……………………
…………………
………………ふえ? これ、4五金、5八歩成、9九銀、6九と、同玉なら、金銀と飛車角の交換になる……の?
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
びみょうに駒得……だけど、あんまり先手良くないかなぁ。
金銀のバランスが悪いから、後手のほうが固いよねぇ。
やるなら、最後の6九同玉の代わりに、4二とでどう、って感じぃ。
あんまり選びたくないから、4五金としないで、単に9九銀かなぁ。
飛車は逃がしちゃって、5八歩成、同金、2五飛、4二と、2八飛成、3八歩、1九龍、5九歩ぅ。
(※図は葛城くんの脳内イメージです。)
あれ……これもなんかイヤな感じ……。
も、もしかして、複雑にしちゃったぁ?




