私の恋と私のサヨナラ・・・
暇なときに描いた作品なので、出来上がり・内容等は微妙だと思います。
それでも楽しんでくださるとうれしいです。
春の晴れた空の下、私は恋をした。
相手はテニス部の部長。
彼は別にイケメンという類の人間ではない。
けれど、かっこいいと私は思う。
テニス部の部長であるのにもかかわらず、暇さえあれば玉拾い。
周りに気を使い、場を和ませ、部の“誇り”的な存在である。
私はそんな浩紀先輩が好きだ。
うちの学校では、部長は2年生がやるのが決まりである。
3年生は春の大会と同時にやめてしまい、受験勉強をしなければいけない。それがうちの学校の鉄則である。
そして、もう一つの鉄則、入学時には何らかの部活に入部すべし!っというものがあり、私はそれでテニス部のマネージャーをすることになった。
そこで、私は部長に出会う。
まだ、4月28日。私は入学からたったの28日で恋をした。
人は「早い!」とか「ほんとに好きなの?」とかを言うかもしれない。
けれど、好きになってしまったものは仕方がない。
好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いである。これは自然の摂理であり、私にとっての常識である。
4月29日 土曜日
「先輩!」
「今日のメニューはなんですか?」 っと私は練習メニューを聞く。
これがマネージャーとして、1日で1番最初にする仕事。
メニューは先輩が、、、部長が決めてくれるので、それに合わせてそのようなことをすべきか、しなくてはいけないかを考える。
今日のメニューは、体操→ダッシュ(50m×10本)→筋力運動(腕立て・腹筋等)→ランニング(3㎞を18分以内)→壁打ちorミニゲーム→試合→片付け、、、
私は、ダッシュの後はみんなが疲れているので、水汲みをしに行った。
片付けが終わったのは5時半。
「お疲れ様でした」 っと1年の子たちが2年生に向かって言う。
それを聞いてから、私は浩紀先輩を含む先輩達にタオルを渡した。
すると「サンキュ!」っと和也先輩。
それに続くように「ありがとう」や「どーも」っと声がして、最後に浩紀先輩の「ありがとね」っと一言。
私は少しうれしくなって「お疲れ様」っとにっこっと笑いかけた。
テニス部のマネージャーは、私以外に3年の紗由先輩しかいない。
そして、紗由先輩は受験の関係で来ることはあまりできない。
だから、テニス部をいつもサポートしているのは私だけ…。
1年だし、頼りにしてくれているかはわからないけれど、みんなそれなりに満足してくれていると思う。
私がこんなことを思っていると、浩紀先輩がいつものお誘いをしてきた。
っと言っても、単に帰り道が途中まで同じだから一緒に帰るだけで、別に大した意味などない。
けれど、それが私の1日の楽しみの一つであった。
学校を出て一つ目の角を曲がると「なあ!今日の練習メニューどうだった?」っと先輩が訪ねてきた。
「どうって何がですか?」
私は話の意図がわからなかったので聞いてみた。
「そのまんまだよ!」
「世間的には今日からだけど、俺達テニス部は明日からゴールデンウィークに入るじゃん?」
「だから、練習できなくなるし少しキツくしてみたわけ!」
『あぁなるほど!』っと思いながら、「そうですね…」「疲れてないって言ったら嘘になると思いますけど、みんな充実してるみたいでしたし、少しキツいぐらいなら逆にやる気が出ていいと思いますよ」っと私は答えた。
それを聞いた先輩は「そう?そういってもらえると嬉しいんだけど…」っと言い、「この後、時間ある?」っと聞いてきた。
私は『まさか!?これはデートのお誘いでは!?』っというはやる気持ちを抑え、「時間ならありますよ?」っと言った。
「ならさ、近くにあるケーキ屋に行かない?」
「この間、中学の時の友達と一緒に入ってうまかったから…」
「お前、ケーキとかカロリーの高いもんダメか?」
「いやっ全然気にしないよ!!」 っと私は間髪をいれずに答えた。
すると、先輩は「そうかぁーよかった…」っとぽつりとつぶやきながら店に向かい始めた。
店の中、2人の制服を着た男女はカップルのように見えたに違いない。
私は、そんなそわそわする気持ちを抑え先輩の話に耳を傾けた。
「あいつ、健二っているじゃん?」
「あいつ玉拾いばっかしてるからかわいそうで…」 っと後輩の心配をする先輩。
私は、自分の気持ちが昂る(たかぶる)のがだんだん馬鹿らしくなってきた。
だって先輩にはそんな気持ちはない。なのに………。
『!?』 そんなことを思っている矢先だった。
先輩はいつの間にか健二君の話を終え、私の話をしていた。
「お前ってさ、気が利くし、可愛いよな…」
「え?」 私はびっくりした。
健二君の話がいつの間にか終わっていることもそうだが、なにより先輩が私をそんな風に思っていたことがびっくりだった。
「俺さ、、、お前のことが・・・綾乃のことが好きだ」
「ずっと迷ってたんだ・・・好きって言おうかどうか・・・」
「ゴールデンウィークにほかの奴等は彼女とデートとかで毎日をエンジョイしようとしてるし、なんか俺だけ置いてかれてるような気がしてさ…」
「だから、、、その、、、、それに押される感じで、告白しようと決めたんだ…」
「けど、誰でもよかったわけじゃない…」「お前が、、、」
「俺は綾乃が良かったんだ…」
「こんな俺だけどダメかな?」「付き合ってくれないか?」
そんな…!!自分の耳が信じられなかった。
浩紀先輩に告白されるなんて…。
ありえない…ありえないよ…。
私はそう思い、2,3度目をパチパチした。
けれど、どうやら目の前で起きていることは現実であり、私の妄想などではなかった。
だから「もっ、もちろん!!」私は叫ぶように答えた。
すると「ほんとにか?ほんとにか?」っと聞く先輩…。
私は頬をほんのり赤く染め答えた。
「いいですよ…私も先輩のことが好きですし…」っと――――――――――――――。
私は告白のOKして、明日デートする約束をして、浩紀先輩にバイバイをした。
しかし、浩紀先輩がデートに来ることはなかった。
ケーキ屋を出たのが7時前…。
それから「家まで送るよ」っと言い、私を家まで送ってくれた。
その後である。
浩紀先輩は自分の家に帰る途中、車に轢かれて亡くなった。
車の運転手はお酒を飲みまくり、意識が朦朧とする中運転し、赤信号で信号を突っ切った。
そこを渡っていたのが浩紀先輩である。
私は亡くなってしまった浩紀先輩の葬儀に参列し、お別れを告げた。
想いを一緒にすることができたのはたったの数時間だったけれど、確かに浩紀先輩は私と一緒の時を過ごしていた。
悲しくないはずはない。
けれど、いつまでもクヨクヨしてはいられない。
だから私は泣きたいだけ泣いて、そっと涙を拭いた。
そして歯をグッと噛みしめて、私は笑ってみせた。
泣いても仕方がない。なら先輩のためにも、、、浩紀のためにもこれからを笑って生きよう。
それが私が浩紀にできる唯一のことだと思ったから…。
綾乃の想いは伝わりましたか?
少し悲しいお話だったと思います。
才能がないので涙は出なかったと思いますが、綾乃の想いを伝えることができたならうれしいです。