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1000円

作者: ふぁい

女の子がお金が足りず、バスから降りられなくなっていた。

おばあさんは、心配に思い女の子に1000円を手渡した。「これで足りる?」「うん!」女の子は笑顔で答えた。


バスから降りた後、「ありがとうございます。」と何度も頭を下げられた。「1000円返すので、待っててください!!お金は、大事ですから!!」と女の子は言った。おばあさんは、「たった1000円くらいいい」と言った。だが、女の子は強い意志でお金を返すと言うが、もう暗くなってきていたので、「明日、同じ時間にここに来る?」と尋ねる。

おばあさんは「来る。」と答えた。

女の子とおばあさんは連絡先を交換しその日は家に帰った。


次の日


おばあさんは期待していなかった。

ところが、女の子からメールが届いた。


「今、1000円もって家出たよ!!」


おばあさんは驚いた。まさか本当に返してくれる気でいたなんて。

それから、女の子は、その日一日の行動を全ておばあさんに伝えた。


「今から1限目始まる」 「今から友達とお昼ご飯」

「今から体育!!」 


おばあさんはその報告が嬉しかった。半年ほど前、長年連れ添った旦那が天国へ行ってしまったため、一人寂しく過ごしていたからだ。


「SHR終わったからこれから行くね!!」


おばあさんは、昨日女の子と別れたバス停に向かった。


しかし、その連絡以降、女の子からのメールが途絶えてしまった。おばあさんは、心の底から悲しんだ。仲良くなれると期待していた分、弄ばれたような心持ちになったからだ。


翌日、新聞のニュースを取り上げる紙面には、女の子が事故で亡くなってしまったことが記されていた。「自分のせいだ。」と思った。おばあさんは必死でその女の子の家の電話を突き止め、母親と連絡を取ることに成功した。そして、家に尋ねることになった。


母親は、彼女が毎日つけていた、という日記をおばあさんに見せてくれた。


○月○日

今日は、バスに乗ったけど、お金が足りなくて降りれなかった!!でも、すごい優しそうなおばあさんがお金を貸してくれて助かった!!すごい断ってたけど、明日必ずお金返すって伝えて連絡先を交換もしたから大丈夫なはず!!小さい額だけど、お金って大事だし、おばあさんの好きなことに使って欲しいもんね!!


おばあさんは、こんなに心の綺麗な子がいるのか、と感動し涙を流した。日記なんて自分しか見ないのだし、多少の愚痴や言葉遣いなどその人の闇が垣間見れるものだと思っていたからだ。だが、女の子の日記にはそんなことは一切書かれていなかった。


おばあさんは、「少ないですが」と封筒を差し出した。母親は、「事故は、運転手の居眠り運転です。あなたのせいではありません。」と涙ながらに言い、封筒を突き返した。封筒にはお金が入っていた。「このお金は、あなたの好きなことに使ってください。娘もそう言っているので、」母親は、涙こそ流していたが、女の子のような屈託のない笑顔でそう答えた。おばあさんは、親子だなぁと思った。余計に涙が流れた。


一年後


おばあさんは、地元の合唱クラブに加入した。昔から歌うことが好きで、入ってみたいと思っていたが、(子どもがいるから、旦那を置いて自分だけ好きなことをするのは、)と手を出せていなかった。おばあさんは、自分でも一回会っただけの女の子にこんなにも影響されるとは思ってもみなかった。だが、おばあさんは、毎日がとても楽しいと感じていた。自分の好きなことをすることの喜びを知った。合唱クラブで友達もでき、孤独を感じることは減っていった。おばあさんは、女の子に感謝し、定期的に母親の元へ通うことにしている。


その合唱クラブには集金があるのだとか。金額は、一ヶ月「1000円」だそうです。

今日の夢の話をちょっと盛った話。結構マジのことです。

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