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第二話 乱闘、そして空飛ぶ火吹きトカゲ 急

施設の前で、三人は揉め事をしていた。


「帰る」


「まあまあ待てって」


康之を引き止める大貴。康之はそれに反発する。


「お前、三人で百層とか正気じゃねえから。サポーターとアタッカーとタンクそれぞれ十人ぐらい集めてからじゃないとここは話にならないな」


「大丈夫大丈夫」


「アホか、死にたいなら一人でやってろ」


大貴に掴まれた腕を振りほどき歩き出した康之。大貴と幸太郎はお互いを向き合って肩を竦める。


「しゃーねーか」


「まあ…何とかなる」


「…お前ら本気か?」


「ああ」


「…ったく」


数分後、三人は隔壁と隔壁の間の部屋に居た。それぞれ魔道具を装備し、装填する。


幸太郎と康之はステイトインクが黒のものを使っており、大貴はバイクに乗っていた。


「お前さぁ…」


「いいだろ、さっき支部から借りてきた」


康之は呆れる。もはや小言を言う気力もないようだ。


「一ノ宮、羽山。俺から離れるなよ」


「はぁ…言っとくけど、俺がヤバいと思ったらガチでその場で帰るからな」


「ういー」


隔壁が開かれると共に、大貴のバイクが全力で疾走する。それに幸太郎は追従し、少し遅れて康之もついた。


百層魔窟とは、ダンジョンの一種である。特徴は小さい一階層に一匹または一群れの魔物が存在していて、百層目にボスモンスターが一体いるという点だ。


(なんて速さだッ)


魔力線に耐えるため、装甲に鉛か含まれている。それが重しになって高速移動が出来ないとはいえ、一般的な装動歩兵より何倍も機動できると康之は自負していた。


しかし巧みな運転でモンスターを轢き殺しながら下の階へと進んでいく大貴に康之は涼しげにそれを追尾する幸太郎の横で内心必死である。


あっという間に最下層へ到達する三人。部屋の外周をぐるりと回っている螺旋階段に沿って百階目に降りると、そこは他の部屋とは異なって非常に広い造りになっていて、暗闇が空間を支配していた。その中から一つ、ピカっと閃光が光る。


ドガーーーーーーーーーッ!っとビームが三人に向かって放たれた。爆発の後、しばらくしてからその粉塵から現れる三つの影。


バイクのライトが光る。大貴は空中でバイクの形態を変えて空を飛び、下方に照明弾を発射した。光に晒されたのは、恐竜のような巨体と羽、そして赤い鱗。ドラゴンだった。


衝撃波のようなドラゴンの咆哮が、三人の皮膚と鼓膜を刺激する。


「照明が消えるまでがタイムリミットだ!」


大貴の声を合図に、幸太郎と康之は装甲をパージした。そして残像を残しながら高速での機動を開始する。


ズドドドドッ…!!!


ドラゴンの全身を打突する音が響いた。しかし全身の厚い鱗がそれらをダメージに至らせない。


尻尾を大きく振り、空を飛ぶ大貴とバイクを叩き落とそうとするドラゴン。それを避けて、大貴は機銃で目を狙った。


「グオオオオオオオッ!!!!!!!!!」


雄叫びと共にドラゴンは飛び上がり、口から炎を吐き出す。火に紛れてドラゴンの背後を取った三人は、壁で一息ついた。


「どうする?」


「もう時間がない、眉間に全火力を叩き込む!」


ドラゴンが後ろを振り向き、三人を確認する。そして口を大きく開くと、またビームを放った。


爆煙の中からそれぞれの方向へ飛び出す三人。大貴はドラゴンの方へと向かう。


「グオオオオオオオ!!!」


ドラゴンは大貴に噛み付こうとした。それをヒラリと避ける大貴。ドラゴンは反転してそれを追いかける。


「ふんッ」


壁にぶつかる直前で大貴は九十度上を向き、激突を回避した。ドラゴンはそのまま壁にぶつかる。


そして後ろを振り向くと、放たれた六発のミサイルがそれぞれ無数に分かれ、ドラゴンの全身を焼いた。


正面の大貴の両脇に、幸太郎と康之が跳び上がる。空中で一瞬静止すると、次の瞬間、稲妻を残してドラゴンの眉間に飛び蹴りを炸裂させていた。


「ギャオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!」


ドラゴンの咆哮を他所に、ブースターを起動してバイクから跳び上がる大貴。全身にスパークをまといながら空中で一回転して右足を突き出す。


そして大貴が二人の間、ドラゴンの眉間に着弾すると、壁がドラゴンを中心として大きくひび割れた。三人は跳ねて空中に返り、着地する。


ドラゴンの額に『θ』の紋様が浮かび上がり、頭が小さく爆ぜた。力なく地面に落ちるドラゴンの体。


その衝撃で、口から人間大の赤い石が吐き出された。大貴はポーチから黒いステイトインクを取り出してそれに投げつけると、黒い皮膜がそれを覆い隠す。


「やったな」


大貴と幸太郎はハイタッチをする。そして二人は康之にも手を向けた。


「ほら」


「照れんなよ」


(コイツら、一体…)


康之は呆気に取られた様子で、すんなりハイタッチをする。そしてドラゴンの死骸に目を向けると、もう一度今度は自分の頬を強化皮膚越しに叩いた。

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