星を観ながら航海をしている
GPSなんて便利な物は存在しない。
不正確なコンパスと、妄想で描かれた海図を携えて。
嵐の中、軌道修正を繰り返しながら帆を張り舵を切る。
旅立つ瞬間には見えていたはずの目的地が見えなくなり、どうしようもなく不安に付き纏われる。
進んでも景色が変わらない。
振り返るとすでに陸地は跡形もない。
果たして本当に、そもそも前に進んでいるのだろうか。
もしかして魔に囚われて、永遠にこの何もない洋上を彷徨うのではないかと、嫌な妄想が全身に絡みつく。
創作をしていると。
いや、そもそもこの世界に存在する時点で、その宿命からは逃れられないのかもしれない。
どうせすぐに難破する。やるだけ無駄だと恐怖に怯え、馬鹿馬鹿しいと去勢をはって陸に留まるのも仕方ない。
無謀な若者に声をかけ、時に自らが逆風そのものとなり、旅立つ者を食い止めようとする。
そんな彼らは過去に夢見た偉大な敗北者なのか。
あるいは海の怪物を怖れるあまり、足がすくんでしまったのだろうか。
それはきっと、これからもそう。
いや実のところはどうだろう。
もしかしたらGPTがGPS代わりになるのかもしれない?
未来のことはわからない。
いつの日か、星を観ながら航海する者が、時代遅れと嘲笑われるようになるのかもしれない。
いつだって若く、最新技術に取り残されたくはない。
だけどボクが目指したあの星々は、かつて憧れた人そのものだった。
届きもしない夜空に手を伸ばし、今日も新天地を目指して汽笛を鳴らす。
ぷぉーん!