表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/33

第6話 団体訓練(後編)

 真島先生の開始の合図を皮切りに各クラスの生徒たちが動き出す。


 4組の先陣を切ったのはやはり赤月だった。


 赤月は3組の強化系能力者達と拳を交えている。


 敵が何人いようが関係ないと言うかのように四方八方からの攻撃を捌き切っているのは流石だ。


「近接戦闘が得意な能力者はみんな迅に続いて!そして遠距離系能力者はそれを援護して欲しい!」


 少し離れた所から剣を構えながら指示する天上院の姿が見える。


 結構ありきたりな指示だがクラスのほとんどが一応は天上院の言葉に耳を傾けている様だ。


 まぁ俺自身は天上院の言葉をあまり聞く気はなく、目立たずに退場できる方法を考える。というのも俺は平穏な学生生活を送る為に目立つことはできるだけ避けたいのだ。


 だが最初のうちに退場してしまうと逆に悪目立ちしてしまう為機をうかがう事とする。


 俺がそんな事を考えていると、突如横から水や炎の攻撃が俺に向かって飛んできた。間一髪といったところで後ろに飛び退くと俺の目の前を水や炎の攻撃が通り過ぎていく。


 俺は攻撃を避けながら俺に向かって攻撃を放った人間を探してみる。すると案外簡単に敵は見つかり、俺の方をガン見しながら攻撃を放ってくる二人組がいた。


 休む間もなく二度目の攻撃が俺に向かって飛んでくるが、どこから攻撃をしているか分かれば避ける事は難しくない。次から次へと飛んでくる攻撃をステップを踏みながら避けながら、徐々に敵と距離を詰める。


「くそっ!」


「なんで当たんねえんだ!」


 俺に攻撃を放った二人組は俺との距離が近づくと少し怯えたような表情をする。


 先に水を放ってくる生徒との距離を一気に詰めて顎を蹴り上げて失神させる。腕輪もたった一撃しか入れてないはずなのに壊れてしまった。


 それを見た炎を扱う生徒はパニックになってしまったのか無我夢中といった感じで炎を放ってくる。適当に放つ攻撃など当たるはずもない。俺は軽々とそれらを避けながら周りを見渡す。


 まだ始まったばかりのはずだが既に何人かの生徒は退場しており、俺が今退場したところで目立つ事はないだろう。


 俺はそう考え、炎の攻撃を避けるのをやめあえて攻撃を喰らってみる。腕輪がある限り死ぬ事はないが、痛覚は残ってるらしくめちゃくちゃ熱い。


 一撃で退場できたら楽だったんだが残念な事に一撃で腕輪は壊れず、その後何発か喰らってようやく腕輪が壊れた。炎を扱う生徒の頭にはてなが浮かんでる気がしたがそれを無視して場外へと移動する。


 既に退場してる生徒たちは雑談などに興じていた。


 瞬も既に退場していた様で俺が歩いてくるのをみると苦笑いしながら近づいてきた。


「お疲れ、一樹」


「あぁ、お疲れ」


「にしてもあの二人凄いね。あの二人だけで結構な数の敵倒してるよ」


 そう言った瞬の視線の先には、体に雷を纏った玲音と圧倒的な力で近寄ってくる敵を瞬殺してる赤月の姿があった。


 二人の戦いぶりには思わず無言になってしまった。


 玲音は雷を纏った拳で敵を何回か殴り反撃させる隙を与えずに腕輪を壊す。赤月の場合はそもそも一撃で敵を倒してる為異能でのゴリ押しが凄すぎる。


 一騎当千という言葉はアイツらのためにある様なものだろう。


「もうそろそろ10分経つね」


 玲音や赤月の戦闘に夢中になっていて時間を気にしていなかったが、瞬の言葉で校舎の方にある時計をみると確かに開始時刻からそろそろ10分が経とうとしていた。


 真島先生もチラチラと腕時計を確認している。


 気づけば4組はもう玲音と赤月以外の生徒は退場してしまった様だ。


 3組の生徒の方はまだ残っており、今回は4組の敗北だろう。


 流石に体力も限界に近いのか4組で残っているあの二人も数分前と比べてキレがなくなっている。


 するとそこでついに真島先生が声を張り上げた。


「そこまで!両クラスともよくやった。まだ戦闘途中だった生徒達は腕輪を返しにこい」


 玲音が腕に装着していた腕輪を外して真島先生の横にあるカゴに入れると俺たちの方に向かって笑いながら歩いてきた。


「お前ら早く退場しすぎじゃね?もっと頑張れよ」


「そう言われても僕たちは玲音みたいに戦闘に特化してる異能じゃないしね」


 瞬は俺と目を合わせて苦笑いするとそう答えた。


「でも玲音はすごかったね。あんなに人を倒しててさ」


「確かにな。3組の奴らは誰もお前の事止められていなかったぞ」


「まぁ結果的には負けてるのが悔しいけどな」


「それは玲音のせいじゃなくて僕たちのせいだから気にしなくていいと思うよ」


 俺たち三人が先ほどの戦闘について話していると、真島先生の大声が聞こえてくる。


「今すぐ俺の周りに集まってよく聞け。これから先ほどの団体訓練の反省会を行う。そのあとはクラスの中で二つのチームに分かれて戦い、最後にまた3組と4組で戦い今日の授業は終了とする。3組は俺から見て右側、4組は左側を使え」


 それだけ言うと真島先生は3組の方へと歩いていった。


「それじゃ、みんな集まってね。これから反省会をするよ」


 俺たち4組は真島先生に指示された場所に行き、早乙女先生を囲う形で集まる。


 全員が自分の周りに集まったのを確認してから先生は口を開いた。


「いくつか言いたい事があるんだけど、まず天上院くん、なんで非戦闘系能力者の子達を後ろに下げたのかな?」


「えっと、それは非戦闘系能力者は戦う力を待っていないので早くに退場されてしまうよりも生存させた方がいいと思いました」


「先生朝言ったよね?武器は使えるし体術も身につければいいってさ。これは訓練なんだから勝敗にこだわらずに非戦闘系能力者の子達を前線に出して経験を積ませて欲しかったかな」


「・・・・・・はい、すみません」


 天上院は自分の指揮にダメ出しされて落ち込んでいるのか少し俯いている。


「次にこれは全員に言えることなんだけど、みんな真っ直ぐに動きすぎだよ。赤月くんと山神くんは良かったけど、それ以外のみんなダメダメだね。一人で突っ込まずに周りの味方と協力して2vs1や3vs1の状況を毎回作れれば結果は違ったかもしれないね」


 ほんわかしてて優しいイメージだった早乙女先生にこれほどまでに言われてクラスのみんなの表情が暗くなっている。


「でも皆にはまだまだ伸び代がたくさんあると思うからどんどん鍛えていっぱい強くなろ!」


 早乙女先生は辛辣なことも言うが生徒達がやる気になる様な事も言う。飴と鞭の使い分けが上手いと思う。


 早乙女先生が適当に二つのグループに分けてからすぐにクラス訓練を開始した。


 非戦闘系能力者も次はちゃんと武器を持って振り回している様だ。


 俺は自分の偽っている能力が怪しまれない様に圧倒的なスピードで相手を翻弄して倒していく。俺の場合はただの身体能力でしかないがそれでも他の人に怪しまれないレベルには身体能力の高さには自信があるつもりだ。


 俺たち4組はその後の訓練で、クラスメイト同士でお互いアドバイスなどをし合いながら訓練に臨んだ。


 それを証明するかの様に、最後の3組との団体訓練も勝利を収める事ができた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ