第25話 過去①
俺は夢を見ていた。
それはちょうど今から8年前の夢で、「僕」が「俺」になった時の話だ。
小学二年生になってから二か月が経った頃に俺は母から紹介したい人がいるから早く帰ってきなさい、と言われた。
この頃の俺は天真爛漫で好奇心旺盛、今とは違いよく笑っていた記憶だ。
両親は異能を研究している研究員であり日中忙しそうにしていたが、それでもこの頃は俺と一つ下の妹がいたから平日の夜や休日は家で過ごしてくれるような優しい人たちだった。
父も母も容姿端麗で、とても二児の両親とは思えない美しさも持っていた。
少なくとも俺と妹はそんな両親が大好きでよく甘えていた記憶だ。
俺はその日母の言いつけ通りに妹の手を引きながら普段より早めに帰宅した。
俺が家の玄関を開けると奥のリビングからは普段の家とは違う楽しそうな声が聞こえてきた。
俺は「ただいまー!」と言ってから、靴を素早く脱ぎ捨ててリビングの扉を開ける。
するとそこには両親以外に見知らぬ美しい男女が2人、人形みたいに可愛らしい女の子が1人テーブルについていた。
それが俺とソフィの初めての出会いだった。
遅れてやってきた妹は相変わらずの人見知りを発動して俺の後ろへと隠れてしまう。
そんな妹を見てうちの両親は苦笑いをしながら俺たちの事を相手に紹介した。
「こっちが兄の一樹でこっちが妹の葉月よ。一樹とは同い年だし葉月とも年齢は近いから2人と仲良くしてあげてね、ソフィアちゃん」
母はソフィの背丈まで屈んでそう言った。
ソフィはコクっと俺と妹──葉月の目を見ながら頷いた。
ソフィの目は何でも見通してそうな恐ろしさがあったが、しかし美しい赤眼でもあり俺は吸い込まれるようにその瞳を見つめてしまう。
また俺はソフィの容姿を見て目を離すことができなかった。
ソフィの容姿は幻想的な美しさを持っており、今までにここまで美しい少女を見たことがなかったのだ。
俺がソフィの美しさに見惚れていると両親の前に座っていた男性が立ち上がり俺と葉月の前に来て挨拶をする。
「初めまして、一樹様、葉月様。私の名前はカイル・ブラッディローズ。君たちの両親の配下だと思ってくれて構わないよ。そしてあっちにいるのがアリア・ブラッディローズで、私の妻だ。夫婦で君たちの両親にはいつもお世話になっているよ。それでこの子が私たちの娘ソフィア・ブラッディローズだ。一樹様と同い年だから仲良くしてくれると助かるよ」
カイルと名乗った男性の言葉からは優しさを感じた。
見た目は結構若く見えるが、仕草の節々からは気品を感じられたし、俺たち子供に対しても強い口調を使わず対等に接してくれたことから俺と葉月の第一印象はよかった。
ソフィの母のアリアさんも笑顔がよく似合う女性で容姿もソフィとよく似ていて美しく、優しそうな女性だった。
「一樹、ソフィアちゃんと葉月を連れて公園にでも遊びに行ってきたらどうだい?僕たちは大事な話があるからね」
「分かった!2人とも行こう!」
俺の父、龍崎賢一の言葉で、俺はソフィと妹の手を引いて公園に行く事にした。




