幼ロリ4終(4300字)
ちょい長めです!最後まで楽しんでご覧ください!楽しませます!!
セラはハッと目を覚ます。
真っ暗な視界の中、グリングリンと頭を動かして伸びをしようとしたが、手足が動かない。
「 ……??」
セラは真っ黒でドロっとした存在に手足を縛られていた。
セラの一瞬の恐怖をきっかけにドロは腕のような形の肉塊をセラの体に這わせる。
「……っ!! あぁ……」
ひんやりとして煤けた塊がさらにセラをきつく束縛する。
声にならない痛みが込み上げ、セラの目に涙が溜まる。
それでもセラの知っている聖女はこんなことで音を上げない、最後まで希望を持つ事ができる人物だ。
セラは込み上げた涙を飲み込み、かぶりを振って強く自分を鼓舞した。
自分を震え上がらせる毎に、ココロの顔が思い浮かぶ。ココロならばここで怖れたりしない、この状況を打破するために対抗策を考えるだろう。
セラは首元まで上ってきたドロにガブリと噛み付く。
ドロの全体がびくんと脈打ち、全ての塊につながりがあるのだとセラは感覚的に理解する。
「はっ! じゃあ! あ~むっ!」
セラは塊を全力で噛み千切った。
小さな噛み傷ではあるが、ドロに激痛が走った証として体がジタバタと暴れ回り、徐々にセラを縛る肉の部分が硬く緊張し始める。
「ン~ッ!! すっごいカタいです……」
それでも尚噛み千切ろうとする口を止めないセラに対し、ドロは陸に出た魚のような身体のバネで抵抗する。
どれだけギンギンに硬直しようが、セラの無邪気な顎の力には敵わず身もだえするような激痛が再びドロに駆け巡る。
いい加減ブチ切れ、ドロの肉に血管のようなスジが浮かび上がった。
「ンぶっ…! んグッ、お゛ぉ゛……」
セラの喉にぶっとい肉の棒がぶち込まれる。あごを疲れさせてもう噛まれないように、というドロ側のファインプレーである。
小さい口の中がぱんぱんになる程の本数の触手であごを拡げさせ、セラの口角から唾液が漏れる。
息もできないほどの激しい猛攻、抵抗するセラの思いも空しく、為す術ないまま下半身にするりと触手が伸びていく。未成熟なふくらはぎや太ももに絡みつきながら、ドロは両脚を開かせた。
セラは、まさか……、とこれからされるであろうアレコレの驚愕や恐怖に頭が支配される。
(あぁ、サれちゃうんだ……)
ドロはセラの靴を脱がして、無防備な足の裏をくすぐる。
「アハハハ!! はっひゃいれふっ! みにばんさけかすあいこんさらされまひたっ!」
触手を咥えたままで逃れられないこそばゆさに悶える。あまりの刺激に耐えられずにセラは涙が出るほどの大笑いをしてしまった。
「もっ、もうラメェ……!! られかぁ、はふけてくらはいぃ!……」
セラの懇願を聞きつけてか否か、真っ暗だった空間が割れる音とともに一筋の光が差し込んだ。
「――セラ…! 助けにきたよ」
やさしい声の持ち主は腕や脚がすらりと伸び、大人びた姿であっても笑顔に幼さが残る少女。その手の平が救いを差し伸べる光景は神々しく、幼聖女の目に鮮烈に映った。
「―――かみさま……?」
魔法の光に包まれて舞い降りる様は、まるでステンドグラスから差す朝日のようでセラが崇拝する神のように見えた。
セラの全身が黒い影に飲み込まれる。ココロの登場に反応したドロが活発に動き出したのだ。
黒い触手が幾重にも連なってココロを襲う。ココロの身体が一瞬にして闇に覆われていった。
「……やっぱり。相手のイヤなこととか恐怖に反応して行動してる。」
ココロは触手に手をかざし、静かに全てを切り裂いた。
「まあさっきの像みたいに全部壊せば恐怖することもないけど……」
切られた口から薄黒い粘液を噴出させながらドロは弾け飛ぶ。ココロは真っ先にセラのもとまで飛んでいった。ドロの拘束が解けたセラは先程の攻撃に巻き込まれて弱っているようだ。
「セラ…、しっかりして…」
「……かみさま…っ。……ケガ、セラが…なおし、て――。」
ココロの頬に付いた切り傷をセラは撫でた。気絶したセラの小さな肩を抱いてココロは立ち上がる。
――そのとき、飛び散った触手が再び収束をした。
鋭利に尖った肉の先がココロの周囲を取り囲む。呼吸を揃えて一斉に襲いかかってきた。
「――【障壁▪三枚展開】!!」
ココロの不意を突きガチンと硬い物同士がぶつかる音が響いた。三角形のバリアを連ねて周囲を守るのは和希の新魔法である。
「よし! ちゃんと使えた。遅れて登場でごめんね」
和希は狭いバリアの中で声をかける。ココロは少し不服そうに表情をしかめた。
「…別にピンチでも無いから助けなくて良かったのに」
「えーまじか」
和希の障壁に突き刺さった触手が、力で押して障壁にヒビを入れ込む。
「あっやばいかも……」
「もう。ちゃんと修業で極めてきてよ。」
「ごめんごめん。」
ココロは和希に代わり、より強固なバリアを発生させる。バリアは少しずつ領域を広げ、遂には触手の力を周囲に押し返した。
「すっげ。ありがとね」
「どいたま。」
気の抜けた会話の後にココロは空中へ飛び上がり、光の矢をそれぞれの触手に向けて放つ。間髪入れずに繰り返される攻撃でありながら、触手は止まらず再生し続けている。
「さすがに本体は手強い……。」
ココロはしばしの沈黙ののち、成り行きでセラの身体を預けた和希のもとへ舞い戻った。
「かずき、あいつを倒す秘策があるんだけど、」
「おっ、なになに?」
「簡単にいうと、ベジー○自爆。」
「死んじゃうじゃん。……あと倒せないし。」
「まあさっきもこれで全部倒したし任せてよ。二度と修復できないよう、粉々に吹き飛ばすことは得意なんだ。」
「失敗する奴の言い方じゃない? イケる?」
セラを担いだ和希を持ち上げたココロは、
「とりあえず、わたしから離れなければ死ぬことは無い。」と言って再び滑空する。
ココロは周囲に爆風を放った。風はみるみるうちに質量を増していき、ドロの塊は爆ぜていく。
「……やったか。」と、ココロ。
「いや自分で種まき過ぎだろ」と、焦る俺。
なんとドロは復活し、より鋭い触手でこちらに迫る。ココロが向かい討とうとするも、ちょうど活動限界が訪れた。魔石がドクンと脈打ち、腹部に響く疲労感によってココロの視界が一瞬ふらっと歪む。
異変に気付いた和希は【障壁展開】で斜め向きの足場とし、2人を抱えて地面へと降り立った。
ココロの身体は魔法の粒子が抜けていく程徐々に縮んでいく。
「ココロ! 大丈夫……?」
目を細くしながらココロは身体の変化に馴染んでいく。上半身を起こすと、「わたしは大丈夫。……セラは無事…?」と不安そうな表情で和希の片腕を見る。セラはふにふにのほっぺを煤けさせ、気絶の中でうんうんと唸っている。
ひとまず安心したココロは復活した触手に向き直り、改めて秘策を練り直す。
「これだけは使いたく無かったんだけどな……。」
ココロの含みありげな言葉に和希は目を輝かせる。
「何か秘められたカッコいい技があるんですね!」
「いや、ださいから使いたく無いの。」
「あれまぁ」
ココロは触手全体に向けて小さな手を透かし、【封印】と唱えた。ドロの体はココロが放った透明なスキャンに通り、小さな塊の大群――黒いシャボン玉になってユラリと浮遊し始める。
「あーん。」
ココロは口を開いて舌を出し、シャボンが誘導されてくるのを待った。次々と玉が舌の上に乗り、ココロのお腹に収まっていく。
すべて飲み込んだ所で、黒い背景がヒビ割れていき元の綺麗な礼拝堂に着地した。
「セラ、ほんもののかみさまをみたかもしれません……!!」
翌日、ギルドホームでセラとココロは向き合って地べたに座っていた。
「そんなことないんじゃないかな……。」
「ううん! ちゃんとセラはみて、ほっぺにもさわったのです!」
でも詳しい事情が思い出せない…とセラは頭を抱えた。
「うぅ…、またあいたいのです。あっておはなししたいです。」
「会えるといいね。」
「……かみさまのほっぺにはケガがあったのです。ちょうどこんなかんじの……」
セラはココロのほっぺをもにっと突く。
「いたた。」
「――って!! ココロちゃんケガしてるじゃないですか!!」
ココロの頬にたまたま傷を見つけたセラはココロの後頭部に手を回し、おでこ同士をくっつけた。
「セラがなおしますから! うごかないでくださいです」
「う、うん……。」
まっすぐで純粋な目で見つめられたココロは、なんとなく気恥ずかしくて目をそらす。
セラに看てもらう間、和希について思いを馳せていた。
――今日も師匠といっしょに修行って言ってたけど、大丈夫かな。
それにしても、最初に巻き込まれた神の像がいっぱいの部屋。あれは自爆みたいに一気に壊さなきゃ、壊れた像の破片がくっついて元の形に戻っていってた。たぶん像は恐怖心そのもので、アレを一気に壊すから恐怖から解放されたっていう判定になるんだと思う。
けど。
今の和希にあのすべてを一度に壊す力があるとは思えない。なら、どうやって……。
恐怖からの逸脱、それが意味する所は、恐怖心を煽るモノの破壊。その他にあるとすれば……
恐怖心自体の破壊、例えば、
命を絶ってしまえば、心に支配される道理はない。
――和希はあの時、どうやってわたしを助けに来てくれたのだろうか。
なんて、考えすぎか。
「なにかナヤンデルんです?」
でこを離したセラに呼び掛けられ、ココロは我に返る。
「あ、あぁいや。なんでもないよ…?」
「はい! ならよかったです」
ココロはまっすぐな笑顔を向けるセラに後ろめたい気持ちになって俯く。セラはその顔を見逃さずに声を掛ける。
「えっと、ココロちゃんがつかれたカオをしてたので、精神ダメージ回復のばんそーこーもつくりました。……うけとってもらっても、いいですか…?」
セラが妙にしおらしく会話をしてくる。ココロは、どうしてしまったのだろうと心配になる。
「“精神ダメージ回復の絆創膏”なんてつくれるんだ?」
「はい! 心まで癒やしてこそ! 立派な聖女になれるのです」
「ふーん。そうなんだ。」
胸を張っていたセラが再びしおらしくなる。
「そのばんそーこーは、セラじしんにみりょくを感じるひとでないと効かないのです……」
「お、おぉ……」
意を決したようにセラは言う。
「セラで癒やされてくれますか……?」
ココロは少し口角が上がりそうなのを抑えてセラに顔を近づけた。
「貼ってくれる? どっちの絆創膏も。」
セラはパアっと明るい表情を取り戻し、小さな手のひらに2つの絆創膏を用意する。パステルピンクとライトブルー。それぞれを、やわらかいほっぺと眉上のおでこに貼り付ける。
(……なんか湿ってるゥ…)
「えへへ、貼れました…! たくさん癒やされてくださいです」
「…………ん。たくさん癒やされる。」
ココロは少しの間だけ、自分の使命や責任、考えるべきを忘れて、ただセラを見つめていた。
こうして、2人だけの癒し合う関係が始まった。
「ぺちん!」
「えっなんでビンタするの?」
いつもの!
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