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廃忘勇者はユーティリティ?〜個性派ヒロイン4人を添えて〜  作者: イヲイ
雪嶺とアリストクラット
11/22

財布泥棒


 ペナトルイン王国。

 ベニートシティーから徒歩一週間ほどでたどり着く内陸国。だいたい六千五百平方キロメートルくらい。冬ではあるが、ベニートシティーの昼はまだ少しは暖かかった。だが国の中央の山から吹くおろし風のボラの影響で日中空気が冷たい。マサリはディアスキンの革手袋のベルトを閉めると、赤の毛糸手袋はマツリ、俺はポケットからフィンガーレス手袋を取り出す。

 越境許可証が要らないのは助かるな、と俺はかつて王国の半分以上を占める雪山で過ごした一週間を懐かしく思いながら、気霜を深く吐いた。国境を越えて一番近い大きな公園は芝生や広場や出店など、ちょっとした観光地として賑わっている。

 隣では真冬特有の晴れた薄い水色の空を眺めるマツリが興奮しながら跳び跳ねた。

 「なにこれスッゴイ!ペナト国に入った瞬間にスッゴク寒くなったんだけど!?」

 ペナト国。この略し方は絶対にマサリの影響だな。

 「この寒さこそ、ペナトルイン王国の誇りともいえるからな。魔法でこの寒さを保ってるんだ。」

「じゃあ、偽物の寒さってこと?」

「正確には偽物の暖かさってところだな。寒さ自体はボラそのものだが、それを温める森からの空気を封じてるんだ。そうだ、せっかくだしこの高度な魔法の使い方も教えてやろう。ミューズ系の魔導師なら間違いなくすぐに使え…」

「あーっ!サトリサトリ、カネルブッレ食べたい!あれって、本場のシナモンロールなんでしょ?」

「あっ」

「あ、僕も!」

「えっ」

 そう言いだしたマサリは既に広場にあった出店の列の後ろに並んでいた。

 「…一人ひとつな」

 とは言ってみるが、その頃既に二人は俺の側にいなかった。今は二人とも聴覚が優れているだろうが、果たしてこの声は聞こえたとして脳内に取り入れて貰えただろうか。

 ここ最近魔物討伐で稼いだし、六ラントくらい使ったっていいだろう。

 ナップサックから財布を取り出したところで、近くの芝生の上で寒い中ピクニックを楽しむ家族が視界に入った。黒と茶色と白の毛からみるにハミルトンステバレの血が濃く混じっているだろう雑種犬がボールで遊び、モコモコの服を着込んだ四歳くらいの子供が持つ白いサンドイッチにはチーズとレタスとハムとがぎっしり挟まっている。新鮮なレタスと辛い白色の玉ねぎが落ちる。

 そうだ、晩飯には二人に野菜も食わせないとな。地元の通行人達を取り留めなく流し見しながら、マサリ達の方へ近づく。

 それなりに多い人混みの中、後ろからはこそこそと、それか大声で嘲笑する声が聞こえた。

 「やだ、あの人の耳、亜人のじゃない?」

「亜人の癖にヘンに高そうなあの手袋、追い剥ぎか何かよきっと。警察呼ばなくちゃ」

 回りの奴らの服装や持ち物を見る。この声は国の奴らじゃないかもな。知らんけど。

 「おいそこの犬、犬ならこれでも喰ってけよ!」

 そんな中、特に大きな声で俺に殴りかかるように話しかけたのは例の家族で、十数メートル先の道の外れのそいつは先ほど子供が芝生に落として今にも蟻がたかりそうなレタスと玉ねぎを指差していた。あの子供の兄か。両親は笑いながら止めなさいと注意する。

 こいつ、正気か。

 俺はさっと近づくと、幼女を除いたこの家族はぎょっとしたように俺を見、それから敵意に溢れた目で睨む。十代の半ばあたりの、後々の怖いものより今の楽しいことを優先する年頃だ。俺は目の前に立ち、ピアスを開けた男を見下ろした。

 「な、なんだよ…」

「この犬はお前の家族か?」

「だったらなんだよ」

「だったらお前、ああいうこと言っちゃ駄目って、わからなかったのか」

 後ろからの不安そうな視線を感じたので六ラント分の硬貨を空中に投げると、マサリは踊るような素早い足取りでそれら全てを一回のジャンプの内に手に取る。財布はポケットに仕舞う。

 「なんだよ、犬が地面のモンを喰うのは…」

「あほか!玉ねぎ!犬に喰わせちゃまずいだろ!」

「「「はぁ!?」」」

 俺はさっとこぼれた玉ねぎとレタスを拾い、近くの公共のゴミ箱に捨てる。

 「喰いすぎたら死ぬし、そうでなくても危ないんだ。犬飼うならちゃんと学んどけ!ヴァカ!」

 ぽかん。

 しばしその家族は固まっていた。

 しまった、つい言いすぎてしまった。

 周囲は静まり返った。人混みの中で大声で他人に説教するなんて、異様も異様だろう。俺は慌てて弁明する。

 「い、いやな、別にこんな大声で話そうとしたいわけじゃないんだ。ごめん。玉ねぎじゃないが、昔飼ってた犬が食べちゃ駄目なもの食べて生死をさ迷ったもんで、ちょっと怖くなっただけだ。ほんと、単なる過激なお節介!」

 ちなみに、生死をさ迷った犬は俺の家にいたわけではなく友達の犬で、俺は本当に小さな嘘を吐いたのだが、だがしかし、今「ごめん、実は俺の犬じゃないんだ」と言った方が余計にややこしくなるので控えておく。今からシバシバは一時的に俺の犬だ。徹底的に嫌われてたけど俺の犬だ。

 玉ねぎ家族はもうずっとフリーズしていて、俺は苦笑いしながら後退りした。マサリ達の方へ逃げ帰ろうとするも行列は女性客ばかりでいつのまにか長蛇の列で、何となく行きづらい。いや、かなり行きづらい。が、この玉ねぎ家族の前にいるよりは全然良い。

 そうして俺は勇者時代に徹底的に磨いた限りなく静かな撤退術でその家族から立ち去った。


 「サトリ、見っけた!」

「サト兄、買ってきたよ!」

 シバシバが脳内で俺に飼われてから十分前後、俺達は広場を離れてこの大きな公園に併設された小さなステージ場前でカネルブッレを頂くことにした。シナモンのあのひたすらに甘い香りと、生地の上に沢山乗せられた真っ白のパールシュガーの見た目が食欲をそそる。しっかりしとした食べ物は久しぶりだ。

 「なんか、冷えてたりただ熱いんじゃなくて、こんな適度に温かい食べ物はすごく久しぶりだね」

 店のロゴが茶色で印字された包み紙を破りシナモンロールをまじまじと見つめているマサリはそんなことを呟く。

 その言葉は、マサリにとって何気ない一言なんだろうけど、グサッと刺さった。腕を刺された時と同じような衝撃が走る。

 いや、前々から知っていた。まともに料理ができる人がいない危険性を。けれど今までなんとなく、特に指摘されることもなく。町についたら真っ先に美味しいものを食べていたし、旅の道中は食べ物以外のことで思考は満たされてたし。

 だが、やっぱりだ。やっぱり今のままじゃまずい。そうだよな、よく考えりゃ、俺はずっとマサリには木の実や森で乾燥させた肉かそれを焼いたものを渡すだけだったものな。取れ立ての血で生暖かい魔物の肉は危険性も捨てきれないし…

 「マサリ、マツリ、俺聖女様に祈ること決めたぞ」

「サト兄、聖女様には祈らないよ、聖女像だよ」

「生きてようが像だろうが同じようなもんだろ」

「全然違うよ!?」

 カネルブッレの食べかすを少しだけ口の端に張り付けたマツリがツッコむ。まあ、正直聖女とかはどうでもいい。

 肝心なのは、俺は他社に打ち明け協力をあおぐほど大事な目標を新たに作り出したということだ。

 料理が出来て、尚且つ旅人で、おまけにわりとハードな冒険も耐えられるような奴をなんとしてでも見つけ出す!

 善行はなるべく早い方がいいもんな。

 俺はほかほかしたカネルブッレを一口で――食べるのは勿体無いから四口くらいで食べ終わると、手に残った砂糖をばっと口に放り込む。

 「よし、じゃあ聖女様に会えたら今日はひとつ、人を…」

 と、俺がマサリとマツリに語りかけたその時だった。


 近くでわああと心肝から恭悦に染まった奇声に近い歓声が力強く響き、それは声の持ち主が脳幹を貫かれたかのようにすぐに消える。

 咄嗟に俺達がそっちを見れば、途端に先ほどの広場では人だかりが出来ていた。静かなのを除けばまるでデモやボイコットのそれと同じで、人の動きや波から、あそこは混乱でアドレナリンが出るような狂乱の渦だと知る。


 「皆様、お久しぶりです」


 犬モドキの耳は、思慮深く知的そうな女性の声を拾う。

 「なんだ?」

「見に行こうよサトリ、マツリ!」

 そう言うが否や、マサリとマツリは人混みの方へ駆け出していった。止める間もなかったので俺も追いかければ、磁石と砂鉄の関係のような人混みの中、中央の磁石の部分には人力車(この辺りのものではなく、俺の故郷のものと見覚えがあるが何故だろう?)と、そのところに座る貴族の娘が見える。屋根がないため雨風をしのげないその人力車と天性の視力、そして晴れた空のお陰で品行方正な女性がよく確認できた。

 少し目を牽かれていると、マサリとマツリはもう人混みに呑まれていて追いつけないかもしれない。この人だかりがなくなってから合流するか。

 俺はそう諦めをつけ、女性をもう一度見据えた。人が多すぎるので少し離れ、先ほどまでいた屋根有りの小さなステージを利用し、女性を改めて確認する。

 腰くらいの長さまである黒髪はカールがかけられ、前髪は横流し。瞳は分類的には人類によくある茶色だがアンバーに限りなく近く、色白の肌に良く似合っていた。衣装は短い孔雀と白鳥の羽を胸元に飾った薄黄色のカーディガンと銀糸で袖に家紋が織り込まれた襟つきシャツ、淡黄のレースつきマキシスカートにはオーロラ色のチュール布が巻き付けられていた。それと茶色い革靴か。

 そして何より、目を引くのは彼女の長いチェーンネックレスにぶら下がったいかにも歴史のありそうで神聖そうな懐中時計。

 全体的に金色で眩く、蓋の中央少し上に埋め込まれた光の屈折が不自然な程強く輝く白い宝石はミラーカット。

 蓋の扇を逆さにしたデザインの部分は薄い緑のガラスが嵌め込まれていて、そこから中が見えるようになっているが、ここからでは中身までは見えなかった。

 にしてもあの時計、どこかで見たことがある気がする。気のせいか?

 また、女性は座っていてもスタイルが良いことは一目見てわかるし、貴族のいかにもらしい豪奢でチャラついた感じもない。

 それでも貴族だとわかるのは、ひとえに髪を掻き上げるため手を上げた時に見えた袖の家紋のお陰だろうな。


 女性は軽くお辞儀をしてから口を開いた。


 「今日は本当は外の光をじかに浴びる予定ではありませんでしたが…どうしても、皆様にお知らせしたいことがありまして。」


 そう言うと、女性はゆっくり立ち上がる。それから一歩後ろへ降りると、近くの硬貨が無意味に沢山投げられた噴水の縁へ腰かけた。

 女性は彼女の遠く後ろに指を指す。

 「私は明日から山に登り、六年前の儀式を再び皆様の目の前で行おうと考えています」

 途端、喜びの声。

 女性は続ける。噴水から立ち上がり、まるで砂漠で存在を知らしめるかのように大きな身振り手振りで話を誇張した。

 「しかし儀式のためには何もかもが足りないのです。雪山の魔女を成敗する武器も、氷の妖精に捧げるフルーツも金貨も、山の殺意ある寒さを防ぐウールのコートも…」

 ホロリと彼女は一筋涙をこぼすと、人力車を引いていた豚耳の男性はさっとハンカチを取り出す。と同時に篭を女性に手渡すと、人々は銅貨と銀貨を大量にそこに入れ出した。物乞いにしては随分と演技派で、そして随分と人気のある。

 俺は思わずポケットを探る。今回はマサリに俺たちの生活のために必要なお金は渡していないが、念のためにだ。ええと、財布は…

 あれ、ない?

 確かさっき硬貨は取り出したし、前みたいに森で落としたわけじゃない。落としたとしてもこの広場あたり…

 「わ、ありがとうございます!こんな、財布ごと…」

 顔を上げる。

 視界の先の貴族の篭、その中にたった今投げ込まれたのは俺の財布だった。ボロボロで買い換え時の財布だが、開け口のボタンはまだひとつしか壊れていなかったはずだ…って違う!俺の財布が盗まれてたんだろ!嘘だろ、この俺が?あり得ない。いやそんなことよりも今はとにかく、くそっ、投げ込んだやつの顔を見とけば良かった。

 「ったく面倒だな…」

 とにかく俺は財布を取り返しに行こうとする。

 が、それは不必要だと一秒後に知ることになる。

 「《雷鳴∞レプリカ》」

「ウグァ!!」

 マサリの声だ。マサリのやつ、大方俺の財布を見つけて、盗んだ犯人に魔法を放ったんだろうが…

 「あのバカ…!」

 大勢の前でお前の魔法を使うと危ないって昔から言ってるのに。財布泥棒はひどい痛みにふらついているし、悲鳴も響いた。

 唯一のメリットと言えばマサリとマツリの回りの人はマサリ達を避けたお陰で、皆一様に半径五メートル程のマサリ達を中心としたきれいな円の空間が出来、二人は財布泥棒とおぼしき奴と向かい合う。これならすぐに合流できそうだった。

 マサリが泥棒の襟首を掴み、もう一度何らかの魔法を繰り出そうとする。やばい。すぐに合流しなければならなさそうだった。

 俺はその場から飛び降りると、そのままマサリの元へ着地した。少しだけ地面のタイルが凹んだ。


 「おいマサリ!」

「うわっ!?」

「全くもう、ほら。財布盗まれてたよ」

 マサリは男の襟首を離し、男がよろけたので咄嗟に掴む。ドジだねとマサリは笑う。が、そんなことはどうでもよさげで、頭の中ではどんな魔法を使おうか思い悩んでいるようだ。

 「あ、ごめん。だが、人前での魔法は危ないってあれほど…!」

「そんなことより、財布ドロボー!指の一本貰わないと気が済まないの!!」

「駄目だ!」

「財産強奪されたんだよ!?さっと気絶させて…」

「だ・め・だ!一旦落ち着け!そんなことしたら目立つだろ…約束したろ!」

 チラリと恐らくは聖女だと思われる女性の驚いた顔を視界にいれて、これほどまでにやらかされたのは久々だった。いや、元々は何故か財布を盗まれた俺の責任なのだが…

 「でもさ」

「ん?」

「いい加減その右手離さないと、泥棒泡吐いてるよ」

「あ」

 そう、泥棒野郎の襟首を乱暴に掴んでいたので、しかも何度かマサリを注意するに辺り揺さぶっていたので、いつのまにかそいつは泡を吐いて気絶しかけていた。

 「わあっ!すまん!」

 俺は慌てて手を離すが、既に周囲の目は困惑から敵意に変わりつつあった。

 「いや、違うんだ。こいつは財布泥棒で…」

「違う!…あれ、は…せ、聖女様への貢ぎ物だ…お前のじゃなかぁった!」

 その声に、泥棒に対しての同調の声が幾つか俺の耳に入る。男はひどく咳き込むので罪悪感から背中をさすろうとすると、男は俺の手を叩いてから指を指した。


 「ゴホッ、ゲホッ。はぁ、なによりこいつは亜人だぞ!」


 男がそう言ったのを皮切りに、俺のせいで俺達はものすごい殺意で睨まれる。

 ありえない。最低。これだから亜人は。聖女様の前でなんたる無礼。死ね、くたばれ。

 その他多数の罵詈雑言。食べかけの果物や塵などを投げられたので剣を抜いて全てを切り刻んで地面に落とすとさらに殺意と怯えは増長される。

 やらかしたよ、俺。早くマサリとマツリを連れてずらからないと。

 俺は素早く振り向いて二人を回収しようと手を伸ばす。と、その時だった。


 「静かにしてくださるかしら」

 この騒ぎが起きてからずっと静かだった貴族の女性が立ち手を上げれば、誰も彼もが静まり返る。これが聖女の力なのか?

 「そこの、旅人様」

 女性は俺達を指した。

 「邪魔して悪い…邪魔してすみません」

「いえそうではなくて」

 よく透けたアンバーが俺をまっすぐと見た。

 「貴方の剣術は我が国の騎士達に勝るとも劣らないような力があると見受けられます。そのような方がそちらの…魔法を受けた文民である方とのいざこざの解決法に直接剣を向けることがあってはなりません」

「いや俺は別に斬ろうなんて…」

 そう言いつつ、剣を鞘に収める。

 「ありがとうございます」

 女性は全く怒ることも、嫌な顔をすることもなく柄から手を放した俺に感謝をのべると、人力車を引いていた男に耳打ちをして、恐らくは常に人を呼べるように用意されたメッセージカードを四枚ほど手に持った。

 「これは我が家への招待状です。さあ、一人一枚づつお取りください」

 一歩、女性が歩く度に腰革に嵌められた虫入り琥珀が地面の影を微かに透明化させ、足元から小さな光が迫ってくる。

 「やった!ありがとー!聖女さん!」

「ありがとうございます!うわぁ、可愛い水玉だ!」

「はい、貴方も」

 俺と同じくらいの背丈の女性は片手で真っ白な名刺と同じサイズである長方形の上質紙を手渡す。彼女が二の腕に寄せた枯れ木のように暗い茶色の篭には俺の財布がまだ入っている。

 「あ…ありがとう」

 黄色系パステル色のシャワードットに鉛筆書きで招待状と記されている。彼女は微笑んだ。

 「時刻はきっかり六時です。急かさないよう遅れてくるなどといったお気遣いは結構ですから」

 女性は泥棒野郎にもそれを手渡すところで、パチパチと貴族様の優しさへ、もしくはひれ伏して感謝する男への慈愛的な拍手が送られる。

 まるで民事裁判でもしに行くみたいだ。俺は思わず頭を掻いて、優雅にその場を立ち去ろうとする女性を数秒間目でおった。涙をボロボロ流す男を見た。

 あの女性は単に優しいなのか、公か内密か、ともかく逃げられないように家に招いて俺を裁きたいのか。

 このまま、この国から逃げることだって出来るが、噂の聖女様とせっかく出会えて喜ぶ二人を前に、そんなことは出来ないな。

 「刑事裁判にならねえといいけど」

 次にまた批判の嵐が来るまでにこの場を去ろうと、俺は今度こそ二人を連れて広場から離れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です 国では無く、一つの貴族の信仰がここまで広まっていることや、聖女の性格も含めて裏がありそうですね 次回が楽しみです
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