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プロローグ
~プロローグ~
ふうん、あんたたち、珍しいね。
この町にはもう随分と旅人は来てないんだよ。店も常連ばっかで入りにくかったろ?でも、ここの奴らと同じようにママって呼んでくれて構わないからね。
うん、うん。お二人とも、随分と若いね。何歳だい?兄妹かい?
なんだ、旅仲間か。まあ確かに、顔は似てないね、あんた達。でも、付き合っちゃいないよね?それはちょっと、犯罪の香りがするからね。なんてね。
ふふ、なんだか上機嫌だって?よく気付いたね、お嬢ちゃん。そう、村の天敵のモンスターがとうとう倒されてね…だから今日も明日もパーティーさ!飲み物食べ物、全部ただにしちゃうよ!さあさあ飲みな!あ、お嬢ちゃんはお酒は駄目さね。
ところで、二人とも。名前はなんていうんだい?教えてよ。今日という良き日にさ。
「『サトリ』と『マサリ』」
「ん?…なんだか聞き覚えがあるような。珍しい名前なのにね。……わたし達、どこかであったことがある?」
「ない」
――まあただひとつ、言えることといえば。
「俺は元勇者。勇者サトリだ。」