表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/6

1:人間跳ねちゃった!




「ああああああっ、また遅刻する!」


 俺は悲鳴を上げながら純白のスポーツカーを走らせていた。

 十年ほど前、警察官になるために田舎から出てきたときに買った中古車だ。

 “新人がスポーツカーとか生意気すぎるだろ”と思うが、ド田舎に住んでいた俺にはそんな知識はまったくなく、しかもめちゃくちゃ高かったため乗り回し続けて今に至る。

 俺はかなりの貧乏性なのだ。


 ってそんなことはどうでもいい!

 今日は連続殺人犯をみんなで追い詰める仕事があるのに、完全に寝坊しちゃったよーーー!


「うおーーーーーーーーー間に合えーーーーーッ!」


 大人なのに遅刻なんてして堪るかっ! こうなったら現場に直接乗り込んでやらーーー!

 そうして住宅街を爆走していた、その時。


 ――ドンッ!



「あっ」



 ……走る衝撃と吹き飛んでいく人影。

 気が付いてきた時には、俺は曲がり角から飛び出してきたオッサンを跳ね飛ばしてしまっていたのだった。


「って、ああああああああああああッ!? また人をひいちゃったーーー!?」


 すぐに車を止めて転がっているオッサンに駆け寄る。

 うわーどうしよっ、傷だらけで白目剥いて倒れてるよ! もうこれ示談じゃ済まないレベルの大事故だよ。


「つーか生きてる……!?」


 そうして俺が脈を確かめようと、オッサンの首元に手を置いた瞬間だった。

 遠くのほうから「やりましたねっ、白木警部!」と俺の名前を叫びながら複数の警官たちが走ってきた。


 え、やりましたねって……まさか?


「逃走していた『女子高生十人連続殺人犯の豚山太郎』、8時29分に確保ッ! お手柄ですね白木警部……やり方は相変わらずですが」


 また怒られますよぉと苦笑する警官たち。

 しかしその目には俺に対する尊敬の念が宿っていた。


 って、コイツが犯人だったのかよ!? いやいやいやいや、俺そんなこと知らずに跳ねちゃったよ!?


 ――でもそんなことを言えるわけがない。

 偶然ぶつかっちゃったんです~とか言ってみろ、ヘタすりゃ俺が捕まるぞ?

 つーかこれで犯人()くの三十人目だし。


 ……というわけでここは黙っておくに限るな!

 俺は純白のコート(※中古)をひるがえしながら立ち上がり、メガネをくいっとインテリっぽく上げて言い放つ。


「――執行完了。さぁ、戻るぞ諸君。次なる悪党を捕まえるために」


『はいっっっ!』


 ……俺の考えたすげえテキトーなカッコいいセリフに頷いてくれる警官たち。


 犯人を車で跳ねたり銃を誤射して半殺しにしてきた結果、俺は警察界隈から『悪を許さぬ純白の執行者』『苛烈なる正義の使徒』『白き狩人』とか呼ばれて、なんかめちゃくちゃ尊敬を集めているのだった。

 

 って待ってねみんな!? 俺、実際はドジでクズなだけだから!?

 この変なキャラクターも事故とかを誤魔化すためにみんなの評価に乗っかって演じ始めただけだから!?


 だからマジで俺なんて尊敬するなって!


「……俺に憧れることはやめろ。俺は所詮、暴力でしか全てを解決できない破綻者だ。犯罪者どもと何も変わらんよ」


『そういう謙虚なところが大好きですッ、白木警部ッ!』


 ってさらに目をキラキラとさせるなーッ!?


 ……俺は内心溜め息を吐きながら、悪人の血を吸いまくってきた愛車に乗り込むのだった。


 コレ売ることって出来るかなぁ……?


 


中古車ディーラー「無理っすね」



・白木くんが暴力でだいたい解決していく話です!

 こいつはもう車に乗るな。


【作者からのお願い】

「面白かった!」「続きが気になる!」といった方は、

広告の下にある☆☆☆☆☆からの評価や、ブクマへの登録を最後にお願いいたします!


↓執筆の励みになりますので、どうかお願いいたします!!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
\デデドンッ⭐/
「底辺領主の勘違い英雄譚」発売中。漫画やってます❗
「貧乏令嬢の勘違い聖女伝」も発売。こちらも漫画やってます❗
↓画像をクリックすると書報ページを経由してAmazon予約ページに行けますよ~⭐
「底辺領主の勘違い英雄譚」の表紙~!
「貧乏令嬢の勘違い聖女伝」のソフィアちゃんで~す!
最新作「魔物の言葉がわかる俺は、彼らと共に国を出る~俺は魔物たちと国を作って幸せになるから、俺や魔物を虐げたやつらは悪いが勝手に絶滅してくれ~」もどうぞー!
― 新着の感想 ―
[気になる点] ひいた車の修理代は経費で落ちますか?
[良い点] こんな書き方があるんですね。私も推理を投稿してますが、勉強になります。
[良い点] これまたアブない作品を……いいぞもっとやれwww (あー、白木警部にあのリアル老害轢いてもらいたいなー。脚に異状が有るにも関わらず車運転して人殺ししたあのリアル老害を。  あのリアル老害…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ