1.チャーリーっていい名前だと思ったんだけどなあ…
えー、詰んでるよ絶対。だってこのあとどうすればいいんだよ。説得するにしたって皆はきっと金に目がくらんでるに違いない。
ピーンポーン
『おーい、麻人だけど。見たんだろ?テレビ』
え、あいつ勇者すぎん?あのテレビを見たあとに秒でこっちきたってことだろ、やばない?
「え、俺ちょっと怖くて開けられない。ごめん。」
『まぁ、しょうがねぇよな。でも実は俺、前世の記憶普通に持っててさ、俺らの前世の事実を知ってるんだ。お前覚えてないみたいだったから言わなかったけど。これから必要になると思ってさ。扉越しでいいから聞いてくれ』
「あ、今開けまーす。」
心許すのはや!?と聞こえたけど無視だ無視。お前もお前で爆弾発言かましてんじゃねぇか。それに前世の俺のことが知れて尚且つそこには俺の知らないような物語がありそうじゃんか!物語のためなら死ねるし、まぁ麻人なら俺を殺してもこの家の本を守ってくれそうだ。
「いらっしゃーい、さぁこっちへ」
「お前流石に少しは警戒しろよ……あ、自転車止めとく。鍵もここに置いとくぜ」
「いやー、麻人ならちゃんと俺の事殺しても本は守ってくれそうだなぁと。チャーリーのことは別にいいからとっととこっち来い。」
「お前自転車に名前付けてんのかよ、ネーミングセンス悪いし」
今日そのネーミングセンス皆無の自転車を勝手に使用したのはどこの麻人君でしたっけねぇ。このバス通学が!
俺は大好きな狭山茶をいれると麻人の目の前にせんべいとともに出した。あいつはわが物顔でソファに座っている。まあ、家近いしあいつもこの家に結構入り浸ってるからいいんだけどさ。
「それで前世の話なんだけどさ。お前、天皇だったんだぜ。」
「は?テンノウ?」
テンノウ?Ten know 天王?天皇!?
「まじまじ、すぐ受け入れられないのもわかるけどさ。お前歴史の教科書にも出てくんぞ。……えっと、あ、ほらここ」
麻人はリビングにある俺の勉強机から歴史の教科書を出すと割と前のほうのページを出して指さした。えっとなになに?中大兄皇子と藤原鎌足は蘇我入鹿を倒しました。そのほか政治の仕組みも整えたのでこれを大化の改新といいます?えっとここで登場する天皇って…
「そう、お前の前世はこの中大兄皇子。のちの天智天皇だ。」
「はああああ!?」
「ほら、今のお前の名前は中野天智だろ?昔の名前にそっくりだ。ちなみに俺も前世と名前はよく似ている。当ててみやがれ」
俺天皇とかぜってえ向いてなかったはず。俺そんな人前出るのとか無理だし。で、麻人の前世だろ?俺日本史と古典と現代文なら強いほうだぜ?柿本麻人、かきもと…そんな奴いたなあ。百人一首かなんかで。
「柿本…柿本麻人、百人一首…かきのもとの…柿本人麻呂、あ、柿本人麻呂!え!?麻人ってそういうこと!?え、お前まろだったの!?」
え、お前昔麿まゆげだったの!?
「名前にまろがついてるからってまろまゆとは限んないだろうが… そうせーかい。」
「ふえええ~」
なんてこったぱんなこった。俺絶対政治なんか向いてないと思うんだけどなあ。あ、もしかして前からあった。昔はこうだったのにっていうのは前世の記憶だったのか。
「まあ、お前と俺は接点なかったけどな。でここからが本題だ。」
いつになく真剣なまなざしで麻人が言うもんだから正座しちゃったじゃん
「お前今回の件どうするつもりだ。俺はまあ人を殺してまで金が欲しいとは思わない。しかし俺たちは力を持っちまった。狙われるのはあるだろうな。」
「麻人も同じ考えかよ…」
「やっぱりお前ならそうだと思った。だから俺たちで協力しないか?そうすればきっと自分たちを守れる。」
無理無理!え、お前俺の能力知ってる??一ミリも戦闘の役に立たないよ??
「俺の能力はとても長い剣を自由自在にすることができるんだ。お前は…」
「泣く。」
「は?」
分かる。俺も自分の能力をした時にはマジでは?って思ったもの。これでどう殺し合いしろと。多分今回の参加者の中で一番最弱だと俺思うよ。
「幼稚園の子供のように泣くことしかできません。はい。多分命乞いにも役立たないよ。」
麻人は驚いたあと納得したようで、こう続けた。
「俺、なんで俺たちが選ばれたのか分かったかもしれん。もう少し調べてみるけど。あと中野大丈夫だ。お前なら泣き落としはきっと聞くぞ。」
「麻人頭よー。なんで聞くんだよ。」
麻人は意味が分からんという顔をした後にちょっと笑ってこう言った。
「いやだってお前かわいいじゃん。」
短めにはなってしまうかもですが週に3、4回は更新できたらと思っとります。へい。