0. 私の最愛なる
「う~にうにうにうに~、……うにたーん!」
ベッドに寝そべる愛猫のうにたんを、私は両手でもっふもふに撫でまわす。
うーん、すばらしい手ざわり。100点、いや100億点!
お腹に顔をうずめて、ふわふわ感と体温を贅沢に味わう。
うーん、なんだかほんのり香ばしい、いつもの不思議な匂いだ。
「ああ、うにたんは最高だねぇ……」
「ぷひっ」
しみじみ呟く私に、うにたんは迷惑そうに鼻を鳴らして、尻尾で私の頬をはたきはじめた。
モサッ、モサッ、モサッ。
ご褒美でしかない。無限にぶってもらいたい。
まったくもって、うにたんはかわいいの神様だ。
まさにかわいいの権化、奇跡の猫なのだ。
毎日毎日、尽きることなくかわいいよ!
そうそう、ふわっふわの黒猫だから、名前は『うに』たんという。
この子がいないと、私は生きていけない。
いや、この子さえいれば、どんなに日々がつらくたって生きていける。
温かな毛並みに触れて、つくづくそう思う。
さて、寝る前のうにたん補給も終えたことだし。
私がベッドに入ると、のどをグルグル鳴らしながら、うにたんもふとんに潜りこんでくる。
いつものように、うにたんは私の腕を枕にして、隣にもっさりと横たわる。
ほどよい重みとグルグル音が、最高に愛おしい。
その背中をゆっくりと撫でれば、優しい毛並みの下に、すべらかで美しい形がたしかに息づいているのが伝わってくる。
胸がいっぱいになって、なんだか涙が出そうになる。
満たされる、って、きっとこういうことだ。
私には、怖いものなんて何もなかった。
「おやすみ、うにたん」
囁いて、私は眠りに落ちた。