表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生活を異世界で。  作者: 凍々
式終わって……また一難あった時のお話……です。
94/114

初夜明けて……朝です。

 式も終わって、自室に戻った私達。

 色々あったけど、楽しい一日だったな……。

 ……そして、明けて翌日ですたい。

 え?初夜的な何か(サムシング)はなかったのかって?

 ……ないよ?()()なかったですけど?

 だって……気付いたら二人で仲良く寝落ちだもの。残念。

 今起きたばかりだけど、結婚式の格好そのままだったし、二人とも着替えする気力もなかったみたいよ?

 お化粧落とし忘れてて、お肌が心配……とか思ったけど、触った感じメイクは落としてあったみたい。もしかして……獏くんがやってくれたのかな……何て気遣いの出来る旦那様……!

 思うに……最後に二人でベッドに行ってまでは記憶があるんだけど、多分そこで力尽きたっぽい。

 隣を見れば、いつも先に起きてる獏くんも未だにぐっすりよ。

 そりゃそうよ……ほぼ一人で準備から段取りからやって、当日はハプニングにも対応して、それでも疲れてる素振りの一つも見せないで、あれだけ立派に務めあげたんだもの。

 本当、彼は色々と規格外なくらい凄い人だし、頭が上がらないし、ありがとうって言い続けても足りないぐらい感謝してます。

 片や私は……何が出来てたんだろう……。

 とにかく昨日は緊張しっぱなしだったから、会った事ある人はいずれにも、その他の方々は誰に挨拶してされてとか細かい所は覚えてないし。

 式中の手伝いもした覚えがまるっとないし。

 危ない目にもあったけど、助かったのはフラロウスさんのこのドレスのおかげだし。

 強いて上げるなら、元義母(カンビィ)さんに一発くらわせたのと、食べてただけじゃないかと……。

 ああ……何て、何て、何て駄目な嫁なんでしょうか……!!

 こんな立派な旦那様がいるのに……ああ……何て事かしら……!!


 ダンダンダン!!!

 自己嫌悪に陥る手前、突如、部屋のドアが激しくノックされた。

 だ、誰!?

 今の段階で私を訪ねてくる人なんていないはずだから、少なくとも獏くんが目的で来ているに違いない、と思ったのです。

 戸惑いながらも、隣の獏くんを起こしにかかる私。

 とりあえず、声を掛けつつ軽く肩を揺すってみるも効果なし。

 もう少し強めに揺すってみるけど、何やらニヤニヤするばっかりで、獏くんの瞼は開きそうにない。

「ふふふ……ひぃちゃんたら……そ、そんな所まで……!」

 ……なんて寝言まで言い始めてる始末ですよ。

 一体どんな夢を見てるのかは敢えて考えないけど……まあ可愛いっちゃ可愛いけど、今はそんな状況でないのよ……!

 そうやって起こしに掛かっている最中にも、ドンドコドンドコ、ドアのノックは止まらない。

 結構激しく叩かれている割にはドアが無傷なのが驚きだけど。

 えっと……大分あちらは切羽詰まっていらっしゃるっぽいよ!?

「バクゥ様!バクゥ様!!いらっしゃいますか!?お時間が!お時間が、お時間が迫っております!!!」

 誰だか分からないけど、女性の声だ。

 物凄く必死にドア越しに叫んでいるのが聞こえる。

 そんな悲壮感漂う叫びもどうやら獏くんには届かないらしくて、未だに夢の中……。

 むむ……ここまで騒いでても獏くんは起きそうにない……余程疲れてるんだわ……。

 一発、喝を入れて起こしても良いのだけれど、昨日の事を考えると、ちょっとそれは酷な気もする……もしかしたら獏くんは喜んじゃうかもだけど。

 それなら……私が行って聞いてみた方が良さそうだよね……?


 って事で、意を決してドアに向かう私。

 開けた瞬間に怒鳴られたらどうしよう……とか思いつつ、ノックが続いているドアノブをガチャリ、恐る恐る扉を開いてみると……。

「バクゥ様!!バクゥ様ぇぇぇえ!?」

 扉が開いたと同時に奇声を上げながら雪崩れ込んできた影があった。

 よっぽど切羽詰まって勢い良く叩いていたのだろう、叩く勢いのまま部屋へとダイブしてきた誰かさんでした。

 何が起きたか分からないけど、でも咄嗟に避けちゃったので、とりあえず私は被害ないんだけど、その人は飛び込み前転的な感じで何回転かしてから、途中体勢が崩れてしまったのか大胆に顔を床に打ち付けた後、沈黙してしまった。

 近づいて様子を見てみると、やっぱり女性だった。でも、会った事ない人には違いない。

 何て言うのかな……某電気街で見かけるような給仕服を着ている所を見ると、メイドさん的な人なのかな……??

 えぇぇぇぇ……朝からどういう事なのこれ……?

 ドカンと結構良い音がしたので、流石の獏くんも目を覚ましたらしい。ベッドから空間転移してまで来てくれたよ。

「な、な、何かあったのかい?凄い音がしたけど??」

「だ、誰かが獏くんを呼んでて……獏くん起きなかったから代わりに見に行って……ドアを開けたら……あ、あの人が……!!」

 慌てて駆けつけた彼に今起こった事を話して、若干震え気味の手でさっきの人を指差した。

「え?あの人が俺を呼んでたって?……ああ、そういう事か……」

 私が指差した人を見て、獏くんは何かを察したらしい。

 え?そういう事ってどういう事なの?一人で納得してるけど、こっちにも情報欲しいなぁ!!

 まるで状況が呑み込めてない私を他所に、獏くんは沈黙したままの彼女に向かって、

「全く……朝から騒々しいな、ナナヤ。()()()()にはまだ時間があるだろうに……」

 そう言いながら大きめの溜め息をついていた。

 えっと……式典って何ぞ?何も聞いてないんですけど……!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ