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新生活を異世界で。  作者: 凍々
六大陸(内1国は見送り)を巡った時のお話……です。
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ただお風呂に入りたかっただけなのですけど……!?

 どうやら帰りの龍騎車の中で眠ってしまったらしく、目が覚めたら、いつもの部屋のベッドの上だった。

 うん……何度目かの寝落ちですな……飽きもせず。

 夢も見ないくらい爆睡だったっぽい……疲れてたんだなあ。

 相変わらずドレスのままとか……いい加減着替えたい……!!

 あんまり考えたくはないけどさ、着っぱなしは何か汗とか色々と染みてそうだしさ……うぅ……。

 でも、不思議な事に、着続けている割には全くシワも汚れもないんだよね……これも魔法の力って事かな??

 あとね……これも不思議なんだけど、あれだけタイタン国で汗だくになったはずなのに、肌とか髪のべたつきとか不快感がないのよ。

 ……私の知らぬ間に獏くんが何かしたとか……??

 ……いや、あの獏くんに限ってそれは無いよね、うん。

 外見的には大丈夫であっても、精神的にさっぱりしたい気分なのです……!

 それと、曲がりなりにも女子として、身だしなみは大事だし!

 獏くんはそんな事は一つも言ってこないけどね、もしかしたら……ただ黙ってくれてるだけかもだし………?

 ……よし、決めた!とりあえず今からお風呂に入ろう!

 そう思って、サッとベッドから下りて、お風呂場へ向かう。

 誰も見てないと思ったので、格好は悪いけど、スカート部分をたくし上げて、全力ダッシュ!!

 傍目から見たら、大分滑稽だったと思うけど……私結構必死なのよ……!


 さて、早々にお風呂場についたものの、一つ問題が発生してしまったのです……。

「ドレス……どうやって脱いだら良いのかな……?」

 脱ごうと思って、背中に手を回して、ボタンかチャック的な何か無いかと手探りしてみたんだけど……無いのよ……!

 勿論、前にもそれらしきものは無い訳で……。

 首元もくぐるほどの余裕もなくて、どうにも脱げなさそう……。

 えぇぇぇぇ!?どう言うことなの!?

 以前、式場見学に行った時に、ドレスの試着もさせてもらったんだけど、あの時はスタッフさんが手伝ってくれてたからなあ……。

 えっと……これはどうしたら……??

 内心一人でテンパってフリーズしていると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた気がして、はたと我に返った私。

「……ちゃーん!ひぃーちゃーん!!」

 あ、獏くんの声だ。

 私を探してるみたい……残念だけど、お風呂は後にしよう……。

 そう思ってお風呂場からひょいと顔を出すと、私を見つけた獏くんが、料理を両手に持って笑顔で駆け寄ってきた。

「ああ、ひぃちゃん、おはよう!朝御飯作ってきたよー!」

 そっか、朝御飯まだだったわ……。

 とりあえず、食べながら獏くんに脱ぎ方を聞いてみようかな。


 今日の朝御飯は、アクアパッツァ風の洋食でした。

 昨日アルギ族からのお土産で貰った魚介類と、カボ族からのお土産で貰ったお野菜も使っていて彩りも完璧なもの。あと、お魚のカルパッチョも作ってくれたみたい。盛り方も花が開いたような綺麗なもので、食べるのがちょっと勿体ない……いや、食べるけども!

 わぁ!朝からお洒落なご飯!嬉しいなぁ!

「ふふ、新鮮なものを沢山貰ったから、今朝は沢山使ってみたよ。お代わりもあるから、一杯食べてね!」

 やった!獏くんの朝御飯、久し振りだから嬉しいなぁ!!


 ……ふう、美味しかった!やっぱり獏くんのご飯は美味しい!

 で、食べ終わった後に、獏くんにお風呂事情を相談してみた訳で。

「……そうだね、ごめん、ドレスの脱ぎ方を教えてなかったね!でも……脱いじゃうのか……可愛いのに……。あ、ひぃちゃんはそれでなくても世界一可愛いからね!」

 ちょっと残念そうな感じだったけど、とりあえず教えてはくれたから良しとしよう。フォローは恥ずかしいから余計だけどね!

 いくら憧れてたとはいえ、着続けるのには抵抗があるのよ……精神的にね……アラサー女子としてはね……!

 聞けば、フラロウスさん作の服はどれもオーダーメイドだし、着脱の仕方が少し特殊なんだって。

 仕組みはよく分からなかったけど、コアと呼ばれる所があって、そこを中心に服を魔術で定着させているんだって。ワンタッチで早着替えが出来るって評判なんだとか。

 私に断りを入れてから、獏くんは背後に回って確認し始めた。

「……ちょっとごめんね……あ、あった。このボタンを押すと、ドレスがしまえるよ!」

 手探りで改めて確認してみると……確かに後ろ側の腰元に固いものがあるみたい。これがコアなのかな?

 あ……これか!腰元は確認してなかったわ……。

 て事は……これに触れれば、着替えが出来る訳だね!

 その腰元のボタンに触れた私。

 すると、その腰元にそれに吸い込まれるように、ドレスがスッと消えたのです!

 わ!やった!これでお風呂に入れる!

 着なれない服だったからかな……着心地は良かったけど、慣れない服装は続けるもんじゃないよね!

 久し振りにドレスを脱げた開放感から喜んでいた私。

 お礼を言わなきゃと振り返ってみると、獏くんは真っ赤な顔でその場でフリーズしてた。

 それと、目は点になってるし、口はあんぐりしてるし……何かあったのかな?


 あれれ??と獏くんの視線の先を追って、そそそと視線を下ろしていくと、素足と下着とが見えるけど……?

 ……ん?下着とな??

 そうです……私は開放感に打ちひしがれていたけども、自分が今どんな姿になっているかの確認をしていなかったのです……!

 良く良く考えたら分かった事なんだけど、始めに着ていたワンピースはドレスの一部として取り込まれちゃったから、

 つまり……裸に近い格好になってるって事……だよ!?

「な、な、な、な、な……何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!?」

 全く乙女らしさもない、おっさんみたいな魂からの叫びを上げると同時に、とてつもない恥ずかしさから、目の前の獏くんを盛大に突き飛ばしてしまった後、即座にお風呂に逃げ込んだ。

 何だか鈍い感触と音がした気がするけど……気のせいよね!

 獏くんは抵抗もなく、突き飛ばした瞬間に見えたその顔は……安らかな笑みをしていた気がする……。

 も、も、も、もう嫌ぁぁぁぁぁ……!!

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