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新生活を異世界で。  作者: 凍々
六大陸(内1国は見送り)を巡った時のお話……です。
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正反対な二人の王様……です。

いつも読んで頂きありがとうございます。

リアルがちょっと忙しく更新できておりませんでした……すみません(泣)

 他のスポーツに関してはそこそこなんだけど……どうにも泳ぐって事が苦手なのです、私。

 別に水が怖いって訳じゃないんだけど、何て言ったら良いのかな……センスの問題?

 克服するべく、水泳教室に通ってみたり、泳げる友達に教えてもらったりとか色々してはきてるんだけど……効果はあんまりだったのよ……悔しいんだけども。

 実はさ……泳げない事は獏くんには伝えていないんだよね……。

 今までそういった機会がなかったし、正直な所この歳で泳げないとか恥ずかしいし、ガッカリさせちゃうかもだし……。

 どうしよう……考え始めたら胃が痛くなってきた……!

「……ひぃちゃん……大丈夫?」

 どうやらさっきから声を掛けててくれたみたいだったけど、悩み事に夢中で気づいてなかったわ……ごめんね。

 ハッとして顔を上げると、心配そうな獏くんが目の前にいた。顔色が真っ青だよ……だって。

 ……ここは素直に打ち明けるべきだよね……?

 誤魔化した所でその場凌ぎにしかならないし、物凄く恥ずかしいけども……!

 もう既に他の所でマイナスポイント貰いまくってる今、これ以上好感度は下がりようがないと思うけども……うぅ。

「あ、あの……その……獏くん……」

 実はね……と、泳げない事を告白すると……。

「何だ……それで落ち込んでたのか……。具合でも悪くなったかと思ってたよ……良かった!」

 と、少し安心したように笑ってた。

「……大丈夫だよ、ひぃちゃん。泳がなくても、アルギの王には会いに行けるから。それに……」

 俺も泳ぐのは苦手だからさと、頬を掻きつつはにかんでいた。

 ええ!?まさかの獏くんも同じだったの……!?

 彼の話では、クロム国には泳げるような海や湖、川に当たるものがなくて、習慣的に泳ぐ事をしてないんだって。もし泳げなくても、魔術でカバーは出来るし、特には問題ないって言ってた。

 あ、あの、完璧超人の獏くんでも苦手な事があったなんて……!

 共通点があった事に驚いたのと、ちょっとした安心感を得られた気分だわ。

 とりあえず、泳がなくても良いって分かったので、ホッと胸を撫で下ろした私でした。


 ……で、どうやってアルギ国の国王様達に会うのかっていうと、一人は陸上で、もう一人は水中で会うみたい。

 うぅぅぅ……やっぱり泳がなきゃ駄目っぽい……。

 獏くんは魔術で何とかしてくれるって言ってたけど……不安は不安だよね……。

 テンションだだ下がりのまま、私達は龍騎車を降りて、王城まで辿り着いたのです。

 水の上にあるせいか、陸地が少し柔らかい感じの感触だった。

 そして、目の前にはさっき遠くに見えていた神殿らしきもの……王城が堂々とそびえている。

 外国の……何て言ったっけ……?あ、パルテノン神殿的な感じの建物だわ。

 手前にあった階段を上がって行くと、入り口にはリザーブの人だろうか、門番をしているようだった。彼らは数人等間隔に立っていて其々に鎧と槍を備えている。立っている奥には天井からカーテンの様に水がさらさらと流れているのが見えた。

 彼らは私達を見つけると揃って深々と礼をしてくれた。

「……クロム国の国王様方ですね。国王が奥でお待ちです。どうぞそのままお進み下さい……」

 門番の中、立派な体格の人、多分隊長さんなんだと思うけど、そう挨拶してくれた後、水のカーテンが静かに左右に開いていった。

 開いたその奥には開けた場所にプールに見えるものと、玉座が見えた。天井にはステンドグラスだろうか、綺麗な装飾がされていて、何処ぞの高級ホテルの室内プール的な??あんまり上手い例えが見つからないんだけど、神秘的な綺麗な場所なのは間違いないわ。

 よく見ると玉座に一人座っているのと、プールの中に一人泳いでいるみたい。

 私達が近づくのに気付いたのか、二人の目線がこちらに向くのが分かった。

「む……来たか……?」

「やあやあ!バクゥ!遅かったじゃないかあ!」

「遅くなって本当にすまない、ソーマ。それにリーンまで……揃って出迎えてくれるとは……恩にきるよ」

 獏くんが挨拶をすると、ソーマと呼ばれた人は玉座に座ったままふんと不機嫌そうに息を吐き、リーンと呼ばれた人は水の中から上半身を出して手を振ってくれているようだ。


 水辺まで進んだ所で、ソーマ王も玉座から立ち上がって、こちらに歩いてきているみたい。リーン王は私達の足元の岸に手を掛けて、こちらを見上げている体勢になっている。

 丁度揃った辺りで、獏くんがそれぞれを見ながら話し始めた。

「あ、ひぃちゃん、紹介するよ。陸にいるのがリザーブの代表でソーマ、泳いでるのがマリューの代表でリーン。来る時に説明した通りだけど、二人でこのアルギ国の国王をしているんだ。ソーマ、リーン、彼女が俺の妻になる緋影さんだ。宜しく頼む」

 獏くんの紹介に合わせて、静かに会釈する私。

 ソーマ王は腕組みしながら少し不機嫌そうな感じで、リーン王は笑顔で頷いてくれたみたいだわ。

「紹介に預かった通りだが……俺はソーマだ。リザーブの奴らを取り仕切ってる……」

「僕はリーン!マリューの代表だよ!宜しくね、可愛いお嫁さん!」

 ソーマ王は全身を青黒い鱗に覆われていて、片目に眼帯、逆立った紫色の髪はまるでハリネズミみたいだった。顔は少し爬虫類じみた感じ。胸元にさらしを巻いて、サルエルパンツみたいなゆったりめのズボン、肩からはごつめのコートを羽織っているみたい。

 リーン王は何だか子供のように小柄な人だった。灰色のショートヘアーに海のように澄んだ青一色の目、特に服らしきものは着ていないようだけど、白い肌には所々赤黒い鱗が貼り付いている。水が揺らめいているせいではっきりは見えないけど、水中に入っている下半身は赤黒い鱗の魚のようになっているみたいだった。


「ったく……いつになっても来ないんで、待ちくたびれちまったぞ……!」

「仕方ないよー、ソーマぁ!タイタンで何かあったみたいだからさあ!」

「……ああ?そう言えば、さっき隣の国が騒がしいとは思ってたが……?」

「んーと、あれでしょ??多分タイタンのバカ王子がまた何か厄介事起こしたんじゃないのー?タイタン王の声がここまで響いてたからねー!」

 えぇぇぇぇ……国を越えて響いてるとか、どんだけの大声!?

 な、何だか知らぬ間にご迷惑をお掛けしたみたいで……申し訳ない気持ちになっちゃったのは私だけですかね……?

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