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新生活を異世界で。  作者: 凍々
六大陸(内1国は見送り)を巡った時のお話……です。
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種族は違っても友達って素敵……です。

 話も終わったらしく、獏くんとピピリ様が、もみくちゃになっている私の方へやってきた。

 それも当然。だってこの世界でたった一人の人間(レアもの)なんだもの。まあ、いいオモチャにされた感じよね。

 そんな私に対して興味津々の子供達のパワーが思った以上で……子供って容赦ないのよ……。

 そ、そろそろ限界だったから……助かったわ……!

 くたびれていたように私を見て、ご面倒を掛けまして……と彼女はそう頭を下げてくれたけど、別に面倒だなんて思ってないです!と慌てて首を振った。

(さてと……貴方達、そろそろお暇の時間よ。お母様と一緒に戻りましょう?)

((((えー!!まだおねえさんとおはなししたいー!!))))

 優しくピピリ様が言葉を掛けるも、子供達からは一斉に不満の声が上がる。

(もう……貴方達ったら……バクゥ様達を困らせないで……!まだご用事があって行かなければいけないそうなのよ……)

 困ったような彼女の言葉に続くように、ウィードル王も子供達を嗜めるように話した。

(……ピピリの言う通りだぞ、我が子等よ!バクゥ達はあとアルギとタイタンの二つを訪ねなければいけない忙しい身なのだよ!引き留めたいのは私とて一緒だが……バクゥは王として約束は守らねばならないのだ!約束は破ってもいいと、父や母はお前達に教えたかね?)

 うーと不満混じりの声を上げつつ、その場で考え込む子供達。

 やっぱりお父さんの言葉は重みがあって響くみたいだね。

 ちょっと間があったけど、納得してくれたのか、子供達はピピリ様の回りに集まって、私達の方へ手を振ってくれた。

(ほんとうはもっとあそびたいけど……きょうはばいばいだね!)

(おねえさん!またあそびにきてね!)

(あたしたちまってるね!)

(こんどはもっとおおきくなってるから!)

(たのしみにしててね!)

 思い思いの子供達の言葉に、私は思わず涙が出そうになってしまった。癒されるし、アラサー女子の心に刺さる、刺さるわ……!

 遊んでもらって思うけど、やっぱり子供って良いなぁ。私もあんな風に子供に接する事が出来るお母さんになりたいなぁ……なれるかな……?

 ……恒例の守護者への挨拶はって?

 聞いたら、この土地自体が祭祀の場に当たるし、ピピリ様が祭祀長も兼ねてるらしいから、来てくれるだけでも大丈夫なんだってさ。ウィードル王が言ってたから間違いないはず。


 ちょっと後ろ髪を引かれる思いだったけども、私達はカボ国を後にして、次のタイタン国へ向かう事になったのです。

 龍騎車に乗り込んだ否や、すぐに心配そうな表情を浮かべた獏くんが話し掛けてくれた。

「待たせてしまってごめん!ウィーは話好きだし、俺も久し振りに会ったから、ついつい話し込んじゃって……」

 全然大丈夫だよ、と伝えると、よかったと獏くんは安心したように笑っていた。

 聞けば、ウィードル国王とは昔からの知り合いだったんだって。だからわりかし気楽に喋っていたんだね。納得したわ。

 一緒にカボ族の人達があまり国を出ない理由も聞く事が出来た。

 彼等が生活出来るのは、豊かな土壌と澄んだ空気がある場所であり、テラリアンでは今の国だけが該当するんだって。

 短時間であれば、魔術の補助も使って他の国にも出向けるけど、それでも負担はかなりあるみたい。

 あと、幼年期はあの子供達のように自由に動く事が出来るけど、成人の時期になると、男性の殆どはウィードル王のように身体が樹に変化していってしまい、大地に根を張り、国土を支えて暮らして行く事になるらしい。女性はピピリ様のように身体の一部に花を備えていて、国内であれば比較的自由に動く事が出来るんだとか。

 特性上、あまり国を離れられない、ってそういう意味だったんだ……。

「ふふ……小さい頃は国を行き来して遊んでいた事もあるけど……ウィーが成人してからは中々そうもいかなくてね……」

 そう語る獏くんの表情は寂しげだった。

 聞いちゃ不味い事だったよね……と内心しょんぼりしていると、獏くんが気付いたみたいで、逆に慰められてしまったよ。

「ウィーと自由に遊べなくなった事は確かに寂しいと思っているよ。でもね、彼は国王として、あのカボ国を支える大事な役割を担っているんだ。それに今なら時間さえあれば訪ねる事は出来るし、通信(コール)っていう魔術もあるから、話そうと思えばいつでも話せるし。以前と違う形だけど、彼とは友達でいられるからね」

 だから、俺は平気だよ、と獏くんは笑った。

 彼の言葉に私は思った。

 付き合い方って人によって違うよね。

 お互いが納得しているのに、変に悲しんだらその中に水を指すようなもの。

 獏くんとウィードル王はそういった形でも友達なんだもの。

 部外者の私がとやかく考える事じゃないよね。

 友情ってそういうものよね。うん。


 ……なんて、一人で思って納得している内に、次の国に着いてしまったみたいですよ。

 タイタン国……だっけ。獣人さんの国で、以前会ったフェンさんの故郷なんだったよね。

 ここまでとりあえず友好ムードではあるようだけど……次はどうなるかしら……?

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