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新生活を異世界で。  作者: 凍々
街へ連れて行って貰った時のお話……です。
45/114

ロゥジさんとアリーナちゃんのあれやそれ。

 とりあえず、獏くんから二人は改めて待機を申しつけられた。

 明らかに落ち込む二人……可哀想……。

 そんなぁ……と不満そうな声を上げていたアリーナちゃんの首根っこを掴んで力ずくで引っ張って行くロゥジさん。

「この度は大変ご迷惑をお掛け致しました……!どうぞごゆっくり御観光下さい……!」

「あ、あるじさま!く、くるしいです……!」

 あの感じだと、無理やり幼女を拐う風にも見えちゃうんだけど……大丈夫なのかな……?


「ふう……全くいつも騒がせてくれるよ、あの二人は……」

 二人を見送りながら、獏くんはため息混じりにそう呟いていた。

 聞けば、アリーナちゃんの脱走は、今回が初めてではなくて、もう数十回にわたるとか。結構常習犯じゃない……?

「まあ、さっきの様子を見ればひぃちゃんも分かると思うけど……根は悪い仔じゃないんだ。けどね……」

 彼女はドラゴンの中でも若手にあたるので、気力と体力が有り余っている事と、好奇心が人一倍ある事、ドラゴニアという希少種の為もあるけど、力量的に止められる人が限られてしまうからだって。

 ちなみに、彼女を止める事が出来るのは、この国では獏くんとロゥジさん、主であるフェンさんとお義父さんぐらいしかいないそう。

 何度目かの脱走時には、逃げる彼女と追いかける獏くんとの間で騒動になって、王城の半分が吹っ飛んだらしいよ?

 ドラゴン恐るべしなのか……獏くん恐るべしなのか……?多分どっちも凄いって事で納得する事にしました。


 アリーナちゃんの主として契約しているのは、ロゥジさんらしいんだけど、このロゥジさんも一癖あるらしい。

 非常に真面目で優秀な人である事は間違いないらしいんだけど、突如睡魔に落ちてしまう事があるらしい。

 普段は、睡眠防止の魔術を掛けているから大丈夫らしいけど、丁度効果が切れてしまった所に、睡魔が来てしまったと。さっきの話で、つい居眠りを、って言ってたけど、それが原因みたい。

 ……うん、色々思う所があるけど……人選ミスじゃないかな……と、思ったけど、そういう訳ではないらしい。

「……ドラゴンと契約するには、その魂と波動が合う者じゃなきゃ駄目なんだ。ロゥジの家系はその波動を操るのに長けていてね、代々御者を多く輩出しているんだ。あいつも当代一と呼ばれているくらい実力者なんだよ。この国ではドラゴニアと契約出来る事が出来たのはロゥジだけだからね」

 へぇ……そうなんだ。確かに礼儀正しいし、出来る人オーラがすごいもんね……。

 ちなみに獏くんもドラゴンとは契約してるんだって。でもアリーナ(ドラゴニア)ちゃんとは上手くいかなかったらしい。

「まあ、何代か前らしいんだけどさ、ロゥジの家系を妬んだヤツがいて、そいつが呪いを掛けたんだ。本当は一族諸共一生眠らせるつもりだったらしいけど……術者の力が足らずに呪いは暴発、だけど余波があって、それがロゥジの家系に取り憑いてる感じかな」

 暴発の結果といえば、呪いのほとんどを術者が受けてしまい、昏睡状態のまま亡くなったらしい。

 ただ、最後の一念があったのか、非常に弱いものだけれど、思念というか怨念というか、その一部がロゥジさんの家系に呪いとして残っているんだって。

 人を呪わば穴二つ……どの世界も同じ事だね……。

 呪いの件もあるから、何かあっても困ると、国のお偉いさん達は獏くんに対して配置替えを申し出たらしい。でも、契約者を変えようにも、彼以外に該当者がいない。彼自身も非常に優秀であるし、ドラゴニアの力を失うのは国家として大きな痛手である、という観念から、今もロゥジさんをアリーナちゃんの主としているって話らしい。

 うわぁ……なかなかの苦労人だった……そんな気配はしてたけど。

「俺は誰が何と言おうが、あいつを御者から下ろすつもりはないよ。あいつを昔から知ってるのもあるけど、一番信頼出来る友達だからね」

 昔からの友達かぁ……そういう人がいるって良いなぁ……。

 フェンさんから獏くんの昔話を聞いたけど、機会があったらロゥジさんからも彼の話を聞いてみたいなぁ……なんて。


 友達ね……私もいない訳じゃなかったけど、もう会いに行けない……よね……。

 元気かなぁ……みんな……。

 ちょっとしんみりしちゃうなぁ……泣くまでじゃないけど。

「……まあ、予定はちょっとずれたけど……そろそろご飯食べに行こうか?」

 ひぃちゃん好みのお店があるんだって、そう教えてくれた。

 え!?ご飯!?どこどこ!?

 獏くんの言葉に、必要以上に反応する私。今までのしんみりムードはどこへやらですよ……?

「もう……ひぃちゃんたら正直なんだから……そんな所も可愛いけどね!」

 と、獏くんは少し呆れた感じで笑っていた。

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