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新生活を異世界で。  作者: 凍々
異世界に来る事になったお話……です。
24/114

彼に疑いあり…です!その1

 ……朝です。

 誕生日のサプライズ明けでございます。

 目を覚まして、まず確認したのは、自分の左手。

 眼鏡なしでも分かる。そこには昨日と変わらずに輝く薬指の指輪が見えた。

 ……良かった!夢じゃなかった!

 安心と嬉しさが込み上げてきて、思わず自分の手なのに頬擦りしてしまったよ。うわあ、恥ずかしいね!

 もう一回、いや何度でも言いたいんだけど、獏くんにお礼を言わなきゃ……。

 と、思って隣を見たけど……獏くんはいなかった。

 ここ数日、朝起きても彼がいないことが多くて、正直寂しいのです。空の隣を見る度に胸がグッと締め付けられる気持ちになる。立場上、忙しいのかなとは思ってるんだけど……。

 ありがたいことに、私の自重しないお腹の虫さんが鳴く前には帰って来てくれるんだけど、そんなに朝早くからお仕事ってあるのかなぁ……?


 はたと私の頭の中にモヤモヤとした思いが浮かんでくる。

 ……まさか、考えたくはないけど、他の女がいて、朝からその人の所に会いに行ってたりとか!?

 ……獏くんに限ってそんなことないよね??

 そりゃあ、イケメンで身長も高くて器量良しで博学で家事上手で化け物染みた強さで王様でって、結構な優良物件だけど!

 言い寄ってくる女、多そうだよね……。この間の自称許嫁って子もそうだったし……。

 ……いやいや!昨日のプロポーズや今までの彼を思い出すのよ、自分!!

 付き合ってからまだ手繋ぎと、頑張って頬にキスするぐらいの奥手過ぎる彼を!

 どう見ても自他共に認められるほど、一途な彼を!

 勢い余って公開しょ……プロポーズまでかました彼を!

 ……うん。思い返してみたら、結構恥ずかしいわ……!

 そして思った。この考えはない。こんな彼に限って浮気なんてない。

 でも、一度浮かんだ疑念は簡単には拭えない。

 これは……一度お話し合いが必要だね?()()()()()がね?

 私が良く食べるせいで、朝から大量に仕込まなきゃいけなくて早起きとかって方がまだいいけど。……いや、良くはないけど!

 駄目だ……色んな意味で不安になってきちゃった……!

 獏くん……早く帰って来て!


 と、思ってたら、部屋の扉が開き、体を起こしてみると、そこには帰ってきた獏くんが見えた。

「……あ!ひぃちゃん!起きてたんだ!」

 こちらを見つけて、おはよーう!とにこやかに手を振りながら駆け寄ってくる彼。後ろにキラキラのエフェクト付きです。

 昨日のプロポーズの時とは一転して、普段の彼に戻ってるね。

 しかし、いつ見ても爽やかで……。眩しいわぁ……。

 最近は見慣れちゃった感あるけど、格好はV系のままだからね。もしくは悪魔系のコスプレのお兄さんだからね。ギャップは健在よ?

「ひぃーちゃーん……って!?そんなに怖い顔しちゃってどうしたの!?」

 駆け寄ってきた彼が思わず、足を止めて、心配そうな表情で私に声を掛けた。

 おっと、いけない……考え過ぎて悩みが顔に出ちゃったかなー?

 ……まあいいや、このまま聞いてみようか。

 このままじゃモヤモヤし過ぎて仕方ないし。

「獏くん……どこに、行ってたの……?」

 寝起きのテンション低めの時の声でそう尋ねてみた。

 ギクリ!と、獏くんの肩が大きく跳ねた。それと笑顔から気まずそうな表情に変わり、目があちらこちらに泳いでますよ?

「え?えっとね、その……」

 あ、目逸らした!

 まるでイタズラしてるのを見つかって、誤魔化そうって時の子供みたいなリアクションを取る彼です。

 おっと?明らかに動揺してるよね……?

 怪しい……怪しいぞー。

「ねぇ、獏くん……?何か、隠してたり、しない……よね?」

 ここは追撃してみる。じと目も追加ですよ。

「そ、そ、そ、そんな事はないよ……?」

 えーとか、あーとか、どうにも様子がおかしい獏くん。

 そして、目は合わせてくれないときてるし。

 私の中の猜疑心メーターがぐんぐん上昇してるよ?

 ここはもう一発かますとしましょう。この反応次第で私は()()()()()()怒っちゃうかもしれないけど……。

「本当に……?本当に、何も、ない……んだね……!?」

 じと目マシマシの私の駄目押しの問い掛けに、ついに獏くんが折れたようです。

「あーあ……ひぃちゃんには敵わないなぁ……」

 諦めたように苦笑いを浮かべながら、彼は1つ溜め息をついて見せた。


「本当はもう少し内緒にするつもりだったんだけど……、もう

 いいかな!もう完成したしね!」

 拳をポンと叩き、一人納得した様子の獏くん。

 ん?完成って言った?何か作ってたって事??


 ……と、とりあえず浮気の線はなさそうって事にホッと胸を撫で下ろす私。

 でも、仕込みの可能性が高くなってきたね……悲しいかな。

 どっちにしろ、一回謝ります、心の中で申し訳ないですけど。

 獏くん……疑って、ごめんなさい……!

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