表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生活を異世界で。  作者: 凍々
異世界に来る事になったお話……です。
21/114

久し振りに読書してます。

 ……色々と考えてしまっていたら、結局寝れませんでした。

 あれから獏くんはまだ帰ってきてない。

 すぐ帰るからって言ってたんだけど……長引いてるのかな?

 王様だもんね。色々と忙しいんだよね。きっとね。


 帰りを待ちつつのベッドの上でごろごろ、ごろりも飽きたので、久し振りに本を読んでおります。

 何日か前にどっと読み込んだけど、まだまだ読めていないものは沢山あって、今回はその時に読めていなかったジャンルを読んでみる事にしたのです。

 そのジャンルは……ずばり魔法です!!

 今回の事があって、やっぱり思ったのですよ。

 やられっぱなし、何も出来ないのは悔しい!

 獏くんに聞けば多分教えてくれると思うけれど、その前にちょっとでも予備知識があった方が良いかと思ったのですよ。

 火がドバー!とか、雷がドカン!とか、別に派手なものを覚えようとか思ってなくて、本当に必要な時に使える、その場から逃げるとか攻撃を避けるとか実用的なものとかがあれば助かるんだけどなぁ……。

 それに……魔法とかちょっと憧れるじゃない?女子としてはさ?

 衣装なんかも凝っちゃったりしてね!ステッキ振っちゃったりしてね!箒なんか乗っちゃったりとかしてね!使い魔がいてサポートしてもらったりとかね!えへへ。

 ……何?アラサー女子は夢見ちゃいけないですか?!

 見苦しいって?余計なお世話だぁ!!


 ……ふぅ、つい熱くなってしまったぜ。いけないいけない。

 落ち着いた所で読書再開です。応接室セットまで移動してます。

 沢山の本の中から探すのは苦労したけど、なるべく分かりやすい言葉で書いてあるもの、動作とかの挿し絵の入ったものを基準に何冊か選んできました。途中であからさまにやばそうな装丁のもあったけど見なかった事にします。

 そして、今読んでるのは《☆たのしいまじゅつ☆》っていういかにも初心者向けというか子供向けの絵本。

 知識そのものがないからね。まずは初歩の初歩からですよ。

 お話としては、テラリアン幼稚園っていう所を舞台に各種族の子供達がミトラと呼ばれる先生の元で仲良くお勉強していくものだった。


 《まじゅつには、たくさんのしゅるいがあるよ!じぶんにあったものをまずはみつけてみよう!》


 《つかうときは、あたまのなかでまじゅつのイメージをしてみよう!ことばにしてもだいじょうぶだよ!》


 《どんなまじゅつがいいかな?どこに、どうやって、どんなふうにこうかがあるか、しっかりかんがえることがせいこうのちかみちだよ!》


 《しっかりイメージできたかな?できたら、まりょくをそのかたちにしてみよう!イメージのつよさによって、つかうまりょくがかわってくるよ!ちゅういしてね!》


 《つかいにくいときやイメージがうまくいかないときには、つえやボール、ほねとか、どうぐをつかってみてね!》


 《たくさんのれんしゅうもだいじだけど、あまりがんばりすぎると、まりょくがなくなってぐあいがわるくなっちゃうから、ほどほどにね!》


 《まりょくのりょうは、ひとによってちがうよ!しりたいときは、おとなのひとにいって、魔針(ましん)をつかってもらってね!》


 《まじゅつには、べんりなものもあるけど、あぶないものもあるから、かぞくやおともだちにつかうときには、よくかんがえてからつかおうね!もちろん、ケンカにはつかっちゃだめだよ!》


 ……うん!分かりやすい!

 イラストもゆるキャラ的な感じで馴染みやすいし、各種族の特徴が良く分かるのも個人的には結構いい。

 ただ、ひらがなではないんだけど、それに近い子供向けっぽい文字ばかりだからちょっとそういった読み辛さはあるけどね。


 その他にも選んだ本を読んでみたけど、根本として言ってる事は同じで、まずは発動させたい魔術のイメージを明確に持つ事が大事みたい。

 ふむふむ、魔法の基本はイメージなんだね。思考してもいいし、言葉で発しても効果はあるみたい。

 例えば、火の魔術を発動したい場合、どこに、どの位の範囲で、どの程度の強さなのかを考えなければならないって事。それによって発動に値する魔力が持っていかれて、現象が起きる訳ですな。

 でも、魔力が足りない、イメージが固まりきっていない場合には発動には至らないと。もしくは制御が出来ずに暴発してしまう事もあるみたい。気を付けよう……。

 熟練者であれば数キロ先の竈に火を付けるとか、広い範囲で地割れを起こすなんて芸当も出来るらしいけど、そこまでは求めてないのでパスで。

 発動し辛い時には杖や水晶玉やその他の道具を触媒として使う時もあるらしい。イメージの補助になるんだって。私もそこから始めた方がいいのかも。

 あと、大まかに分けて3つの種類があるらしい。

 火や水や風や大地とか空間とか、自然にあるものに対して魔力を行使する《外魔術》、他人や自らに対して魔力を行使する《内魔術》、物を作ったり生み出すようなものやそれ以外の区分に困るものは纏めて《特魔術》と区分されている。3つの魔術形態を組み合わせて使う事もできるとか。中々奥が深い……。


 カタリと背後から音がして、振り返ると獏くんがニコニコとお盆を手に歩いてきている所だった。

 お盆の上にはいつものお茶セットと大量のクッキーが見える。

「ふふ、ひぃちゃん、またお勉強してるんだね」

 偉い偉い!とポンポンと頭を撫でられた。なんか恥ずかしい。

「あ、これって……」

 獏くんが一冊本を手に取り、懐かしいなぁと笑った。

 それは一番始めに読んでいた絵本だった。

「これは俺が子供の頃に良く読んでたんだ。母さんもまだ生きてた頃で、読んだ後に練習に付き合ってもらったりしてさ……。頑張りすぎて倒れた事もあったんだよ?」

 彼も腰かけて、懐かしむように昔の事を話してくれた。ちょっと切ない表情で。

 そうなんだ、獏くんの思い出の本だったんだね……。偶然とはいえ、見つけられて良かったかも。

「うん、久々に見れて嬉しかったよ。ありがとう、ひぃちゃん」

 と、彼はいつものように微笑んだ。


 その後は獏くんに魔法の事を聞いたりとか、晩御飯何がいい?とか普段の話をしながらティータイム。クッキー美味しかった!

 お勉強ついでに獏くんの話も聞けたし、今日はいい日でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ