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新生活を異世界で。  作者: 凍々
異世界に来る事になったお話……です。
2/114

寝起きにやらかしました!

 ☆


 夢を見ていた。子供の頃の夢だった。

 将来の夢を書く作文。サッカー選手やお花屋さん、看護師や先生とかなりたい職業を皆書いている中で私は[お嫁さん]と書いた。

 案の定回りの子達からは笑われ、先生からも呆れ気味に見られたけど、私は本気で書いたのだ。

 両親がいなくて、家族はお祖母ちゃんだけ。お祖母ちゃんはいつも優しかったけど、正直寂しかった。だからお嫁さんになれば旦那さんがいて、子どももいずれかできて、義理のお父さんやお母さんも出来て、お祖母ちゃんもいて、寂しさが薄れるんじゃないかって。とにかく賑やかな[家族]と言うものに憧れていたんだと思う。

 でも、今は寂しくない。彼がいるからね。

 あ、もう彼じゃないや……旦那様か。

 思わず顔がにやける……ってこんなん最近なかったっけ?


 ☆


 デジャブの気配に目を覚ました。何だか納得いかない。

 そんなこんなで目が覚めて始めに見えたのは彼の顔だった。しかも大分近い。

 「あ、起きた」

 「……!!!」

 色々な驚きが重なり過ぎて頭が大混乱、叫ぶ間もなく、思わず……。

 どすっ。

 正拳突きをかましてしまった。よりによって旦那様に。

 「おふっ……、さ、流石ひいちゃん……。み、見事なストレート……だったよ……」

 最後の言葉を言い終わるか否か、旦那様は床にゆっくりと崩れていった。

 「……はっ!ご、ご、ごめんね、貘くん!」

 今更ながら、彼の名前は黒野貘です。穏やかな優しい旦那様です。

 ベッドに寝ていたらしい私は慌てて下りて、彼に駆け寄る。ものの見事に鳩尾にクリティカルヒットしたらしく床でもんどりうっていた。

 「だ、大丈夫だよ。ひいちゃんの正拳突きは2度目だからさ……。び、びっくりさせちゃってごめんね……」

 ちなみに初回は看病に来てくれた時です。人が近いのに慣れていなくて思わずやってしまいました。あの時も暫く床で悶えてて、その間謝り通してたっけ……。

 心配してくれている人に1度とならず2度までも……、恥ずかしいったらない……。

 息も絶え絶えな貘くんに暫く謝り続けました。でも、貘くんはいつも通りの感じで流してくれました。にっこり笑ってくれたけど口元からうっすら血が見えていました。そんなに強く当たっちゃったのね……、ごめんなさい。

 ……暫くの後。

 回復した貘くんは私をベッドに寝かせると、ベッドサイドにそっと座った。

 「……ふぅ。落ち着いたよ。ひいちゃんも大丈夫かな?」

 「う、うん……、何とか」

 「良かった……。あ!声も戻ったみたいだね」

 本当だ。ちょっと前は出なかったのに声が出るようになってる。ちょっとほっとした。

 「本当にごめんね。俺の事情に巻き込んで。そのせいでひいちゃんに迷惑掛けちゃった……」

 貘くんはさっきの穏やかな表情をしゅんと暗くして。私に背を向けて項垂れながら謝り始めた。

 「もっと早くに打ち明けておきべきだったんだ。俺の事。でも、言えなくて……」

 「貘くん……」

 項垂れる彼の背中がいつもより小さく見えて。何だか怒られた子どもみたいで居ても立っても居られず、貘くんの背中からぎゅっと抱き締めていた。

 「ひいちゃん!?」

 「……何が何だか分からないけど、貘くんは私を守ってくれようとしたんだよね?ありがとう、貘くん」

 「でも…守りきれずに大怪我させちゃったんだ…。謝っても謝りきれないよ」

 「ううん。いいの。貘くんがそういってくれただけで。でもそれでも貘くんの気が済まないっていうなら……、これから夫婦になるんだから、これからの人生を幸せにしてくれたらそれで許してあげる」

 こんな風に抱きついた事ってなかったよね……?どうしたの自分。しかもかなり恥ずかしいこと言ってる……!

 今更ながら凄くドキドキしてきた。と同時に顔が熱い。背中からで良かった本当に。獏くんの背中思ったより広くて安心するなー。何だかいい香りがするし……。

 ぎゅっと抱き締めた私の腕にポタリと何かの滴が。獏くんの涙だと直ぐに分かった。

 やっぱり背中からで良かった。泣いてる所は誰だって見られたくないよね。

 「ひいちゃん……、本当にごめんね。あと、ありがとう。俺が幸せにするよ、絶対」

 肩を小刻みに震わせながら背中越しに貘くんは言ってくれた。

 やっぱりこの人で良かった。

 ……お祖母ちゃん、将来の夢ちょっと叶ったかも。

ちょっと主人公の回想多めです。

まだ異世界っぽくないです。頑張ります。

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