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新生活を異世界で。  作者: 凍々
式終わって……また一難あった時のお話……です。
114/114

これからも続く、日常を願って……。

 ……昨晩から明けて翌朝です。

 薄ぼんやりとした意識の中、ゆっくりと目を開けると、隣には獏くんが眠っていた。生まれたままの素の姿でっていうのは……察して下さい……!!

 静かに寝息を立てて、何か楽しい夢を見ているのか、時折ふふっと笑っているみたい。何だか子供みたいって愛おしくなって、横にいる獏くんの頭をそっと撫でてみたり、頬をなぞってみたりしてみたら、眠ったままニコニコと微笑んでた。あれ?起きてない……よね?

 そんな彼の様子を楽しみながら、ふと昨日の夜の事を思い出していた。

 まるで夢見心地でふわふわしてて、お互いに熱に浮かされてて……よく覚えてない事もあるんだけど……獏くんがとても優しく紳士的に接してくれたのと、すっごく幸せだったって事だけは記憶してる。

 その……お互いに初めてだったし……比較対象とか参考になるそういった知識がね、少ない中だったけど……私は私なりに、獏くんは獏くんなりに、精一杯頑張った……はず!!


 私の動作に気づいたのか、獏くんも目を覚ましたみたいだった。

「ん……おはよう、ひぃちゃん……」

「お、おはようございます!?」

 普通に返せばいいのに、さっきまで昨日の夜の事なんか考えてたから、変に声が裏返ってしまったわ……恥ずかしい……!

 私の様子を受けて、獏くんも昨夜の件を思い出したらしく……途端に赤面してた。

「あ……ああ、き、昨日は……その……あはは……」

 そのあと何とも気まずい、もどかしい沈黙が流れたりして、お互いに目も合わせられずにいたけど、途中からこの状況が相変わらず私達らしいねって思ったら、面白くなっちゃって……最後にはお互いに笑い合ってた。

 本当、昨日のお風呂での時の大胆さはお互い何処へ行っちゃったのかな……なんてね?


 一頻り(ひとしきり)笑った後、どちらともなく抱き締め合って、お互いの温もりを感じ合ったりして、幸せを噛み締めてた。触れ合った所から聞こえる彼の鼓動が心地よくって、安心してまた眠くなってきちゃうぐらい……えへへへ……。

 再度うとうとし始めていた私をあやすように優しく撫でる彼の手。温かいし、気持ちいいな……。


 そんな幸せな気持ちの中、ふとこれまでの間の事を思い返していた。

 私達ってこうなるまで結構色々あったよね……って。

 婚姻届出しに行っただけのはずなのに、気づいたら異世界に来てしまってたし。

 普通の草食男子だと思っていた獏くんが異世界出身のしかも王様だっていうし。

 元の世界に戻れないって分かって絶望もしたけど、獏くんがいたから乗り越えられたし。

 獏くんの美味しい料理と素敵なサプライズが沢山あって、毎日毎日新鮮だったし。

 予想していなかった結婚式とチャペルと素敵なドレスも用意してもらえたし。

 国を回って色んな人達に出会えて、色々な体験をさせてもらえたし。

 結婚式を挙げたら、なんやかんやのトラブル続きだったし。

 式が終わっても、国を跨いだトラブルに巻き込まれて結構大変な目にもあったし。

 どれもこれも結局獏くんの活躍があって何とか上手くいったけど……何でも対応出来る彼って本当凄いんだなぁ……!!

 ……この世界に来てからまだ一年経ってないと思うけど、元の世界より濃い毎日を送っているよね。

 元の世界にいたままでも、獏くんときっと幸せに暮らしていたとは思うんだ。普通に暮らして、普通に仕事して、普通に子供も出来て家族が増えたりとか、子育てしたりとか、普通の人生を送れたんじゃないかと思う。

 でも、今ここにいるって事は……こうなる運命だったんだって改めて思う。

 元の世界に全く未練がないって言ったら嘘になるけど、人間なるようにしかならない、来てしまったんだから仕方がないって、今は思えてる。

 結婚を機に新天地に引っ越すのって良く聞く事だし。まあ、意図せずって所はあるけど……旦那の地元に引っ越したって考えたら……意味合いは同じだよね?

 色々思う事はあるけどね、今言えるのは……私史上一番に幸せだって事です、うん。




 ……気づいたらまた眠ってしまっていたみたい。

 寝ぼけ眼をこすりながら身体を起こすと、隣に獏くんはいなかった。

 また一緒に起きられなかった……って内心しょんぼりしていたら、少し遠くから眠気を覚ますような美味しい香りが届いた。それと一緒に……大好きな旦那様の声も聞こえてきた。

「……ひぃちゃ〜ん!!ご飯出来たよ〜!!一緒に食べよう〜!!」

 ……ああ、いつもの朝が戻ってきたわ。

 これからの事にまだまだ不安はあるけど、まずは朝ご飯を食べてから考えてみよう。エネルギー不足じゃろくな考えも浮かばないしね!!

 私の思いにそうだね!と同意するように、いいタイミングで鳴り始めるお腹の虫くんであります。

 くっ……君も相変わらずだね!ま、まあ、私らしいかな、あはは……!?


「……うん!分かった〜!今、行くね〜!!」

 私はこれからもこの人と生きていきます。一緒に時間を、日々を過ごしていきます。

 家事も出来ない、美人でもない、特技もない、異世界にいるのに魔法の1つもスキルもない私だけど、それでも精一杯獏くんの支えになれるように頑張ります。


 だから……世界が違っても遠くから見守っていて下さい……おばあちゃん。

 (わたし)は……新しい土地(異世界)でも元気にやってますから!!!

「新生活を異世界で」今回で完結とさせて頂きます。


約3年間の連載でしたが、自分でもここまで続けて書く事が出来るとは思っていませんでした。

一旦、彼らのお話は区切らせて頂きましたが、今後の彼らのお話を書いていく予定でございます。


ここまでご覧頂いた皆様、お気に入り登録して下さった皆様、ご評価頂いた皆様、ご感想頂いた方のおかげで、長く続ける事が出来たと思っております。


機会があれば、また違うお話で会えれば幸いです。

本当に、本当にありがとうございました!!

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