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新生活を異世界で。  作者: 凍々
式終わって……また一難あった時のお話……です。
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些細な事でも覚えてもらえてると嬉しかったりするよね。

 今日何度目かの気絶ルート……もう慣れたもんです……本当は慣れたくないけど!

 とりあえずベッドから体を起こして辺りを見渡すけど……獏くんの姿は見えなかった。

 また何処かに出かけているのかなと思ったら、ちょうど空間転移してきたのか、視線の先にタイミング良く獏くんの姿が現れた。

 私の顔を見て、すぐにこちらに駆け寄ってくれる彼。背後に大きく振られた尻尾が見えた気がしたけど……きっとあれは幻影よね……?

「……あ!ひぃちゃん!目が覚めた??今日は良く気絶しちゃうみたいだから、体調悪かったのかなって思って……効能がある薬草を貰いに行ってたんだ。ちょっとの間とはいえ、一人にしちゃって……ごめんね」

 薬草を取りにと言った通りで、獏くんの両手一杯には何やら草が山盛り。摘んだばかりなのか、青っぽい匂いが漂ってくる。産地直送……獏くんはどこまで芝刈りに……??

 てか、気絶する原因の殆どって……獏くん由来のが大半だったりするんだけど……ここまで来て気付いてないのかしら……??

 ま、まあ、心配してくれたのは素直に嬉しいし、ここは彼にお礼を言わないとだよね。

「こ、こちらこそ……度々心配掛けちゃって……ごめんね……」

「そんな!ひぃちゃんが謝らなくっていいんだよ!?俺の方こそ……!」

 ……と、言った具合にこの後は恒例の謝罪合戦でしたわ。お互いに落とし所がないと、続いちゃうよね……。


 暫くそんな事を繰り返してたら、今日再びのお腹の虫くん登場であります。

 いい加減にせえよ!と言う声が聞こえたような、聞こえなかったような……ともかく、今回はファインプレーだったよ、君ぃ!!

「あー……そ、そろそろ晩御飯の時間かな??でもごめんね……これは食用じゃないんだ……」

 違うの……確かに新鮮そうだし瑞々しく見えたし、だからサラダとか美味しそうだよねって若干、ほんのちょっとだけ思ったり思わなかったりしたけど……その食いしん坊判定止めてぇぇぇ……!

「あはは……何か期待させちゃったみたいでごめんね。晩御飯は勿論別に作るんだけど、これは入浴用に採ってきたんだ!」

 入浴用って……薬湯にするって事かな??

 元の世界では近所にあったスーパー銭湯に時折仕事帰りに行ってたんだけど、中でも薬湯コーナーが一番好きだったんだよね……疲れた体に染みるのよあれ……!ついでに上がった後にフルーツ牛乳飲んで、ちょっとの間マッサージチェアに座ってまったりなんて……鉄板コースだよねぇ……ふふふ。

 話を聞くと、獏くんはわざわざカボ国まで行って体に良いと評判の薬草を色々と貰ってきてくれたらしいです。効能は肩こり・腰痛・切り傷・打ち身・美肌効果・血行不順など聞いた事のあるものから、魔力回復・精神安定・解呪・体力増強なんて効能もあるんだって。見た目は正直雑草みたく見えてしまうんだけど……ピピリ様が教えてくれたから大丈夫だって。な、なら安心かな……?

「ほら、ひぃちゃんそういうの好きで行ってたって聞いていたのをふと思い出してさ。ここの所の疲れもあるだろうし、入れたら喜んでくれるかなって……」

 どうかな?とキラキラした瞳で見つめてくる彼。

 もうこの人ったら……気遣い力高すぎでしょ……覚えててくれた事もそうだけど……素敵すぎるよ獏くん……!!!!

 とっても嬉しいよって伝えたら、彼は満面の笑みで激しくガッツポーズ。そして、その場で小躍りして大いに喜びを表現しているのですが、私どんな顔してれば正解??笑えばいいかな??

 貰ってきたっていう薬草が花吹雪かって勢いで舞ってるけど……大丈夫なのかな……。


 その後、部屋中に散らかってしまった薬草を目にも留まらぬ速さで回収した獏くんは、

「待ってて!!ひぃちゃんの為に速攻で準備してくるね!!」

 と、サムズアップしながら薬草を抱えてお風呂スペースに飛んで走っていった。

 準備ってお湯に付けるだけじゃないのかな……他に魔法的な何かを加えたりするとか??

 折角獏くんが私を気遣って用意してくれたんだもんね……楽しみに待ってみる事にします!

 あと、前々から少し考えてたことがあって……今日なら頑張って言えそうな気がしてきたから……思い切って実行に移してみようと思います!!が、頑張るよ!?

 内なる決意から少しして、獏くんが戻ってきた。

 お風呂の準備とやらが終わったらしくて、お先にどうぞって知らせてくれた。紳士です。

 ありがとうって、いつもならここで一人で入りに行くんだけど……。

「あ、あの……獏くん……」

「ん?何だい、ひぃちゃん?」

「その…良かったら……その……あの……」

「……どうしたの?」

「……い、い、い、一緒に入りませんかぁぁぁぁ!!!?」

 ……言っちゃった。

 勇気を出して思い切って言っちゃった……言っちゃったよ……!?

 その、折角夫婦に晴れてなれた訳だし?恥ずかしいのもあるけど、いずれはそういう事にもなるはずだし?

 獏くんが踏み出せないなら、私から……って思ったから……!!

 最後の方は声が裏返っちゃって、締まりのない感じになっちゃったけど……言ったったよ!?

 うーっ……顔が、顔が熱い……!!

 私にしてみてはとんでもなく思い切ってみたけどかなり恥ずかしいね!?

 てか、獏くん……獏くん?あれ……返事してくれないんだけど……?

 ……私早まった……早まっちゃったぁぁぁぁ……!?

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