表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生活を異世界で。  作者: 凍々
異世界に来る事になったお話……です。
11/114

義父襲来!?です!

 ☆前回までのあらすじ☆

 優しくて奥手で純粋な彼氏とようやく結婚までこぎ着けた私!入籍しようと役場まで仲良く向かっていた矢先、謎の大爆発!!気づけば異世界に転移しちゃった!?彼氏も見た目は素朴系男子からV系イケメンに大変身でビックリ!彼氏もとい旦那様は実は異世界のある国の王様で……、って事は私王妃様になっちゃうの!?

 驚きの連続でキャパオーバー起こしまくり!思わず気絶の連続で旦那様もビックリ!ついでに鉄拳も振るっちゃった☆

 そんなこんなで慣れてきた矢先にお風呂場に侵入者!?火事場の馬鹿力でつい撃退したその人は……な、なんと!お義父様!?

 ……どうなる!?私!?でも、愛があればどうにかなる、よね!!


 ……はっ!?思わず妙な脳内ナレーションが流れた?わぁ、続きが気になっちゃうね!

 でも、随分とアニメかラノベみたいな夢だったなぁ。どっちかと言えば少女漫画だったね。……疲れてるのかしら?

 うん、夢じゃないからね!現実逃避は終わりです!


 「……ひぃちゃん?大丈夫?」

 獏くんの声にはたと現実に返った私でした。恐らくはまたまたまた気絶してたらしい。最近多いなぁ。

私の顔を物凄く心配そうな表情で覗き込んでいた彼。覗き込んでいるという事は……私を膝枕してくれてるみたいです。

 普通は逆じゃないか……!どこまで出来た人なの……!優しさに耐えられず思わず顔を覆ってしまった。

 「ふふ、もう、ひぃちゃんたら……恥ずかしがらなくてもいいんだよ?その、もう、ふ、夫婦、だし、さ?」

 優しいんだけども、最後の歯切れの悪さが気になっちゃう。照れが混じってるそんな感じもいいけどね、逆に恥ずかしくなっちゃうんですけども!

 暫し、お互いに照れ合う時間が続きました。

 そう言えば、何か忘れているような?

 ……あ、思い出した!

 「ば、獏くん!さ、さっきの、お風呂場の!」

 一気に血の気が引く感覚に私は飛び起き、さっと獏くんの胸元を掴んでしまった。余程必死の形相だったのか、彼は苦笑いをしていた。

 「ひ、ひぃちゃん落ち着いて!大丈夫!ちゃんと生きてたから!寧ろあの親父にはあれくらいやってもらって平気だから!」

 「へ?」

 獏くんは私を宥めるようにそう言い、離れた先を指差した。そちらへ視線を向けると、私達に背を向けて座る誰かが見えた。

 「親父、彼女が目を覚ましたぞ!」

 獏くんが声を掛けると、その人物はこちらを徐に振り返り、ニヤリと笑った。あれは間違いない、さっきの人だ!

 彼はその場から急に姿を消すと、直ぐ様私達の目の前に現れた。空間を飛んできたみたいに。あれは獏くんが使ってたのと同じ魔法かな……?

 目の前に現れたのは先程思わずアッパーを食らわせてしまったその人。獏くんの話では親父、つまりは義理のお父様。ご挨拶する前に拳で語ってしまうとは何という嫁なんでしょう……。

 身長は獏くんよりやや低めだけど褐色の肌に筋肉質な体格。刺青と黒い瞳、山羊みたいな角は獏くんと同じだけど、角は片方が少し欠けてしまっている。銀色の髪は床まで届きそうな位に長め。髭もあるし、獏くんをワイルドにした感じに見えた。雰囲気は好々爺って感じの人だ。見た目は全然若く見えるんだけど。

 改めて見てみると、確かに親子だと思うけど、どちらかと言えば兄弟みたいにも見えてしまう。確かクロム族は肉体的な老化がゆっくりだったはずだから、実際は結構年は離れてるんだろうなぁ。

 「ほう!さっきの娘子だの?さっきは驚かしたみたいで悪かったなぁ」

 と、開口一番いきなり謝られた。何故に。

 いやいや、謝るのはこっちです……!

 と、いざ土下座の体勢を取ろうと構えたその時、

 「ひぃちゃん、この親父に謝る事はないからね。自業自得だから」

 今までの獏くんとは思えない冷たい言葉が飛んだ。

 あれ?謝るのを止められた。何故に?

 「ガハハハ!バクゥの言う通りじゃ!さっきのはワシの不注意でな!まさかお前さんが来るとは思わんだ、ついつい悪い癖が出てしもうたわ!しかし、お前さん、いい拳を持っとるなぁ!」

 顎を擦りながら、豪快な笑いと共にお義父さんはそう言う。

 いい拳って……、しっかり覚えてらっしゃるんですね!もう、穴があったら入りたい!

 「んで?何しに来たの、親父は」

 「……ふぅと、笑い過ぎたわい。ほれ、この間手紙を出したじゃろ?様子を見に来ただけじゃが?」

 やっぱり。あの時の手紙の件で来たって事なんだ。

 「じゃあもう見れたろ?とっとと帰れ」

 「いやいや、折角だからもう少しいるぞ?その娘子の話も聞きたいでな」

 お義父さんの言葉にあからさまに嫌そうな顔の獏くん。仲が悪いとは聞いていたけど、予想以上に拗れてるなぁ。

 お義父さん的には普通に接してるけど、獏くんが拒否してる感じかな。何だか思春期の親子みたい。微笑ましくもなくもない。

 「……ひぃちゃん?」

 ってそんな考えをしてたら笑顔で釘を刺された。目が笑ってないよー。ワタシ、ナニモ、オモッテ、ナイヨ?

 獏くんの気迫に思わず片言になってしまった。目力が凄かったの、本当に!

 「……彼女に何もなかったから今回は許してやるけど、指一本でも触れてみろ、いくら親でも容赦しねぇからな」

 おお、ブラック獏くんになってる。黒いオーラを隠しもせず、お義父さんと向き合ってるよ。あら、テーブルに片足まで乗せて、完璧にメンチ切っちゃってる!ヤンキーっぽい!

 こんな獏くんも格好いいなぁ……、何て後ろから見ていたら、振り返った彼の顔は物凄くにやけきっていた。あ、中身はいつもの獏くんだね。安心安心。

 「ハッハ!言うようになったのぉ!見違えたわい!」

 獏くんの威嚇もどこ吹く風でお義父さんはまた豪快に笑い出した。やっぱり、元国王様ってだけあって器が大きい。

 ……けど、お義父さん、さっきからめっちゃ唾飛んでます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ