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新生活を異世界で。  作者: 凍々
式終わって……また一難あった時のお話……です。
109/114

私の旦那様は今日も平常運転でなによりです。

 フロン国の件も一旦片がついたって事で、今は領内を龍騎車で巡っているんだって。

 獏くんが言うには、ナナヤさんが国中の国民をあの会場へ召集したとはいえ、それでも来られなかった国民はいるかもって事かららしいです。ちゃんと国民の事を考えてるんだ……王様っぽいねって言ったら、ちょっと複雑そうに笑ってた。

 いや、王様ってのは分かってるんだよ?でも、普段の様子とか見てるとさ……うん。

 私にとっては獏くんは獏くんだから……これからはそういう事にも気を付けないといけないよね、反省です。

 失言だったなってちょっとシュンとしてたら獏くんに笑われちゃった。

「ふふ、そんな事気にしなくっていいんだよ、俺自身の国王としての心構えとか態度とかがまだまだって事さ!それに……ひぃちゃんの前では……出来るだけ一人の男、一旦那で居たいから……ね?」

 なんて惚気混じりの言葉を、赤面+頭ポンポンのコンボで来ましたけど……これはトキメキ不可避です……えへへへへ。

 久々に新婚さんらしい展開に思わずニヤケてしまった私です。

 で、領内を絶賛巡回中ですが……とりあえず今の所は該当の人はいないみたいで、特にイベントなしで進んでるのでただのドライブデート的な展開になっております。

 本当にあの公示で皆集まったって事だよね……改めて思うけど獏くんの支持率って凄いんだ……!!

 ぼんやり外を眺めていたけど……何だか手持ち無沙汰だったので、ふと隣に座る獏くんの頭をなでりなでり。

「ああっ……!ひぃちゃんになでなでしてもらえるなんて……癒やされる……幸せ過ぎて……溶けそうだよ……!!!」

 ……ふるふると身を捩らせながらかなりご満悦な獏くんであります。溶けるって……どういう心境なの??

 喜んでもらえてるようで何よりではあるけど、本当お仕事モードとプライベートの差が凄いよね……顔がゆるみにゆるんでて、確かに……溶けそうっちゃ溶けそうね。

『バクゥ様、王妃様、ご歓談中の所失礼致します……間もなく領内の周回が完了致しますが……国民の反応は感知せずとなっております……この後は如何なさいますか……?』

 ゆったりまったり空間にロゥジさんのアナウンスが入り、それが聞こえた途端にシャキッと顔が元に戻る獏くんであります。切り替え早いわー。

「うむ、全ての民に披露目が出来たのなら重畳だ!なら王城へ向かってくれ、ロゥジ!!」

『はっ!!心得ました!!』

 獏くんの言葉に若干食い気味で返事するロゥジさん。その背後からはこれまた元気なアリーナちゃんの咆哮が聞こえてきてます。

 あの……くれぐれも()()()()でお願いしますよ?いやフリじゃなくて本気でよ??


 前回の獏くんからのお説教が効いてるのか、若干スピードは上がったものの安全運転の許容内で進んでくれたみたい。

 程なくして王城に到着した私達は、獏くんの空間転移でお部屋に移動して、その直後にお腹の虫くんが催促し始めて……今はおやつのお時間です。漸く落ち着ける場所に来たんで、気が緩んでしまったからかもだけど……自重してよぉぉぉ……。

 その様子を見て、獏くんは作り置きしててくれたらしいコンポートを使ってアップルパイ的なのを作ってくれたのです……サクサクのパイ生地と甘々コンポートが相性抜群ですわ……最高です!!!

 私以上に疲れてるはずなのに、そんな素振りも見せずに作ってくれて……私食べてるばっかりで申し訳ないな……でも私料理は壊滅的に駄目だし……その他の家事もちょっと自身ないし……。

「ん?あれ?ひぃちゃん難しい顔してるけど……もしかして今回のは口に合わなかった……??」

「え!?ち、違うよ??美味しいよ!いつも通りとっっっても美味しいよ!!疲れた時には甘いものが染みるよね〜!」

 自分では気づけてなかったけど、どうやら結構深刻な顔をしていたらしいのです。

 優しい彼としては私に何か異変があったのかと、心配して悲壮感マックスな表情になってしまった訳で……。

 私が考えていた事を素直に話すと、獏くんはなんだそんな事か……と安心したように微笑んだ。

「ひぃちゃん……そんな些細な事で全く気に病まないでいいんだよ?これまで何回も伝えているけどさ、食事の事やその他家事諸々の事は俺が好きだからやってるんだ。何より愛するひぃちゃんの為だから!君の幸せの為なら俺は何だってするさ!俺の生きる目的はひぃちゃんだからね!!」

 いつの間にか移動していた獏くんは、跪きながら私を真っ直ぐ見据えてそう語ってくれた。眼差しはキラキラ艶めいてて自信の籠もった笑顔でした。

 あまりに真っ直ぐな言葉と視線に思わず顔を反らしてしまった。だって……こういった展開はどうにも慣れないんだもの……私には眩しすぎるぜ……!

「ふふ、引け目とか負い目なんて感じなくっていいんだよ。俺はひぃちゃんがいてくれるだけで、どんな苦難でも不幸でも乗り越えられるし、これからもずっと幸せでいれる自信があるよ!」

 ……その後も畳み掛けるように獏くんの熱の籠もった言葉が続いた。

 言われる度に、嬉しいのと恥ずかしい気持ちがごった返してきて、どんどん赤面していくのが自分でも分かるし、体温とか鼓動とかも上昇しっぱなし……ああ、オーバーヒート寸前です……!!

 もう限界……で、クラっとして椅子から落ちそうになってしまったんだけど、そこもすかさず獏くんがキャッチ。

「……おっと!?ひぃちゃん大丈夫かい??本当にひぃちゃんは恥ずかしがり屋だね……そんな所も可愛いけど……!」

 すっぽり彼の腕の中に収まる形になって、もっと距離が近くなった事で彼もかなり緊張してて鼓動も激しくなってるのが分かった。結構平常心保ってる感じしてたけど、獏くんも同じだったって事かぁ……。

 そ、そ、そういう所も、もう、優しくって、もう……好きなんだってば……!

「わ、わ、私も……ば、獏くんの事……だ、大好きだよ……!!!」

 彼の顔を見ては言えなかったけど、上手い言葉の一つも言えないけど、でも……伝えたい事は言えたかな……えへへ。

「ああ、嬉しいよ……!俺も大好きさ、いや、愛しているよ……緋影……」

 そんな甘い甘い言葉と一緒に頬と額に柔らかくキスをくれた。

 ……えっ!?ええっ!?ええええええ!!?

 こ、こ、この状況で……彼の腕の中だし……急な名前呼び捨てとか……き、キスとか……ときめくに決まってるじゃない!心撃ち抜かれるに決まってるじゃないの!!


 このフルコンボには矢も楯もたまらず……KOですたい……!

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