今回も獏くんの作戦勝ちです(ほぼ)!!
はい、私です。
今回の件、結論から言うと先の戦の件が原因でした。
まあ……俗に言う逆恨み的な展開だったんだって。
だったって他人事みたく言ってるのは……彼の正体が顕になった所でその絵面のショックで気絶かましたからです……うぅ。
それまでの展開でもかなり戸惑ってた所にアレだったんだもの……察して下さい……!!!
気づいたら安定のベッドの上コースよね……お恥ずかしい限りで……。
なので、この後話すのは獏くんから聞いた話でございます。
ラッチと名乗った彼の正体は……獏くんが指摘した通りで、フロン国国王アビーズ王で間違いなかったんだって。
私が気絶した後もまだ認めようとせず見苦しく足掻きまくった挙げ句、ほんの隙を狙って私を拐って逃げようとしたらしいのですよ!?
どうやら人質にして獏くんより優位に立ちたかったみたい……下衆いね!!!
ちょっと油断があったから獏くんも反応出来なかったらしいんだけど、私にほんのちょっと触れた瞬間……。
「ブギャァァァァ!??」
って酷い断末魔と共に雷にでも打たれたのかって勢いでその場で黒焦げになったそうで……。
ちょっと忘れかけてたけど、私のドレスってとんでもなく魔術的なセキュリティー万全だったんだよね……。
フラロウスお姐様特製でガッチガチの守護?加護?だっけかがフル装備だったらしいし。
あの怨嗟の塊だったカンビィ元前王妃すら弾いた実績もあるもんね。
私に害をなそうっていう輩には容赦なく反撃するオプションがあったんで、私は難を逃れたって訳です。これは作ってくれたオネエ様とオーダーを出してくれた獏くんのお陰です……感謝です!!
黒焦げになっちゃったんで話は聞けないかと思いきや、探脳って魔術があるらしくて、それで今回の計画をまるっと知る事が出来たんだって言ってた。
先の戦で大敗を喫したフロン国は国民の魔力の枯渇が大規模に起きてしまった事により(これは獏くんが魔力を強制的に奪取したって言ってたよね)、国の存続が危ぶまれてしまっていたようなんだけど、自棄になったあの人が隠し持っていたマルビルを集めて過剰摂取した後に暴走しちゃって、なんとか抑え込む為に国王さんは奴隷の人たちを半ば人柱状態で差し出したそうなんだけど……そのあたりから計画が狂ってしまったみたい。
まさかその奴隷達を洗脳して、結婚式を襲撃するなんてまでは考えていなかったようで、これには残った国民達からもかなりの反発があったみたい。これ以上国が傾いては困る!!って事だろうね……。
獏くんやお義父さんが以前話していた事だったけど、実質フロン国を支配していたのはカンビィ元王妃の実家だったって話だから、本来の王家には国民を取りまとめる力もなく、さらに内乱が起きているんだって。
これまでの責任を問われ、追い詰められたアビーズ国王は一目散に国外へ逃亡。その最中、結婚式襲撃のどさくさに紛れて自身に偽装の魔術を掛け、奴隷としてその中に紛れる事に成功。隙を見計らって残された奴隷の人達を洗脳し、隠れ蓑兼手駒として内部からクロム国を侵略してやろうって考えに至ったんだって。あわよくばそのまま逃げおおせる計画だったって。
ちなみに……この国王さんはあんまり魔術が得意じゃなかったらしくて、彼が話し合う前にチラチラと周囲を気にしていたのは彼らの洗脳が解けないか心配だったから。と、やってきた私達を取り囲んで捕まえようとしてたんだって。取り囲もうって計画はアリーナちゃん達が来て戦力的に不利だってなったからやめたようです。
こんな立場になってしまった、余計な火種を生んでしまったのは、全てクロム国ひいては獏くんのせいだ!!どうにかして恨みを果たしたかったって事みたい……怖っっ。
しかし、彼の計画はほぼ未然に防がれていたのです……そう、獏くんによってね!!
先の戦の際にも準備していたのもそうだけど、唐突にお誘いがあった空中散歩もそれが絡んでたみたい。散歩を楽しみつつも、上からフロンの人達を観察して不審がないか確認してたんだって。相談無しでごめんねって獏くんから謝られてしまったけど……事情は分かったから特に問題ないよって伝えたら安心したように笑ってた。
で、例の偽奴隷(アビーズ王)を見つけたのと洗脳の気配を察知した獏くんは、ロゥジさんに密かに連絡してて、私達が会談している間に健康チェックも兼ねて洗脳の解除をしてたって訳で。
ロゥジさん達の話では、洗脳自体は簡単に解く事が出来たみたいだけどそれより問題だったのは健康状態で、ほぼ全員が栄養失調で危うい所だったって……もう少し遅かったら多分駄目だったかもしれないとも言ってたって。ここまであんまり良い話題がなかったからこれは聞けて良かった……。
この度黒焦げになったアビーズ王に関してだけど、ある程度の治癒魔術を掛けた上でフロン国へ強制送還したって。
送還前には死なない程度に魔力を吸収した上で、今後同じ事が起きないように獏くんが色々と細工もしてくれたみたい。その色々って何?って聞いてみたんだけど……笑顔しか返って来なかった所を見ると……察せざるを得ないですな……。
最後に一番聞きたかった事、奴隷の方々の処遇についてだけど……。
アビーズ王を強制送還した後、彼らの総意を聞いてみた所……やっぱり受け入れて欲しいって事だったそう。
昨晩にはもう総意は決まりきってはいたようなんだけど、今回のフロン国王の醜態と洗脳の件もあってより意志が固まったと言っていたそうです……納得ですな。
残念ながら、一度刻まれた奴隷の印は消すことは出来ないから、身分や周囲からの扱いや視線は変わらずになってしまうようだけど……それも覚悟の上だって。
獏くんは彼らの申し出を受け入れ、受け入れ先も都合する約束をしたみたい。ただ、奴隷落ちした事を鑑みてこれまでの経歴を審査して、適正な配置をするそうです。
受け入れた上に就職先まで斡旋してくれるなんて……なんて心の深い人なんだろ……惚れ直しちゃうね!!
「……という訳なんだ。色々と心配と面倒を掛けてしまって……申し訳ない!!」
獏くんがベッドサイドで深々と土下座しながら謝罪してくれております。
私としては知らぬ間に展開していた事だし、獏くんが私だけじゃなくってフロンの人達も守ろうとしてたって分かったから謝ってもらう必要がないって話した。そしたら獏くん涙目になって私に飛んで抱きついて来たよ……感極まってからの行動だったみたいだけど、嬉しいやら恥ずかしいやら……ははは。
まあ、目が覚めた時に何処と無く焦げ臭いな〜って思ったんだけど、まさかそんな事になってたとは……。
なんかもう色々通り越して笑うしかない……かな??




