状況確認って大事よね。
まあ色々とあったけども……場も和んだ所で現状確認しよう!
今私がいるのは龍騎車の中。それは朝から変わらずだよね。
何で乗ってたか。それは私達の結婚の御披露目の儀に参加する為、だったよね。そもそも今日じゃなかった訳だけど、予定を大きく変更したんだったよね。
……もう誰とは言わないけど、疲れたし……。
んで、その御披露目の最中に何やかんやあって私が気絶しちゃって退場したと。
その後は獏くんが話してくれたけど、御披露目の儀を終わらせて、会場となっていたゴルディの街を離れて移動中って訳だね。
さっきは後継ぎの事とか慣習の事とかも聞いたけど、それは一旦保留でお願いしたい……かな。
移動中って聞いたけど、どこに向かっているのかは聞いてないし、この後どうするのかは分からないけど……それは獏くんに聞いてみなくちゃだね。
……今分かるのはこれぐらいかな?
とりあえずあの沢山の視線から解放されただけでも助かったわ……。
人見知りにはあの場はハードモード過ぎたよ……うぅ。
少しホッとした所で久々のお腹の虫さんがぐぐぐぅぅぅ……と自己主張し始めましたけども!
いやいや……朝御飯貰ったじゃないのさ!いつもよりは控え目だったかもだけどさ!!
確かに普段やり慣れない事やって、神経も使って、エネルギーは使ったかもだけどね!?
まだ数時間も経ってないと思うの……早くね!?
「あはは……あ、朝から色々あったから疲れちゃったし、お腹も空くよね!あーあ、俺もお腹空いちゃったかな!何か作って来るよ!」
抱き合ったままの体勢では聞かないって方が無理な話。
そそくさと離れていく獏くんの背中を黙って見送るしか出来ない私であります……恥ずかしい……!!
見たかいお腹の虫くんよ??もう聞き慣れた展開に獏くんも苦笑いじゃないか!!
というか優しい獏くんだからまだ苦笑いで済ませてくれてるんだぞ?!
これが他の人になってみなさいよ!多分引かれるかスルーなんだからね!?
頼むから、頼むから、何度でも言うけど……自重してよぉぉぉ……!!
5分も経たずに戻ってきた彼の両手には料理が山盛りでした。
その御馳走を目の前にしたのと鼻を擽る美味しい匂いにまたもお腹の虫くんが騒ぎそうになったので、思わず自分自身に腹パンしたら思いの外痛かったのは内緒。
その様子を若干羨ましそうに見ていた獏くんはスルーの方向でお願いしたいです……。
さあさあとテーブルに促されて静々と着席する私。
目の前にドドンと置かれた深めの大皿からは盛大に湯気が立ち上って、一気に眼鏡が曇る事曇る事……ま、前が見えぬよ……!?
「へへ、今日はドリアを作ってみたんだ!熱いから気を付けて食べてね!」
わぁ!ドリアだって!お洒落なランチだよ!!
大皿のドリア以外にもサラダとか、デザートのフルーツとかも用意されてるし、どこぞのレストランみたくなってる!!
いつも思うんだけど、あの短時間でどうやってここまで揃えられるのかな……ともかく凄いのは間違いないのですよ!!
獏くんがそそっと取り分けてくれて、頂きますの挨拶をしっかりした後、待ちに待った料理を一口パクリ……。
「!!!」
ちょっと火傷しそうになったけど、獏くんの料理に外れなしなのは言うまでもないけど、美味しい……旨すぎるよこれ!!!
香ばしく焼かれたチーズとまろやかなホワイトソース、その中にはしゃきしゃきの玉ねぎとぷりっぷりの海老が入ってる!
これはライスに合わない訳がないよね……!!
あとは……アサリみたいなのとイカ的なのが入ってるっぽい!
シーフードの感じだ!大好物ですたい!!
……とても、とても、美味しかったです……!!
でもあれならもっと食べれたかも……なんて欲張り過ぎだよね。
火傷も何のその、しっかり大盛りを食べ終わった後にこの後の予定を聞いてみた。
「ああ、この後はね、昨日の後始末……みたいな感じかな?」
後始末、と言った直後、若干だけど、獏くんの表情が曇ったのを私は見逃さなかった。
そうよね。昨日は色々とあったからね……私も思う所があるし。
会場の後始末って訳じゃない。それはもう終わってる話。
彼が言ってるのは……昨日起きた事に関しての事だよね??
獏くんの元義理の母親、カンビィ元前王妃が私達の披露宴の会場をフロン国の人々を洗脳して引き連れて襲撃してきたんだっけ。
結果、獏くん率いる参列者連合軍が圧勝して、返り討ちにあったカンビィ元王妃は今何処かに収容されているって話。
私も一時酷い目に合いそうになったけど、フラロウスさんのドレスのおかげで何とかなったんだよね……今思い出すだけでも震えがくるよ……。
んで、首謀者は捕らえられた後に残されたのは、洗脳が解けたフロン国の方々。
彼等は母国で着るものも食べるものもままならない、他の国民達から虐げられていたいわゆる奴隷と呼ばれる立場の人々だったんだよね。
洗脳されていたとはいえ他国への侵略行為に手を貸してしまった彼等は酷く狼狽して後悔して自決しそうな勢いだったけど、獏くんが一つ助け船を出したのです。
獏くんが色々と言ってくれてたけど、結論としてはこの国に残るか元の国へ帰国するかの二択。
残るのであればそれなりに働いてもらうし、帰るのであれば止めはしない……みたいな感じだった。
彼等もすぐに結論を出すのは難しいって事で、返答を明日……つまり今日に延ばしたって展開でした。
で、これからその返答を聞きに行くって事らしいよ?
「まあ……ほぼほぼ答えは決まってはいるだろうけどね、彼等としても母国を見限るってのは簡単ではないとは思うよ」
獏くんが普段はしない難しい顔をしてそう言った。
うん。私もそう思う。
虐げられていたとはいえ、生まれ育った国から離れるのってやっぱり覚悟がいるんじゃないかって。
多分だけど、少なからず恩義とかもあるんだろうし。
さて……どうなるのかな……??




