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新生活を異世界で。  作者: 凍々
式終わって……また一難あった時のお話……です。
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これどんなラブコメ展開……!?

 気迫すら感じる彼女等の態度に思った事があったのですよ私。

 そう……あれは合コンに挑む女子メンバーの気合いに似ているって……。

 良い物件(オトコ)は逃さないというハンターの目線って言ってもいいけど……。

 その考えに至ってはっと気付いた。

 まさか、というかやっぱりそうなんだと確信を持ったよ。

 鈍感な私だってここまで情報が揃えば嫌でも分かる。

 さっきから端々で向けられている妙な視線は……下心を持っていてのものだって。

 つまり……(獏くん)王妃()の2番目になりたいっていう事。側室だか愛人のポストを狙ってきているって事……だね?

 これは公開のお見合い会場状態だったって事なのか……何てこったい!!

 確かに獏くんは顔良し、器量良し、立場良しと好物件過ぎる人だけど……私の旦那様なんだからね!!

 そうじゃなくっても私は獏くんと一緒にいたいんだからね!!!


 そうこうしている内にさっきの女子集団は列の最前線まで到達していた。

 彼女等の視線は当然の如く全部獏くんに向いてる。

 あれは明らかに狙ってる……狙ってる目だわ!!

 その集団の真ん中からさっきのキラキラの正体であろう女子がすすっと一人姿を表した。

 線は細め、真っ白のドレスに高価そうなティアラやネックレスや指輪やらでかなり着飾りまくった小柄な感じのいかにもお嬢様然した女の子だった。

 そんな彼女は獏くんに向けて頬をほんのり染めながら涼やかに笑顔を向けている。

 隣の獏くんはと言えば……笑ってはいるけど、ギリッと歯軋りの音が聞こえたよね……かなーり嫌そうな感じです……。

 私の方もチラッと見たけど、フンと鼻で笑っているような感じでしたよ奥様!失礼しちゃうわ……!!

 獏くんのイライラした心中も届くはずもなく、お嬢様含め彼女等はキャアキャアとはしゃいでいる様子……知らないって恐いよね……!

 そんな彼女等は手に持っていた扇のようなものをこちらにかざしてきた。

 まるでアイドルのコンサートの会場で推しにアピールしてるみたいだわ……。

 んむ?何やら文字が書いてあるみたいだけど……どれどれ……??


 〖親愛なる国王、バクゥ様!どうかセフィリア様にご寵愛を!〗

 〖クロム王家の血筋をより高潔なものへ!〗

 〖純潔は……貴方様に一人だけに捧げます!〗

 〖今晩、祭祀の場の前でお待ち申し上げております……〗


 実はもう幾つか書いてあったけど、この場では恥ずかしくって言えないような内容があったので割愛します……。

 セフィリアってあの中心の女子か……そういう魂胆でやっぱり来てたって事なのね……!?

 ……はぁぁぁぁ!??

 な、な、な、何を言っているのこの人達は……!?

 こんな公の場で、隣に嫁がいるのに、堂々と不倫して下さいって言ってるって事でしょ!?どんな根性してるの!?

 プッツンしかけてちょっと!と思わず踏み出そうとした時、獏くんに前を阻まれた。

 ムッとして彼を見ると、彼は穏やかな顔で静かに首を横に振った。

「ひぃちゃんは怒らなくって大丈夫。俺が言うからさ」

 と、私だけに聞こえるぐらいの小声でそう告げた。

 それから群衆の方へすっと向き直って、さっきの拡声石(マイク)を持って極めて穏やかに話し始めたのです……。


 〖……親愛なる諸君……この場で伝えておく事があるのだが……聞いてもらえるかね……?〗

 獏くんの発した声にあれだけざわついていた人達が一斉に静まりかえった。

 目の前の女子達も流石に黙ったみたい。

 わあ、王様パワー強いね!

 まるっと静まりかえった群衆を見渡した後、再び獏くんは口を開いた。


 〖諸君等の協力を感謝する……では話そう……〗


 〖先程より私や妃に邪な視線を送るものが多く見受けられるが……先代の国王と違い、私は今の妃以外に娶るつもりはない。今後もその心が変わる事はない。彼女も同じく、だ……!〗

 だよね?と言う視線が獏くんからあったから、勿論!と首をコクコクしましたとも!とも!!

 ええ!?と群衆が大きくどよめいたのが見えた。

 どうやら想定外の言葉だったみたいで、明らかに不安と驚きの表情が浮かんでいる。

 〖……確かに我等クロム族は多種族に比べ、繁殖能力に劣っている。だからこその一夫多妻制を敷き、国を維持してきた。前王もそうして母を娶り、私を授かった。その事には私は常に前王と亡き母と深く深く感謝をしている……〗

 あ、この国も一夫多妻制だったんだ!

 そう言えば……獏くんは側室のお母さんから生まれたって言ってたっけ……。

 〖……だが、私は彼女をただ一人の妻として生涯添い遂げる覚悟である!愛もなく生まれた子になど、この国は継がせる気は毛頭ないからだ!〗

 その言葉に大きくショックを受けていたのは、当然ながら目前の女子集団だよね。

 特にセフィリアとか言われてた女子ね。

 物凄く自信持って来ていた感じだから余計よね。

 顔色が赤くなったり、青くなったり忙しそう……残念。

 〖王家に生まれた者として、次を繋ぐ事、世継を産む事は責務である。私の今の言に反論や異論のある者もあるだろう。先がないとこの国を見限ってもらっても構わない。だが、彼女ならきっと、愛しい我が子を育んでくれると私は確信している!そして、この国の明るい未来も、だ!!〗

 ちょ……こんな所で堂々とこ、こ、子作り宣言ですかい!?

 も、も、勿論考えてはいるけども!

 物凄くハードル上がってる……上げすぎだよ獏くん!?

 〖私が生涯愛するのはただ一人……そう、君だけだ……〗

 そう言った直後、獏くんの顔がグッと近付いて……優しくキスをしてくれた。

 ……私達の様子に、群衆から今日一番の歓声を頂きました!!やったね!!!


 ……へ!?い、い、今何が起きましたか??

 ちょちょちょちょ待って待って!!?

 嬉しいんだよ!?嬉しいんだけど……展開についていけてないのは私だけなの??

 えっと、えっと、えっと!?ど、どうしたらいいの私!?

 頭の中がいろんな感情がごちゃごちゃでお祭り騒ぎですよ!?

 考えを纏めようと頑張るけども、オーバーヒート寸前よ!?

 ……も、も、も、もうどうしよう……!?

前回から期間空いてしまい、久し振りの更新になり申し訳ありませんでした…。


ついに100話到達です。

これからもまだまだ頑張ります!

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