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新生活を異世界で。  作者: 凍々
異世界に来る事になったお話……です。
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入籍します!

 私、有野日景はこの度結婚する事になりました。

 とある事がきっかけで出逢ってから約1年。ようやく結婚までこぎ着けたのです。

 し・か・も!女子憧れのジューンブライドですよ、憧れの!

 残念ながら式は上げないし写真も取らないけど……予算の都合上で(泣)。でも7月だから大丈夫……だよね!

 ……何?妄想じゃなく現実です!

 彼女いない歴=年齢の非モテ女子の私でしたけど!

 負け犬人生爆走中だった私にやっと春が来たのです!

 神様……正直いないって思ってましたけど本当は見守ってくれてたのですね……。真面目に感謝してます!

 お母さん、お父さん。私が産まれてすぐに亡くなってしまって写真でしか顔も知らないけど娘は無事に嫁に行けます。この世に産んでくれてありがとう。

 お祖母ちゃん。親がわりに私を育ててくれてありがとう。どんなに言葉にしても言い表せない位感謝してます。遠くでも見守っていて下さい。

 思った人は皆今はこの世にいない人ばかり。でも今日から一人じゃないよ。安心してね。

 1年間過ごしたにも関わらず未だにお互いに照れててまだ手を繋ぐぐらいしか出来てないけど……。

 あんなことやこんな事もこれからするんです!き、キスとか……それ以上の事も!

 思わず顔がにやける。マスク着けてきて良かった。誰かに見られてたら恥ずかしいし。

 ふと、隣を見れば彼が居る。ちょっと緊張した面持ちで前を見つめている。見つめている先には役所の入り口があった。

 繋いだ手がうっすら震えていた。多分彼の手。

 これからは一人の人生から二人の人生になるんだもんね。そう考えたら彼の不安も分かる。正直私もびびってるし。今までにこんな重大な決意をした事がないもの。

 ここまで来たのに尻込みしても仕方ない!女は度胸って言うし!

 そんな気持ちを込めてやや強めに手を力を込めて握った。彼がびっくりしたように私を見た。痛かったかな……?

 大丈夫。二人なら出来るよ。これから先も一緒に。彼の目を見てそう思った。

 気持ちを察してくれたのか、彼は一つ頷いてぐっと手を引いてくれたけど、危うくつまづきそうになった。気づいた彼がごめんねと慌てて謝って、ちょっと立ち止まる。顔を見合わせてお互いに思わず笑ってしまった。お互いに気合いが入りすぎてて空回ってるなー。端から見れば何をしてるのか不審がられたかもだけど、不思議と回りに人は居なかった。

 ちょっと息を整えて。それからゆっくりと二人で歩きだした。手の震えはもうない。ちらりと横目で彼を見ればやる気に満ちた表情をしていた。 

 うん。そうでなくっちゃ。幸せだな、今。これからもきっとそう。

 さあ、張り切って婚姻届を出しに行ってきます!


 ★

 

 そこではっと目が覚めた。

 ……ん?さっきのは夢だったのかな?

 夢にしては随分現実的な、大分願望入っちゃってたなー。

 でも待ち合わせして、早めのランチを一緒に食べて、役所まで……。

 夢じゃない。勇気を出して握ったあの手の感触。珍しく手を引いてリードしてくれた彼の力強さ。夢じゃないよ。現実だったよ。

 じゃあここはどこ?目の前がうすぼんやりしててよく分からないけど……空?昔、旅行に行った時に飛行機の窓から見えた景色に似ている感じがする。

 うっすら明るくなってきてる感じからすると朝方なのかな。淡く空が白んでいって綺麗。

 強くはないけど、冷たい風が髪を揺らし、するりと頬を滑っていく。寒さに思わず身を震わせると何かに抱えられている感覚があった。

 目線を動かすと彼がいた。彼の胸に体を預ける格好になっているようだった。片腕で肩から腰を支えて、もう片腕で両膝を裏から支えている。このスタイルって……お姫様抱っこと言われるものでは……?わわわ、初です!

 でも……彼こんな服装とかしてた?どこぞのゲームに出てくる魔族的なごてごてしたやつ。髪の色も変えて角まで着けちゃって。コスプレの趣味なんかあったの?

 と言うか、彼飛んでないか?私を抱えて。

 何が何だか分からない。気を失ってた間に何があったの?

 「あ、目が覚めた……?良かった……!」

 真っ直ぐに私の目を見て、神妙な顔で私に語りかけてくる。声色はいつもより優しい。それから頭をそっと撫でてくれた。

 何だ、いつもの彼だ。風邪とか引いて臥せってる時に看病に来てくれた時に見せる顔だ。

 ……格好はちょっと痛いけど。

 ありがとう、って声を出そうとしたけど声が出ない。ひゅうと息だけが出ていった。

 「……!?」

 「無理しないで!まだひいちゃんの体が治りきってないんだ…。治癒は苦手で…ごめんね」

 気付けば見える範囲の自分の服が所々破けていて赤黒くなっている。これは…血?

 私、怪我してるの?事故にでも巻き込まれたとか……?

 「もう少しで安全な場所に着けるから!だから……もう少しだけ眠ってて……」

 そう言うと彼は私の額にそっと手を翳す。柔らかな光が見えて、瞼が重くなってきた。それから私はすうっと意識を手離した。



読んで頂いた皆様ありがとうございます!

まだまださわりの話です。

これからどんどん進めて二人の日常が描ければと思います。

良かったらお付き合い下さい。

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