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異世界ギルド飯 ~最強メシでまったりスローライフ~ 作者:白石 新
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魔王とおでんと自衛隊 その7

「エネルギーに変換されるものは……質量っていうんだよ。E=MCの2乘ってやつだ」
「そう、それなのじゃ! E=MCの2乗! その魔術式こそが旧世界を破滅に追いやった超魔術の数々なのじゃっ! しかし、やはり学問として既に理論形成されてしまっておるか……流石に理論の実現までは至っておらぬじゃろうが……」
「相対性理論っていう理論を基にしての兵器なら、とっくの昔に実用段階だよ」
「なんじゃ……と?」
「100年以上前に一人の天才が光と質量の本質にたどりついた。正直、天才の度が過ぎていると俺も思う。とても今の人類に扱える代物じゃない。しかも……悪夢な事に人類はそれの先にまで到達しているよ」
「霊子合体までたどり着いたと? はは、冗談を言うてはならぬ。それは天上でのみ許された禁忌ぞ?」
「……俺らの世界ではそれは核融合っつーんだ」
 しかし、原爆も水爆も共に最初に食らったのは日本ってのは何とも笑えねえ話だよな。
 青色を通り越して土気色に染まったコーネリアの悲し気な表情を見ていると、何故かそんな事が思い浮かんだ。
「……なるほど。では、バベルの塔は?」
「バベルの塔?」
「宙船を他の星に向けて飛ばしまくる拠点の事じゃ」
 ああ、軌道エレベーターの事を言っているのか。
 確か衛星軌道上に宇宙ステーションを建設して、ケーブルやらなんやらで宇宙船やら物資やらを上げ下げするって話だな。
 ロケット噴射の必要がなくなるから、ロケットの打ち上げの安全性と安価性が同時に実現するって話だ。
「流石にそれは実現はしていない」
 ほっとコーネリアは胸をなでおろした。
「だが、アイデアはあるな。いつかは実現されるだろう」
 ギョっとした表情をコーネリアは作って深いため息をついた。
「……のう、お前様よ?」
「何だ?」
 思いつめたような表情でコーネリアは俺に尋ねてきた。
「この世界の破滅は既に秒読み段階に入っておる。あとしばしもすれば、辺境の小国や、あるいは犯罪集団の手によって微小なりし深淵が扱われる時代が来るのじゃぞ? この世界の住民はその重大性が分かっておるのか?」
 テロ組織のレベルでの核兵器の所有って事を言いたいんだろうな。
 まあ、そりゃあ悪夢以外の何物でもない。
 っていうか……
「あとしばしもクソも、今、正にその一歩手前まで来てるよ。みんなそれは分かっている」
 コーネリアは悲し気な表情で首を左右に振った。
「やはりこの世界も旧世界と同じ道を歩んでおるのか。のう、お前様よ? 行き過ぎた技術は害悪にしかならん。故に我ら魔王がおる。致命的な事になる前に……人類の文明を逆戻しにするためにな」
 ビールを煽って俺はしばし押し黙る。
 そして、互いにしばらく沈黙してから俺が切り出した。
「じゃあ、お前はこの世界も潰すっていうのか?」
「この世界は行くところまで行ってしまっておるよ。例え全ての魔王の力を結集させたところで……武力で我らには最早どうにもできんじゃろう。この世界については、後はこの世界の住人が好きにすれば良いのじゃ」
 コーネリアは秋空のウロコ雲を遠い目で眺める。
「しかし、やはり、我は我の世界はこの結末にだけは導く訳にはいかぬ。今まで保留にしておったが……決心がついた」
「決心っつーと?」
 決意に満ちた表情でコーネリアは頷いた。
「帰ると同時にすぐに着手せねばならん。徹底的に文明を……破壊せねば」
「なあ、コーネリア? そろそろ帰ろうか?」
「連れて帰って良いのか? 我は世界を滅ぼすと……決めてしまったのじゃぞ?」
 ああ、と俺は頷いた。
 もとより、俺は世界を救う勇者様なんかじゃない。
 それは本職の連中でやってくれればそれで良い。
 けれど、コーネリアは俺の店の従業員だ。
 道を選ぶのはこいつだけど、店主としては教育的指導ということで道を示すことはできる。
「帰った後にさ……俺たちの店で飯を食っていかないか?」



 札幌市内での買い出しには結構な時間を食った。
 量が多くなったので、知り合いの貴金属店の店主に車を出してもらって何とか荷物の搬入を終えることができたっていう感じだ。
 黒のベンツを数台出してもらってので……やっぱり、ヤの字がつく自由業のつながりなんだろうな。
 まあ、それは良しとして、今回の買い物は多かった。
・蓄電器
・小型のソーラー発電パネル
・家電各種
 とにかく大量に色んなものを買ったので荷物は本当に多くなって大変だった。
「良し、こんなもんかな?」
 いつもの店内に、俺は掛けるタイプの大型テレビを店の壁に設置した。
 前々から店にはテレビを置きたかったんだよな。
 BGM代わりにもなるし、物珍しさもあってお客さんも喜ぶだろう。
「時にお前様よ、これはテレビ……じゃよな? こっちでは電波がなくて映らんと言っておったじゃないか?」
「ああ、DVDがあるから大丈夫だ。最後の飯の用意をするからちょっと待っててくれ」
 DVDをセットしてリモコンで操作する。
 良し、上手く設置できていたみたいだな。すぐに映像も流れだしてくれた。
「仕込みに時間がかかるから……ちゃんと見ておいてくれよな」
 そうして俺は厨房に向かった。

1月15日ころ書籍2巻発売です。ネット書店さんでも予約開始しているようです。
よろしくお願いします。
書籍用の書き下ろしエピソード【姫騎士とオーク】もありますのでお願いします。
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