意外な趣味
藤田麗花が転校してきて一週間が経った。一週間経ったところで彼女が人気者な事に変わりはなかった。
クールで綺麗な顔立ちのおかげで学院の生徒からは、もしも男子だったら絶対に彼氏にしたいというまでの人気っぷりだ。
「私には皆そんなこと言ったこと一回もないのに。」
「そりゃ、あんたの人気と藤田さんの人気はまた別物でしょ。」
「あーあ、本当にあの子が来てから毎日つまんない。」
「エミ、もういい加減そういう事言うのやめたら?」
ちーちゃんは呆れ気味だった。まぁ、確かにそろそろやめたほうがいいかもしれない。
日曜日、私はアニメイトに来ていた。何故ならば、最新刊のBLコミックスの発売日だから。しかも初回限定でオリジナル特別冊子が貰えるから。これは行くしかないでしょ。でも、私が腐女子だって事はちーちゃん以外誰も知らない。だって私は学院のアイドルだよ?こんなこと皆にバレちゃったら今よりももっと人気なくなっちゃう。私の名誉を傷つけないためにも絶対にバレないようにしなくちゃ。
「あれ?もしかして本田さん?」
どこかで聞き覚えがある声がした。後ろを振り返ったら、転校生の藤田麗花だった。
最悪だ。一応、バレないように適当な服装で学院ではコンタクトにしてるけど、今日は眼鏡にしたのに。
「…ひ、人違いです。」
「いや、本田さんだよね。」
もうおしまいだ。よりにもよってこの子にこんな姿見られるなんて。きっと明日には皆に言いふらすにきまってる。
「本田さんもこういうアニメとか興味あるんだ。」
「ちっ…違う!その…おっ弟に頼まれて…。」
「別に隠さなくてもいいじゃん。私も結構アニメ好きだし。」
「え?そうなの?」
話したことないから勝手に思い込んでいただけだけど、なんだか意外に感じた。
「本田さんがアニメ好きなら、これから話しやすくなるかも。ねぇ、どこかでお茶でもしない?」
クラスでは見せたことのない笑顔で麗花はエミを誘った。