絵本3
「あった!」
私は本棚の中に紛れていた絵本を引き出し、広げた。
その絵本はやはり、11ページ目から書かれていた。
鬼の前にかつて記憶を全て取り戻して消えたはずの仲間達が現れたのです。
鬼は戸惑いました。絶望し、消えていったはずの仲間が目の前にいたのですから。
しかし、鬼はこれは好機とばかりにかつての仲間達が記憶を取り戻さないように邪魔をするようになりました。
しかし、「助けたい」という、願いもむなしく彼らはまた全ての記憶を取り戻してしまいました。
鬼は全てを思い出した仲間達にあわせる顔がありませんでした。
自分の力が及ばなかったせいで、仲間たちを苦しめてしまった。そう考えたのです。
それから幾つもの年がながれ過ぎました。その間も鬼は記憶を全て取り戻さないように邪魔をしていました。来るもの来るもの全てが記憶を取り戻すことを諦め、ここで徘徊するようになりました。
鬼はそれを見てわからなくなりました。
「俺はなんのためにこんなことをしているのだろう?」
そんな考えが頭をよぎるようになっていきました。
しかし、今さらやめるわけにもいきません。
そのまま鬼は記憶を取り戻すことを邪魔し続けました。
その結果として鬼は心を無くしてしまったのです。
しばらくして鬼はまた彼らと会うことになりました。
絵本はここで終わっている。
「絵本の続きってどこにあるんだろう?」
一人で呟くがいくら考えてもわかるわけがない。
私は真の記憶の鍵を探している汐君の方に向かった。




