第二十話「憤怒の黒翼」
飛びかかる俺の剣を、十字に交差させたティルダの槍が食い止める。
キリキリと音を立てた槍は、俺の剣を押し込み跳ね返す。
しかしそれと同時に二本の槍は折れ、砕けていってしまった。
そして両手をびくりと開き、口を押さえて思い切りむせた。
たらりと指の間から溢れ出す真っ赤な血は、地面に落ちて広がっていく。
「……シンシアッ! そろそろ時間ですわっ、あの準備に入ってください!」
ティルダは横をちらりと見ると、槍を地面から引き抜いて俺へ投げつける。
それと同時にもう一本槍を引き抜き、魔力をその身にまとっていった。
ティルダの姿が真っ黒に染まり、そして点へと縮み消えていく。
その後には槍が一本残り、真っ直ぐに地面へと突き刺さる。
ゲルニカへと攻撃した時に使った魔法、ディメンショスピアと言ったか。
シンシアも使っていた、魔力の移動すら感じさせない瞬間移動。
実に達の悪い能力に、今だ攻略法すら見出だせていない。
どこから現れるのかわからない以上、多少のダメージは被る覚悟の上で向かわなくてはいけない。
苦笑いで頬を歪めながら、静まり返る周囲を見渡した。
本当に全く見当たらない、軽く舌打ちをして息を整えていく。
息を殺していくと、右斜め後方に微弱ながら魔力の揺らぎを感じる。
止めていた息を一気に吐き出し、足を一歩だけ前に踏み出す。
同時に身体を捻らせて、剣を後ろへと振った。
魔力の中から出てくるティルダに、大振りの一撃が襲いかかる。
「ぐぅっ、こんな簡単にバレてしまうなんてっ! だけど、ただじゃ終わりませんわよっ!」
ティルダは槍を剣へと叩きつけ、斬撃を受け止め跳ね返した。
そして追加で槍を地面から引き抜き、一回転をかけながら突きを放った。
炎が槍を絡め取ろうとするが、勢いの乗った一撃はそれを通り抜けた。
後ろに飛び退いたが、俺の脇腹に浅く突き刺さってしまう。
「がぁっ! だがこれでお前は逃げられないぜ!」
突き刺さった槍を掴み、身体を捻りながらぐっと手繰り寄せる。
それと同時に斬撃を放ち、ティルダを横に薙ぎ払う。
「まだよっ、ディメンションスピア発動!」
ティルダが叫ぶと、その姿は黒く魔力に包まれる。
剣は魔力を真っ二つに叩き割り、炎で跡形も残さず掻き消していった。
すると炎の中から槍が一本、カランと地面に落ちる。
「これは、ティルダの残していった槍、だが奴は槍を持っていなかったはずだが……」
俺は転がる槍を足で踏みつけて止めると、剣でぐりぐりとへし折る。
よく思い出していけば、今までにはおかしな点が複数あった。
最初にこの技を使った時に、槍を二本持っていたはずだが、一本しかその場に残っていなかった。
だがゲルニカの背後から現れた時には、既に槍を二本持っていた。
槍を破壊されるとシンシアがダメージを受けていたことも照らし合わせると、一つの考えが浮かんでくる。
それはあまりにも拙い勘にすぎなかったが、今できる事はこれだけだった。
「……よくわからねえが、これに賭けてやるか。ゲルニカ、自分の本体は焼くなよ?」
剣を地面と平行に構え、地面を横に蹴りながらその場で回転する。
そして剣を低く落としていき、近くにあった槍を薙ぎ払う。
ボキリと真っ二つに折れて、剣のまとう炎に飲まれていく槍。
炎は回転と同時に真っ直ぐに伸びて、周りにあった槍を次々にへし折っていった。
二回転する頃には俺の周囲にあった槍は、綺麗な円形に消え去っていた。
俺は回転を止め、再び気配を探り出そうとする。
すると俺の正面に見えていた槍の形が歪み、ティルダの姿を作り出した。
その直後、ティルダは口から血をボタボタと溢れさせ、地面に転がった。
「やはりな。自身の根本である魔力を槍の生成に使い、即座に本体を切り替えるとはな。それがこの瞬間移動、ディメンションスピアのトリック、魔物であり、なおかつ強大な能力を持つお前だからこそ使える技ってところか」
俺は剣先をティルダへと向け、力強く呟いた。
これで本当に終わり、この戦いを続けることはもう無理だ
だがティルダはそれでもこちらを睨み付け、地面に手を突いて起き上がる。
「ぐぁっ……まだ、まだ諦めないですわっ! わたくしを止めたければ、この命を止めてみることですわ!」
吐血で口を真っ赤に染め、虚ろな目でティルダは叫ぶ。
「お前も無駄死にはしたくないはずだ、もう終わりだ。これ以上は戦えない」
俺は静かに呟いて、ティルダに近づこうとする。
するとティルダは膝を突き、過呼吸になりながら地面を殴り付けた。
「命を賭けても駄目だった、ならば最後の手段を使ってやるっ! シンシア、来なさい!」
ティルダは天を見上げ、シンシアの名前を呼ぶ。
するとその横に、瞬間移動してきたシンシアが現れる。
「……ティルダ様、本当によろしいのですね? もし失敗すればティルダ様だけでなく……」
静かに問うシンシアは、目を閉じてその手に魔力の塊を作り出す。
「ええ、それぐらい百も承知ですわ。さあ、始めてくださいっ!」
ティルダがそう命じると、シンシアは魔力を俺へと向かい飛ばしてきた。
素早く進むその塊は、俺が叩き切ろうとする寸前でぴたりと止まった。
そして薄く広がっていくと、俺の周りを包み込み、視界を塞ぎこんでいった。
その直後に、魔力の横から、赤い光が一瞬輝くのが確認できた。
俺は魔力を切り裂き、その間を抜けてティルダを見る。
するとそこには再び地面に転がり、びくびくと震えるティルダの姿があった。
シンシアは俺の方を見ると、瞬間移動して消えていってしまった。
するとティルダの震えが止まり、ゆっくりとその場に立ち上がった。
そして黒い翼をその背中から生やし、荒い呼吸をする。
目の前の状況が理解できずにいると、後ろの扉を突き破りゴルトスが現れる。
「くぅっ、これは予想外のことになっちゃったわね……まさかティルダが血の月を使うなんて……」
ゴルトスの方から声が聞こえたかと思うと、その背中にマリンとレクスがまたがっていた。
そしてゴルトスが着陸すると、その背中から飛び降りて、深刻そうな様子でティルダを見る。
「この憤怒の力と戦うのは、丁度三百年ぶりとなるわねっ……あんな悲劇、もう二度と起こらせるわけにはいかないっ!」
マリンはノコギリを一振りして、赤い目を鈍く光らせる。
レクスも包帯をゆっくりとほどき、灰色の瞳でティルダを睨んだ。
それからは、ティーレが包帯を外した時に感じたのとよく似た、不気味な感覚を覚えた。
「どうやら、ゲルニカ君はもう魂魄変化を発動しちゃってるみたいね。とりあえずその身体は、ゴルトスに預けときなさい」
マリンがそう言って、親指でぐっとゴルトスの方を指し示した。
敵だったはずのゴルトスに預けるのは少し心配だったが、マリンが言うならば大丈夫だろう。
俺はゴルトスの元に駆け寄ると、とぐろを巻く尾の中にゲルニカを寝かせた。
その寝顔を見て、俺はマリン達とティルダを囲むように移動する。
そうしていると、ティルダが翼を素早く羽ばたかせる。
その瞬間魔力の波動が放たれ、吹き飛ばされそうになる。
俺は剣を地面に突き立て、吹き飛ばされないよう必死に踏ん張る。
波動が止んで俺達が立ち上がると、ティルダは口を割けるほどに開く。
「キャハハハハ、あなたがわたくしのことを嫌いになったのなら、もういいんだ!」
ティルダが不気味に笑いながら、腕を天へと突き上げる。
そして俺の方へ向いて、地面に手を勢いよく叩きつけた。
すると地面が割れて、魔力が吹き出してくる。
「ハルトっ! 早く避けなさい!」
マリンの叫びを聞いた瞬間、俺は横に数歩飛び出した。
その時、魔力の噴出は地面にひびを入れながら、こちらへ向かい直進してくる。
そして俺の横をギリギリ掠めて、通り抜けていった。
風圧が俺の頬を撫で、少し土煙をあげた。
「まだ油断しないで! もう一発、くるよっ!」
マリンの言葉に、ティルダの方を向くと、口を歪ませて噴出の上の方を指差していた。
魔力の飛沫が宙に浮かび、こちらへ向けて鋭く尖っていく。
「わたくしの怒り、思い知るがいいですわっ!」
ティルダが指をひゅっと下に振ると、魔力は俺へと向かい降り注ぐ。
隙間無い飛沫を前に、俺は避けるのは無理だと理解した。
進もうとする足をぐっと踏ん張らせ、飛沫を睨み付ける。
「ゲルニカ、薙ぎ払ってくれ!」
剣を振るい、炎で魔力を次々と絡め取っていく。
勢いを失った魔力が、燃え尽きながら真っ直ぐに落ちていく。
「なんで避けるんですの! あなたなんて一撃で死なせるのにぃ!」
ティルダはぎゃあぎゃあと叫びながら、こちらに向かい素早く駆けてくる。
そして瞬時に魔力で槍を作り上げ、俺の胸元へと突きを放とうとした。
「今まで以上の速度、だが速度だけならば、ライジラに比べればどうということはない!」
俺は槍を胸元に置いた剣で受け止め、そのまま横に払い受け流した。
するとティルダはにやりと笑い、急ブレーキをかける。
そして足で回転をかけて、俺の横っ腹に槍を突き立てる。
次の瞬間、ティルダの槍は撥ね飛び、真上に飛ばされた。
そこにはマリンがノコギリを上に振り、悲しそうな顔でティルダを見ていた。
「あんな地獄みたいなこと、絶対にさせないんだからねっ! 降参を……してくれないとは思うけど!」
マリンは素早く横に跳ねると、レクスの槍がそこに飛んでくる。
紙一重でマリンの頬を掠めた槍は、ティルダの腕へと突き刺さった。
「ぐうっ、このくらいでぇ、わたくしの怒りはおさまらないですわぁっ!」
ティルダは腕に刺さる槍を掴むと、乱暴に捻りながら抜き取る。
血が少し吹き出しはしたが、すぐに止まって傷口は塞がった。
そして槍を適当に放り、地面に落とした。
しかし槍は地面で一度跳ねると、ふわりと浮かび上がってレクスの手元へ戻っていく。
「うーん……元が魔物だったから、今まで以上に達が悪いわねぇ……」
マリンがレクスの方を向いて、顎を掻きながら呟いた。
それと同時に、マリンの周囲に冷気が発生し、白いもやを作り出していった。
「氷の魔法ですか。わたくしの動きを止めるつもりなのか……はたまた一撃で決めるための準備でしょうか?」
不敵に笑ったティルダは、ゆらりと身体を揺らして槍を作り出す。
そして地面を蹴り、マリンへと連続で突きを放った。
しかしマリンは微動だにせず、突きを全て受けてしまった。
するとティルダはぴたりと止まって、歯をギリギリと鳴らしはじめる。
「手応えが無いってどういうことですの!? 確実に貫いたはずじゃ?」
ティルダが悔しそうに顔を歪め、槍でマリンの姿を横に振り払った。
マリンはそこから霧のように散って、掻き消えていった。
「小さい氷の粒を使い、上手く屈折させて、あたしの姿を見せていただけよ。大きい塊ならイメージしやすいんだけど、小さいのは難しいのよねー」
ティルダの後ろから、細い目をしたマリンがすっと出てくる。
眉をぴくりと動かしたティルダは、後ろを向き薙ぎ払う。
しかしそれはマリンの胴体を突き抜け、空振りとなってしまった。
すっと消えていくマリンの姿に、再び驚き止まってしまうティルダ。
そしてその横から現れるマリン。
その手に持たれたノコギリは、ティルダの腕へと刺さり、赤い血を伝わせていた。
「これで決着ね。あなたの持っているその魔力、あたしが吸い取っ……なにこの魔力の量!? 今までの比じゃないっ!」
マリンがティルダからノコギリを抜き取り、素早く飛び下がる。
少し息を上げた彼女に、レクスが飛翔して近寄った。
「元が魔物だからか、あたしじゃ吸い切れない……これじゃ倒すしか方法がないじゃないの!」
「わたくしのこの怒り……皆殺しにしないと収まらないですわっ! さあどうしますの、戦いますか?」
ティルダが手に魔力を這わせ、指先をマリンへと向ける。
そしてにたりと笑い、魔力がざわめき出したとき、玉座の後ろの扉が開け放たれる。
そこには息を切らした王様が、一冊の本を抱えて立っていた。
「やめるんだティルダ! そんなこと誰も望むはずがないだろ!」
王様の叫びに、ティルダは腕を下ろして、にっこりと笑い振り向いた。
「まさか、やっと思い出していただけたのですか? ずっと待ってたのですよ?」
ティルダが明るい笑みで首を傾げると、王様はゆっくりと首を横に振った。
そして一歩、二歩と前に踏み出した。
「違うんだ、君の愛した者は、私では無く……」
その言葉にティルダの笑顔は消えて、煮えたぎるような怒りに染まっていく。
「……っうるさいですわ! 私のことを愛してくれたアクシア様はもういない、ならもういいですわっ!」
ティルダは王様の言葉を掻き消して叫ぶと、地面を殴り付ける。
地面から魔力が吹き出し、瓦礫を撥ね上げながら王様へと直進していく。
たちまち王様の姿は、砂煙の中に飲まれ、消えていった。
「くっ、都合はどんどん悪く進むかっ……ハルト! ティルダはあたし達が引き付けておく! さっさと王様を救出しに行きなさい!」
マリンが叫びながら、ノコギリでティルダへと切りかかる。
しかしティルダが素早く作り出した槍に防がれてしまう。
「早く行きなさい! このぐらいなら、あたしとレクスで何とかなるわっ!」
ノコギリに魔力が送られ、氷に包まれてゆく。
氷が槍まで伝わった瞬間、そこから真っ二つにへし折った。
それを見た俺は、すぐに弧を描きながら王様の元へ走り出した。
砂煙が消えると、そこには瓦礫が積み重なり、山となっていた。
「っ! 王様、どこですか! 無事なら返事をしてください!」
瓦礫をめくり上げて押し退けながら、周囲を見渡して叫ぶ。
するとその中の一部がもぞもぞと動き出し、隙間から手が伸びてくる。
「……この声はハルトか、私は大丈夫無傷だ。結界が遅れていたら、どうだったかわからないがな」
王様の声を聞き、俺はすぐにその近くまで駆け寄る。
「それではすぐに助けますから、少し待ってくださいね」
瓦礫の状態を見渡し、除去に移ろうとした。
すると王様は手を一度引っ込めて、そこから汚れた紙を差し出してくる。
「待てハルトよ、国王としてお前に頼みがある。この手紙を見てくれないか?」
王様は紙を俺の手に押し付け、無理矢理に受け取らせる。
俺は折り畳まれたその紙を広げ、掠れた文字を読み取ろうとする。
「何だ、汚れていて読みにくいが、差出人の名字はアクシア……つまり王族か?」
俺がその癖の強い文字を読み解くと、王様はうむと相づちを打つ。
「その通りだ、これは何代も前の王子である、今は国家反逆者として伝えられている……」
王様の唐突な発言に、俺は怪訝な表情で返す。
「本文はこうだ。ティルダ、皆を止められなくてごめん。封印されてしまって、苦しい思いをいっぱい受けてしまうかもしれない。きっと僕達を恨んで、憎むと思う。だけど僕が君を、絶対に助け出す。それが何年かかってしまうとしても。とのことだ」
悲しそうに話をする王様は、長いため息を吐き、真剣な目で俺を見る。
「つまり、その王子と勘違いされて、国民ごとさらわれたというわけですね」
剣を地面に突き立て、ちらりとティルダの方を見やる。
マリンと丁々発止の戦いを繰り広げる彼女の顔は、強い恨みと憎しみ、そして怒りで満ちていた。
歯をギリギリと食い縛り、歯茎からは血が滲み出ていた。
「ああ、そういうことになる……頼むティルダを、あの子を止めてやってくれ! 私にはよくわかる、彼がこんなことを望むはずがない! わがままなのは重々承知だ、頼む!」
王様は鼻声まじりだが、力強く叫んだ。
その真剣な声に押され、俺はティルダへと向いて、きっと睨んだ。
そして剣を床から抜き、息を細く吐き出しながら構える。
「わかりました。ティルダを止める、一つだけ方法が思い浮かびました。まあ、今までの旅に比べれば簡単ですよ!」
俺はそう叫んで自分を奮い立て、ティルダへと駆けていく。
そしてマリンと切り合う最中に飛び込んでいく。
「何ですのよっ! 今度は二人同時で邪魔をするつもりですのっ!? そんなことしても無駄ですのよ!」
ティルダは俺の斬撃を槍で素早く食い止め、身体を捻らせて受け流した。
しかしそこで俺はすぐにブレーキをかけて、勢いをつけて横に薙ぎ払う。
「ここから先は俺との一騎討ちだぜ! 無駄じゃないことを教えてやる! こんなことをして彼は喜ぶのか、よく考えてみろ!」
ティルダの羽根を切りつけ、そのまま力を入れて往復させる。
深く刻まれた傷口から血が吹き出し、俺の頬を濡らしていく。
それは彼女を退かせて、バランスを少し崩させた。
その隙にマリンへと目線で合図を送ると、軽く頷き後ろに下がっていった。
「ぐぅっ! あなたに何がわかるって言うんですの!? 彼を奪った人間の分際でぇっ!」
ティルダは安定しない足取りで、俺の顔に槍を突き出してくる。
「お前、わかってたんじゃなかったのか? 王様が彼じゃないってことを。彼を奪ったって言葉、それが証明だ!」
ひじを曲げて剣を手繰り寄せ、槍の進路を塞ぎ食い止める。
手首を捻らせ槍を弾くと、そのまま一度引かせ、振り抜こうとする。
それは槍に防がれたが、ティルダをさらに退かせた。
俺はそこで飛び上がり、剣を振り上げて槍を撥ね飛ばした。
くるくると宙で回転した槍は、玉座へと突き刺さった。
「あははっ! 自ら隙を作り出すとはね、こっちの勝ちよ!」
ティルダは手に魔力を固め、俺の腹に叩きつけようとしてきた。
その時、風を切る音が響き、ティルダとの間にレクスの槍が割り込んでくる。
それを回避しようとしたティルダは、手を引き下げて後ずさった。
するとティルダは何かに引っ掛かり、身体を後ろに倒していってしまう。
「なに、これっ!? 何で床が盛り上ってるんですのっ!」
ティルダは自らが作ってしまった、床の凹凸に足をかけてしまった。
羽ばたこうとしたが、傷ついた翼では上手く飛び立てない。
そのまま倒れ込み、地面に身体を叩きつけた。
「これで終わりだっ、魔弾撃!」
捻らせた身体を伸ばし、剣を真下に突き下ろす。
それが当たった瞬間、砂煙が巻き上がり、視界を真っ白に染め上げていった。




