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魔女のおばあさんととあるお化け  作者: キオ・ノアルド
9/13

冬のプレゼント 中編

「……すぅ……すぅ……」

【魔女のおばあさんは……あ、あそこだ。さて、この娘が寝ている間に、魔女のおばあさんのとこに行かないと】

 天から現れた、暗い青紫色をした扉から白い女の子を抱えながら現れたジャック・オ・ランタンは、地上の丘にいる魔女のおばあさん目掛けて、足元にある紅い光のすべり台に少女を抱えつつ、天から滑り降りてきました。

「なんだい? ジャック・オ・ランタンがこっちに来るみたいだねぇ。体当たりを受けないように、少し下がっていようか」

 魔女のおばあさんは、近くにある紅い光のすべり台から、少しだけ離れました。

今いた位置にいたら、滑り降りてくるジャック・オランタンとぶつかってしまうかも知れなかったからです。

 魔女のおばあさんが位置を離れてから少しして、眠っている女の子を抱えたジャック・オ・ランタンが魔女のおばあさんの前に滑り終えて来ました。

【魔女のおばあさん、久しぶり。元気にしてた?】

「ヒッヒッヒ。この寒いなか、お前さんを待っていたわたしゃあ、風邪をひきそうだった以外は、いつもどうりだったねぇ」

【それはごめんなさい。あとこの娘だけど、ボクが言っていたプレゼントだよ】

「ヒッヒッヒ。この女の子がプレゼントって、どっかから連れ去ってきたのかい? 親がいるんなら、親のもとへ連れ返すべきだよ?」

 ジャック・オ・ランタンのプレゼントは、白い髪の女の子でした。

しかし、女の子の事情を知らない魔女のおばあさんは、正論を持って返します。

【どこからか連れ去ってはいないよ。同意の上さ。

この娘は誰からも愛されていないんだ。

この娘を産んだ親も、病で亡くなってしまったし。

年寄りでもないかぎり、白い髪なんていうのは気味悪がれてしまうからね】

 ジャック・オランタンはさらりと、白い女の子の事情を言いました。

ただ、その内容は軽い口調とは裏腹に重さのあるものでしたが。

「……その娘にそんな事情があったんだねぇ。親も亡くし、白い髪ゆえに居場所すら無いなんて、ひどい話だねぇ……」

 少女の生い立ちを聞いた魔女のおばあさんは、哀れみを含んだ顔をしながら言いました。

【おばあさんが良かったらだけど、この娘の継母になってくれないかな? 

それだったら、この娘も喜ぶと思うし、おばあさんも独りきりの寂しさを感じなくてすむから】

「ヒッヒッヒ。わたしで良けりゃあ、この娘の継母になってあげようかねぇ」

 魔女のおばあさんは、女の子を引き取ることにしました。

「ああ、そうだ。この娘の名前はなんて言うんだい? 名前が無きゃあ、不便で仕方ないよ」

【そうだった、そうだった。この娘の名前は、ノエルというんだ】

「ノエルかい。良い名前だねぇ」

 ノエル――少女の名前――を知った魔女のおばあさんは、はにかむように笑いながら、今も寝息を立ててジャック・オ・ランタンの腕のなかで寝ているノエルの頭を撫でました。

「……んぅ……うにゅ……」

 魔女のおばあさんに頭を撫でられたノエルは、幸せそうな笑いをして寝ています。

【ところで、このままでもなんだし、魔女のおばあさんの家に戻らない? ノエルはボクが抱いているからさ】

「ヒッヒッヒ。そうだねぇ。早く帰って、冷えた身体に温かいスープで温めたいしねぇ」

 ジャック・オ・ランタンの提案で、三人は魔女のおばあさんの家に向かうことになりました――。

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