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魔女のおばあさんととあるお化け  作者: キオ・ノアルド
7/13

スープと手紙と約束

「んー、よく寝たねぇ。さて、ジャック・オ・ランタンの食べたものを片付けしないとねぇ……って、今年もやってくれたようだねぇ」

 朝が来て、目が覚めた魔女のおばあさんは、昨夜の片付けをしようテーブルのほうを見ました。

ですが、片付けしようにもできません。

なぜなら、ジャック・オ・ランタンが食べこぼれたお菓子の欠けらや粉砂糖、空になったお皿などを片付けてしまったからです。

「おやまぁ、美味しそうな匂いがすると思ったら、朝食も作ってくれたようだねぇ。嗅ぐだけでお腹が空いてくるよ」

 台所から漂ってきた美味しそうなスープの匂いを嗅いだ魔女のおばあさんは、自分のお腹がクゥと鳴るのを感じました。

「この匂いだと、ジャガイモと豆のスープかねぇ。寒い時には、身体があったまってくるから、わたしゃあ好きだねぇ」

 魔女のおばあさんが台所にある、湯気が出ている鍋を見ました。

「ヒッヒッヒ。やっぱり、ジャガイモと豆のスープだったよ。それにしても、わたしの寝てる間によくできたものだねぇ」

 魔女のおばあさんは、ジャック・オ・ランタンのやったことに感心しながら呟きました。

 魔女のおばあさんが寝ている間に、食べこぼしがあって汚れているテーブルをきれいにしたり、朝食の準備をしたりしているのです。

それも、物音で相手を起こさないようにしつつ。

「冷めないうちにスープをよそおうかねぇ」

 魔女のおばあさんはそう言うと、戸棚からスープ皿を取り出し始めました。

「おや? これはなんだろうね?」

 スープ皿を取り出そうとして、お皿を一枚取り出した魔女のおばあさんは、お皿の下敷きになっている、一通の手紙を見つけました。

「ジャック・オ・ランタンの仕業かねぇ。ヒッヒッヒ、まぁいいさ。スープを食べる前に読もうかねぇ」

 魔女のおばあさんは、ジャガイモと豆のスープをお皿に入れ、思い出したように木のスプーンを食器棚から取りにいきました。

スプーンが無ければ、スープは食べれませんから。

「どれどれ、なんて書いてあるんだろうねぇ」

 朝ご飯を食べる準備を終えた魔女のおばあさんは、ジャック・オ・ランタンからの手紙を読み始めました。

 手紙にこう書いてあります――。


【魔女のおばあさんへ。

今年も美味しいお菓子をありがとう。

あなたが毎年くれるお菓子のお礼のために、ボクはあなたにプレゼントをしようと思います。

ただ、そのプレゼントは『冬至の夕暮れ』の時間帯でしか渡せません。

その時間帯に森にある丘の上で待っていてもらえませんか?

寒さが厳しくなる日にごめんなさい。

その日をボクは楽しみにしています。

ジャック・オ・ランタンより】


「ヒッヒッヒ。昨日の約束を忘れないように書き残してくれたみたいだねぇ。これなら、手紙をなくさない限り、わたしゃあ忘れないから安心できるねぇ。さて、早くスープを食べないと冷めて美味しくなくなるから、食べるかねぇ」

 ジャック・オ・ランタンからの手紙を読み終えた魔女のおばあさんは、手紙を四つに折ってから、スープを食べ始めました――。


<終>

とりあえず、ここでハロウィン編は終了します。


次からプレゼント編です。

(クリスマスらしくないので……)

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