ハロウィンの夜の町
遅れましたが、ハロウィンものです。
昔々のお話し。
とある町で、子供たちが絵本に出てくるお化けたちの仮装をして、町を練り歩きながら大人たちにお菓子を貰う、ハロウィンというお祭りがありました。
「トリック・オア・トリート!」
子供たちはそう言って、大人からクッキーやキャラメルなどのお菓子を貰います。
ちなみに、「トリック・オア・トリート」とは[お菓子をくれなきゃイタズラするぞ]という意味です。
「トリック・オア・トリート!」
「はいはい、焼きたてのクッキーだよ」
「おじさん、ありがと!」
ワーウルフと呼ばれる狼男を模した可愛らしい声の男の子が、お礼を言います。
何かをしてもらったらお礼を言うのは大切なことですからね。
お祭りは子供たちが眠くなる、夜更けまで続きます。
夜更けまで起きていると、穴あきカボチャを被ったお化け――ジャック・オ・ランタンが、本物の怪物たちが住むお化けの国に連れて行ってしまうからです。
そして、お化けの国に連れて行かれたら、二度と大好きな家族のもとには戻れないとも言われています。
子供たちは大人たちにそう言われて育ったので、お母さんと離れ離れになってしまうお化けの国には行きたくありません。
だから、夜更けにはお家に帰って寝てしまいます。
大好きなお母さんとお父さんと、ずっといるために――。