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Soul World  作者: Hamlet
序章
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第1話

 ガチャ…………


「ただいまー」

 誰もいないとわかっていても、ついつい挨拶してしまうのは俺のクセだ。我が家自体に言っているつもりなのだが。

 家に入ってすぐ右にある自分の部屋にカバンを置き、ハンガーに制服をかけてトイレに猛ダッシュで向かう。

 トイレから出て、カバンから今日の課題を取り出してこたつ部屋へ持っていく。



(今日は家庭教師が来る日か……)

 今日は火曜日、7時にかてきょが来る日だ。だから早めに学校の課題及びかてきょじきじきの課題を終わらせておかなければならない。課題やりながらPCゲームをするか……いや、そうすると必ず6時までに終わらなくなってしまう。

 ならば速攻で課題を終わらせてしまおうか、よし! これだ。



 そうと決めた俺は10分で1ページ分の課題を終わらせた。

……………が、

(なんか……ねむいぞ……。)

 自分に甘い俺は課題の途中でよく寝てしまう。ゲームをやっていても寝ることがあるので極力寝ないようにしているのだが。



 開始7分頃から眠気が強くなってきた俺は、すぐにこたつに潜り込んだ。宿題は半分以上終わっているし、かてきょが帰ってからでもできるし、6時におきてやれば十分できる量だし……。


 だが、実際かてきょが帰ってからゲームやらテレビを見て最終的に10時頃になっていたり、6時に起きてもまだ眠気が強く、結果うとうとしてきてそこにかてきょが来てしまい、ようやく目が覚めるというのが通例だ。

 そうとわかっていても今日はやるぞやるぞと思いながら、だんだん眠気が増してきた。こたつの眠気を誘う力はとんでもないものである。



 俺はこたつの誘いに乗るように眠りに落ちていった。










「む……」

俺は目を覚ますとすぐさま起き上がって時計を見た。

「あれ? おかしいぞ……!?」


 俺が寝た時間は4時15分のはずだ、しかしその時計は4時30分をさしている。家族に起こされない限り最低でも1時間は寝るはずなのに、15分で目を覚ますのは揺さぶったりして起こされない限りありえない。

 寝つきが悪かった、というのも無理やりな定義になってしまう。

 

 まぁそれはそれとして、不思議なことに机の上に置いてあるはずの課題とパソコン、テレビ、携帯などがすべて消えていた。来ている服も、長袖の山吹色の服から灰色の半袖シャツにかわっていた。

 さらに絵が飾ってあるはずのところには、丸い形の時計がかわりに掛けてあったのだ。


 シンプルな丸時計はとんでもない時間をさしている。



「……12時5分!?」

 確かに短針は12を指している。長針はやはりしっかりと1を指している。これが事実だとしても、あれから20時間は寝ている計算になるぞ。外が明るいからおそらく正午だろう。


 さらに部屋に置いてあったものは、すべてが消えていて……かわりに、メモ用紙数枚と筆ペンのようなものが置いてあるだけだ。



 いまさらだが夢なのかもしれないと思い、頬をつねってみる。そうしたら痛くなかった。まったく、これっぽっちも。そこを圧迫されたような違和感がじりじりと残っているだけだ。


 だが夢にしては鮮明すぎる。とりあえず家の中を見回ろうとおもって立ち上がったその時――



 一人の女性が部屋に入ってきた。







 ここからこの世界での冒険は始まった。

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