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ありがとう…フェアリー・フェレット。

作者: りす君

この小説は、自分の中では正直言って自信作では無いのですが、それでもお読みになられましたら光栄です。


「ありがとう…フェアリー・フェレット…。」


僕がこのフェレットを飼い始めたのは、今から2年前ぐらいか。元々、僕の家にはペットのミドリガメ“亀きち”がいたんだけど、何だか寂しい感じだったので、気分を紛らすためにこのフェレットをペットショップで見つけ、即購入に至ったのだ。

最初、フェレットと聞いたときは一発でピンと来なかったが、実物を見てみると、なぁーんだ(イタチ)みたいだと感じた。その愛らしい仕草と、ハムスターと同じぐらいの飼いやすさに感動してしまった僕は、そのフェレットに亀きちと同様に優しく、愛情をもって接した。…だけど、フェレットとの生活はそう長くは続かなかった…。


ある日の夜、僕がバイトから帰ってきてふとゲージを覗くと、何と…フェレットはゲージの中からいなくなっていた。

僕は突然の事で気が動転して、慌てて部屋中を探し回ったあげく、ある答えに到達する。まさか…昨日、壁を傷付けた事を本気で怒ってしまったから逃げ出してしまったのかなぁと思い、急いで外に探しに出掛けた。家から数分の所に大きなバイパスがあるので、一段と不安が立ち込めていた…。そして探しに出掛けた数分後、その不安な予感が的中した…。


僕が必死にフェレットを探しているとバイパスの方で声がしているので向かうと、バイパス真ん中で、小さな物体が横たわっているのが見えた。

緑の鈴が付いた青い首輪…間違いない、僕のフェレットだ…そう直感した。

事故現場に、野次馬として見に来ていた近所の人達が続々と、

「車にひかれたんだわ…、可哀想に…。」

「きっと、あの子の家のペットだわ。」

「えぇーと、ふぇ…フェ何とかだったっけ?鼬みたいな奴。」

と言っているのが聴こえ、掴み掛って怒鳴ろうとしたがあまりの突然の悲劇で声が出なく、身体が動かなかった…。あれから数時間が絶ち、野次馬がいなくなった頃僕はやっと正気になり、急いでひかれて動かなくなっていた僕のフェレットに近寄り、優しくそっと、腕の中に抱き上げた…。

せめて安全な場所へ埋めてやろうと急いでバイパスから離れようとしたが、その途中で僕は暗闇から来る眩しい光に覆われて、衝撃と共に身体が宙に浮き、そして地面に叩き付けられた…。


大型トラックに跳ねられた僕は2週間、生と死の間をさ迷っていた。

僕が、大きな花園を流れる川を舟で渡ろうとすると足下にあのフェレットがいて、ソイツは僕の足を必死に噛みつき、怯んだ隙にその舟に乗って、一回こっちを振り向き口元を動かした末に、向こうに見える楽園に行ってしまった。

まるで僕に、“まだ、死んではいけなません。どうか自分の変わりに生きて下さい。さっきは勝手に出ていってごめんなさい。”と、言っているかのようだった…。僕はそこで意識が遠のき、目の前が真っ暗になった…。


気が付くと、周りに家族の心配した顔が映っていた。母親は、僕が目を覚ますと父親に寄りかかりオイオイと泣いていた。

僕は、“フェレットは…フェレットはあの後どうなったんだ?”と必死に問いかけると母親は静かに首を横に振り、僕が跳ねられた時には、僕の腕の中に優しく包み込まれて、幸せそうな顔をして亡くなっていたよと言われた。

その後、実家の方にフェレットの墓を建て、お参りにくる度に僕はこの言葉を必ず言う。


「ありがとう…、フェアリー・フェレット。」

お読み下さりありがとうございました。この小説の評価をよろしければ是非、お願い致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] ストーリー内容は、感動的で好みです。 ただ、話が短かったので、今ひとつ感動するまでには至りませんでした。^^; フェレットと主人公の仲の良さや、主人公がすごくフェレットを可愛がっていた様子が…
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