センセイ
今日は離任式
大好きな先生とお別れの日──
私はずっと数学が苦手だった。
公式は全然覚えられないし問題文を読むだけで頭が痛くなる。
私とは絶対相性が悪いのだ。
そんな私に数学の楽しさを教えてくれた先生がいた。
自分でも信じられないけど
あんなに大嫌いだった数学が大好きになってしまった。
先生に見てもらいたくて褒めてもらいたくて
お昼休みは難しい問題集を持って先生のところに通うようになった。
必死に必死にがんばった。
学年トップにもなった。
先生ちゃんと見てくれてるかな。
3月は教職員の移動がある。
私は、先生が移動になるなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。
だから新聞で先生の名前を見つけた時は
本当に信じられなくて何度も何度も見返した。
うそだ。先生がいなくなるなんて。絶対にうそだ。
その日の夜
私は思いっきり泣き腫らした。
離任式当日
式が終わった後、私は職員室の前でうろうろしていた。
先生に何か伝えたいけど……
どうしよう
どうしよう
突然ドアがガラッと開く。
先生だ。
私が固まっていると
先生はにっこり笑って手を差し出し
握手をした。
先生の手は優しくて大きくて温かかった。
私は泣きそうだったけど必死にこらえた。
大好きな先生
めいっぱいの感謝を込めて
ありがとう




