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【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます  作者: なみゆき


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(中身アラフィフ、外見7歳もうすぐ8歳になる予定)

皆の緊張伝わってきたころ、そのとき、視線の先にいたのが

――王太子レオン・アストリアだった。


金髪に青い瞳。王族らしい気品を漂わせながらも、どこか不安げな笑顔を浮かべていた。背筋を伸ばし、肩に力を入れて、精一杯「王子らしく」振る舞おうとしている。 でも、目の奥には緊張と不安が滲んでいた。


(ああ…無理して笑ってる。私もそうだった。前世では、嫌な仕事を押し付けられても、笑顔を作って乗り切ってた。誰にも頼れなかったから)


その姿が、七五三でスーツを着て背伸びしていた甥っ子と重なって、つい“親戚のおばちゃん目線”で見守ってしまった。 すると、レオンが見つめられていると勘違いして、ちらりと私を見て、顔を赤くした。


(え、なにその反応…かわいすぎる)


そして事件は起きた。


レオンが、うっかり紅茶のカップを倒してしまったのだ。


(ああ…やっちゃった。本人、きっと真っ青になってる)


周囲がざわつく中、私はすぐに立ち上がり、ナプキンを手に取り、笑顔で言った。


「大丈夫ですよ。紅茶の香りが広がって、春の風と混じっていい匂いですね」


その一言で、空気がふっと緩んだ。子供たちもつられて笑ってくれて、レオンの顔も少しほころんだ。


(こういう時は、誰かを責めるより、周囲を褒めるのが一番。前世で学んだ処世術。でも、あの頃は余裕がなくて、なかなか使えなかった)


茶会のあと、レオンがそっと私のもとに来て、震える声で言ってくれた。


「僕、自分のミスがすごく恥ずかしくて…お礼を言えなくて…」


(ああもう…そんなふうに素直に謝れるなんて、いい子すぎる。泣きそう)


「お礼を言ってくださるなんて、殿下は素敵な方ですね。今日のお茶会にお招きいただきありがとうございます」


社会人としてのマナーを身につけている私には造作もないことだったけれど、彼は、同年代の女の子に母親のように褒められたのがよほどうれしかったのか、本日2回目、顔を赤くした。


それがきっかけとなり、お茶会後もレオンは“そろばんの勉強”を口実に、我が家にちょくちょく顔を出すようになった。


最初は「ご挨拶に参りました」と言っていたのに、だんだん「今日はセレナ嬢に会いに来た」と素直になってきて。


「セレナ嬢、そろばんの練習問題しないか?」


「セレナ嬢、今度一緒に紅茶飲みたいな」


(もうね、かわいくてかわいくて…お菓子、毎回用意しちゃうのよ)


最初は“王子としての礼儀”を守ろうとしていた彼も、次第に“子供らしい素直さ”が顔を覗かせるようになった。ある日、帰り際にぽつりと言った。


「セレナ嬢、僕たち…学園に入ったら、友達になってくれる?」


「え?もう友達じゃないのですか?」


そのやりとりに、私は思わず笑ってしまった。 言葉づかいに気をつけながらも、心はまっすぐなんだもの。


「…僕のことはレオンと呼んでほしい」


「では、レオン様、私のことはセレナとお呼びください」


その瞬間、彼の顔がぱあっと明るくなった。もう“無理して作った王子の顔”じゃない。


信頼と安心の中で生まれた、等身大の少年の笑顔だった。


(この子、ほんとに守ってあげたくなる。おばちゃん、全力で味方するからね)

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