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(中身アラフィフ、外見15歳)
レオンとイザベラの婚約も、レオン有責で破棄寸前だった。
でも、イザベラの一言で保留。ただし、婚姻までの婚約期間を延長することに。
「レオン様が間違ったのは、ミレーヌに惑わされたから。 昔のレオン様を知っているからこそ、もう一度信じてみたいと思います」
(イザベラこそ、“聖女”だった。 私なら 「はい、喜んで、破棄!」 って即答してたわ)
婚約期間が延びたおかげで、イザベラは妃教育をゆっくり進められ、学園にも復帰。
(学園の空気、やっと“聖女フィルター”が外れて呼吸できるようになったわ)
ミレーヌに傾いていくレオンを止めなかったグレイとカイル。
責任を問われ、側近任を解任される。
ミレーヌの断罪から後日後、あの場にいなかったグレイとカイルを学園の裏庭を呼び出した。
私は、二人に静かに言った。
「私のこと、まだ友達として信用できるなら――飲んで」
(ええ、“友情テスト”ってやつよ。前世なら“LINEグループ抜けるかどうか”レベルのやつ)
彼らは一瞬戸惑ったけど、黙って薬を受け取り、一気に飲み干した。
しばらくして、肩の力が抜けたように見えた。
そして――怒涛の嘔吐。とめどなく出てくる。
(あの勢い、もはや“胃袋の大掃除”。 裏庭にしたけど…… 掃除の人、ごめん)
泣きながら言った彼らの言葉は、忘れられない。
「……ミレーヌの声が、頭の中から消えた」
「なんで、あんなに彼女の言葉が心に残ってたんだろう……」
「セレナ、今まで、ごめんね」
「師匠、ありがとう。また一緒に……」
(ようやく“自分”に戻った顔だった。 あの瞬間、観察者としての使命が報われた気がしたわ)
エドワルドには、あえて解毒薬を渡さなかった。
私との婚約破棄のあとも、愛しのミレーヌを思い出して鬱になってるらしい。
ある意味、中毒者であり、依存症。自業自得。
(自分で選んだ幻想に溺れてるなら、それもまた罰。 人の人生を踏みにじっておいて、今さら“被害者ヅラ”なんて笑わせないで)
(“聖女様が好きだっただけ”って? その“だけ”で私の人生を壊そうとしたんだから、せめて一生後悔してなさい)
(薬を渡さなかったのは慈悲じゃないわ。 せめてもの“お返し”よ。 幻想の中でミレーヌの幻影にすがって、勝手に沈んでいけばいい)
父も王宮勤めのため、後日、王妃様の指示で、ミレーヌの魔力を抜くための薬が全員に渡されたらしい。
薬の入った水を飲んだが
――父は、まったく吐かなかったそうだ。
(それがちょっと嬉しかった。私からミレーヌとエドワルドの話は、特に細かくしていないけど―― 父は洗脳されておらず、ずっと私の味方だったんだなって)
でも――婚約破棄を我が家から言い出せなかったのは、やっぱり父に対して減点。
(前世でもいたわ、“部下には強くて、上には逆らえない”中間管理職。父、愛はあるけどヘタレ認定)
― 記録補足:断罪の儀式と解毒の記録(完) ―
・ミレーヌ:
精神干渉の魔力を使用。断罪の場で暴言・マウント発言を連発
・魔力の正体:
中毒性のある魔力。手を通じて流し、人を支配
・解毒薬:リュシアン製。水に混入。空調操作で喉の渇きを誘発。副作用=吐き気
・結果:王宮中が嘔吐の嵐。魔力の影響が明確に
・王妃の判断:記録を再生し、真実を突きつける
・王命:ミレーヌは神殿に生涯幽閉
・私の婚約:エドワルドの有責で破棄。慰謝料ゲット
・レオンとイザベラ:婚約は保留。妃教育延長。イザベラの学園通学再開
・グレイ・カイル:側近任を外される。後日薬を服用し、魔力から解放
・エドワルド:薬は渡さず。幻想に溺れたまま鬱状態。放置
・父:吐かなかったが、婚約破棄を交渉しなかった点は減点。単なるヘタレ
・私:副作用を誰にも知らせなかったのは、私なりの復讐
ペンを置いたとき、私は確かに“終わった”ことを感じていた。
けれど、それは始まりでもある。
記録は、誰かを守る盾にもなる。
そして、誰かの仮面を剥がす刃にもなる。
(この記録が、誰かの未来を守った。 それだけで、アラフィフおばちゃんは満足よ)
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