37
(中身アラフィフ、外見15歳)
王妃の私室に集まったのは、王妃、イザベラ、そして私。 リュシアンは王宮には来なかったけれど、通信機越しに魔力の揺れを監視しながら会話に参加していた。
(裏方に徹するその姿勢、ほんと好感度高いわ。前世の男たちに見せてやりたい。)
私のノートはすでに60冊を突破。
魔力波形、発言、侍女たちの証言
―― もはや“聖女観察大全”。初版出せるレベル。
イザベラも忙しい中で、王宮内の様子を記録し続けてくれていた。
彼女のノートは、私のよりも簡潔で鋭い。
(さすが王妃教育を受けてるだけあるわ。字も綺麗で余白の使い方がプロ。私のは追記と赤ペンだらけでカオス)
イザベラのノートの一節に、私は目を留めた。
「ミレーヌと手を繋いだ後、頭がぼんやりして、彼女の言葉がやけに心に残った」
「その後、彼女に会いたくて仕方なくなった。 おかしいと思ったのに、止められなかった」
(……それ、恋じゃなくて“依存”よ。 しかも魔力付き。危険ドラッグか)
リュシアンに通信で伝えると、彼はしばらく黙ってから一言。
「……なるほど。魔力の中毒作用かもしれません。 もしよければ、イザベラ様のノートをお借りできませんか?」
◇◇◇
私はイザベラのノートを王宮から持ち帰り、リュシアンとともに記録を読み漁った。
そして、リュシアンが「もしかして」と言って開いた一冊の古書。
そこに記されていたのは
―― 200年前、魔女として火あぶりにされた女性の記録だった。
ー手を通じて魔力を流し、人々の心を操った
ー触れた者は彼女に執着し、理性を失った
ー周囲の人間関係を崩壊させ、王宮を混乱に陥れた
⁂ただし、魔力の量には限りがあり、それを使い切れば二度と使えなくなる
(……一致しすぎてて笑えない。ていうか、 まさかの火あぶり案件)
ミレーヌの魔力は、まるでアルコールのようだった。
・一度触れれば、言葉が甘く響く
・二度触れれば、笑顔が神々しく見える
・三度目には、もう彼女なしでは生きられない
(それ、恋じゃなくて“依存症”。 しかもほぼ男子限定。 女子には節約モード。 でもそれが魔力の量に限りがあるから、効率的に使っていたのかも?)
ミレーヌに心酔した人々の行動は――
・貢物を差し出し
・宝飾品を贈り
・剣の修行も勉強も放り出して
・ミレーヌの買い物とカフェ巡りに付き添う
(全員怪しい笑顔。 とろとろにニヤけた顔。 こわい)
王様は、ミレーヌを「国の希望」「宝」と呼び、王族に迎え入れるべきだと主張。
王妃とイザベラは、イザベラの正妃の座を守るために、孤独な戦いを続けていた。
そして、私たちの記録は
―― 十分に証拠として使える量に達した。
ようやく、動けるときがきた。
◇◇◇
断罪の場で使うのは、リュシアンが作った“解毒魔法薬”
―― ミレーヌの魔力中毒を解除するための切り札。
(ついに来たわ。“聖女スマイル”に効く特効薬。効能:目が覚める)
ミレーヌみたいな女、前世でもいた。たった一言で男を操る天才。
・男には媚びる
・女には陰でマウント
・周囲を揉めさせて、噂を“真実”に変える
(職場、学校、親戚の集まり――どこにでもいた。 しかもなぜか“聖女”みたいな顔して、ちやほやされる)
でも私は知ってる。
そういう人間は、証拠を突きつけられると弱い。
ー論破されると黙る
ー言い訳が通じなくなると泣く、もしくは逆ギレして怒鳴る
(さて、ミレーヌはどっちのタイプかしら?泣き落とし?それとも“聖女の逆鱗”発動?)
ー記録補足:魔力の正体と断罪準備
・魔力の性質:
手を通じて流れる中毒性魔力。男子中心に使用。女子には節約
・歴史的一致:
200年前の魔女と行動が酷似。火あぶりの記録と照合済み
・ミレーヌの影響:
臣下・王族・側近を篭絡。王宮の秩序を崩壊寸前に
・解毒薬:
リュシアン製。断罪の場に持参予定
・私の心情:
前世で出会った“魔女型人間”への静かな復讐。
記録は武器になる。
ペンを置いたとき、私は確かに“核心”に触れたことを感じていた。
次は、断罪の場。
記録と薬で、ミレーヌの正体を――みんなに知らしめる。
(この記録が、誰かの未来を守る。 それだけで、私は十分よ。 アラフィフおばちゃん、まだまだ現役)
お読みいただきありがとうございます。
よろしければ、下の☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると大変励みになります。




