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(中身アラフィフ、外見15歳)
私のミレーヌ観察ノートは、すでに50冊を超えていた。
魔力波形、言葉の選び方、周囲の反応
―― “聖女”としての振る舞いを、私はできうる限り記録してきた。
(前世では日報と介護記録しか書いてなかったけど、今世では“聖女の嘘”を記録中。趣味:暴くこと)
けれど、学園ではその証拠を使う場がない。
ミレーヌを断罪する権限がある人がいない。
せいぜい学園を退学するくらいで、本性を明らかにすることはできない。
学園では、教師も生徒も、彼女の言葉に酔い、笑顔で従う。
(ここ、教育機関じゃなくて“聖女教団”よ。校章がミレーヌの手相になっても驚かない)
私の記録を見せれば、きっと“嫉妬”として片付けられる。
証拠ではなく、感情として処理されてしまう。
(前世でもあったわ。“事実”を言ったら“感情的”って言われるやつ。あれ、ほんとに腹立つ)
王様はミレーヌを「国の希望」と呼び、 神殿は彼女の言葉を“神託”として扱う。
侍女たちは手相を求めて列をなし、 側近たちも未来予言に心を動かされている。
(手相って、そんなに万能だったっけ?性格、結婚相手の容姿、条件、そんなのわかった?)
王妃は冷静。イザベラは毅然。
でも空気は確実にミレーヌの為の世界に変わっていた。
(このままじゃ、王宮も“聖女のテーマパーク”になるわよ。入場料:聖女心酔)
私はノートの整理を始めた。
魔力波形の異常値、精神干渉の兆候、侍女たちの証言、 ミレーヌのマウント発言と魔力の揺れ。
(”聖女の言葉”って、もはや魔力付きのマウント兵器)
リュシアンは記録装置の調整を続けていた。
「セレナさん、音声と映像の同期が安定しました。これで、彼女の"行動すべて "が証拠になります」
「ありがとう。これで、やっと彼女の本性を暴ける」
(前世では、録音機すら買えなかったけど、今世では魔力で録音・録画。一気に前世と同レベルに文明、進化しすぎ)
◇◇◇
ミレーヌは学園の中庭で“未来の祝福”を複数の生徒に語っていた。
「あなたの未来は、素敵な男性と結婚するわ」
(素敵な男性って、誰基準?“聖女が素敵って言ったら素敵”って、どこの独裁?)
「王宮での役目が、きっと与えられます」
(王宮って言っても、掃除から書記まであるけど?“役目”って便利な言葉ね)
「私が見えたのは、あなたは、立派なお相手 に選ばれる」
(“立派な”って何よ。曖昧すぎて、言い逃れのプロ)
ミレーヌから話を聞いていた、周囲女生徒は、涙を浮かべていた。
記録装置はかすかに動いた。魔力波形は、明らかに“干渉”の兆候。ただ男性に比べてその値は小さい。
私の心は冷静じゃなかった。 集計しながらもミレーヌの言葉に、ツッコミが止まらない。
そして、相変わらず、エドワルドは、私とは国交断絶したようで、お茶会にすら呼ばない。 定期的な面会の申し入れもなし。
なのに、学園ではこう吹聴していた。
「セレナからは、今月も…何も…声をかけられていない。…事情は、察してくれ」
(察するも何も、あんたが“体調不良”って言って約束キャンセルしたんでしょ。前世の“仕事押し付け後輩”と同じムーブ)
学園の話題は、ミレーヌ中心。
彼女の好み
彼女の笑顔
彼女の“未来予言”
婚約破棄された女子たちは嘲笑の的となり、次々と学園を去っていった。
(“聖女スマイル”の裏で、ミレーヌのお告げにより、婚約破棄された女生徒が消えていく。これ、ホラーでしょ?)
でも、誰も気にしない。 ミレーヌが笑えば、それでいい。 彼女の都合が、すべてを決める。
王宮では、ミレーヌをレオンの正妃に推す声が日に日に高まっていた。
イザベラは側妃に格下げされる話が出ている。 王妃だけが、なんとかそれを止めている。
男性の臣下たちは皆、ミレーヌを“ふさわしい”と口を揃える。
(“ふさわしい”って言えば、なんの努力もなく王族になれるの?)
臣下たちはこぞってミレーヌに贈り物をし、レオンはドレスと宝飾品を贈り、まるでレオンの婚約者扱い。
グレイとカイルは剣の修行も勉強も放り出して、買い物とカフェ巡りに付き添いばかりに性を出してる。
エドワルドはもう、彼女なしでは行きられない中毒者。どこに行くにも彼女と一緒。
(“聖女の荷物持ち隊”に成り下がったわね)
ー記録補足:聖女の仮面、崩れ始める
・ミレーヌ:手相による精神干渉、侮辱発言、学園支配の加速
・学園の空気:教師も生徒も沈黙。教育機関としての機能停止
・王宮の状況:王妃が抵抗中。王様と臣下はミレーヌを正妃候補として推す
・側近たち:レオンから宝飾品、グレイ・カイルは訓練放棄し街歩きに同行
・エドワルド:婚約破棄の有責を私に押し付けるため、証拠を捏造中
・父:愛情深いが、上に逆らえない。前世の無能管理職と重なるが、愛情があるため歯がゆい
・ミレーヌの態度:状況を楽しみ、私とイザベラを貶める構図に満足している
ペンを置いたとき、私は確かに“怒り”を感じていた。
(この世界の歪みを、早く正さなければいけない。前世アラフィフの理不尽な怒り、今世で抑えきれずに爆発目前)
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