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【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます  作者: なみゆき


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(中身アラフィフ、外見14歳)

 ミレーヌの影響力は、私が想像していたよりはるかに強い。

けれど、情報はそれ以上に強い。

前世の私は、情報を持っていても、何も言えず、できず、誰かに都合よく使われるだけだった。


「黙っててくれるよね?」

「あなた暇でしょ?」

「あなたなら我慢できるでしょ?」

「あなたなら出来るでしょう?」


(ええ、我慢したわよ。何度も。でも今世は違うの。おばちゃん、記録してるから。証拠あるから。しかも“魔力波形付き”のガチ資料よ。グラフ付きで提出可能)


ミレーヌの魔力反応、男子たちの態度変化、婚約破棄の傾向、王宮の空気。

そして、自分の気持ちも、悔しさも、孤独も、怒りも――全部ノートに残している。



◇◇◇


 通信装置器の試作機が、ついに動いた。 リュシアンが設計した魔力通信装置は、音声を魔力に変換し、遠隔地へ送ることができる。 まだ不安定ではあるが、短距離での送受信は成功。


(ついにここまで来たわ…前世では“電波悪くて聞こえない”って言ってたのに、今世は“魔力が乱れて波形が揺れてる”よ。進化なのか退化なのか、もうわかんない)


試験運用として、私は学園内での会話を記録することにした。 ブローチ型の通信補助装置を制服の襟元につけ、ミレーヌの周囲を“偶然”装って歩く。


(ええ、偶然よ。偶然という名の計画的接近。観察者の基本)


彼女は、いつものようにレオンと並んで座り、手相を見ながら囁いていた。


「レオンの運命線、やはり王になるべき姿が私にははっきり見えます。未来が輝いています」


(またそれ…何度目よ。“未来が輝いてます”って、もはや口癖? それとも呪いの呪文? あの子、語彙力を“未来”に全振りしてるの?)


すれ違いざまにペンダントに触れ、魔力検知計測計器を作動。

魔力反応は2.4倍。

音声は微かに記録された。

けれど、問題はその“言葉”ではなかった。


その瞬間、ミレーヌがレオンの手を握った。 ほんの一瞬、レオンの瞳が揺れた。


(…瞳が揺れてる。そして波形も。通常の魅了系とは違う。ていうか、あの手の握り方、完全に“モテ本仕込み”でしょ。恋愛じゃなくてテクニック)



魔力検知計測器が記録した波形は、微細な“干渉”を示していた。

精神領域に触れるような、深層への影響。

けれど、それは一瞬で消えた。

まるで、ミレーヌが意図的に“隠した”ように。


(あの子、魔力の使い方が“恋愛”じゃなくて“心理操作”。もはや“聖女”じゃなくて“ハニートラップ仕掛けるスパイ”よ)



◇◇◇


 その日の放課後、私はリュシアンの家を訪れた。 地下室には、通信装置の記録が転写された魔力石板が並んでいた。


「リュシアン、この波形…見て」


彼は石板を手に取り、魔力の流れを解析した。


「…これは、精神干渉の兆候ですね。でも、すぐに消えている。けれど、何かが蓄積されているような感じで、得体が知れません」


「そう。ミレーヌは、意図的に何かをしているみたい。だから、何も見えなかった」


「通信装置では、音と波形しか記録できませんからね。視覚的な情報がないと、何が起きたかは断定できません」


私はノートを見つめながら言った。


「じゃあ…映像を記録できる装置を作れない?」


リュシアンは目を見開いた。


「映像…ですか?」


「前世では、“録画”っていう技術があったの。映像を記録して、後から再生できる。もしそれが魔法でできたら、ミレーヌが何をしてるか“見える”ようになる」


(ええ、見たいのよ。あの“聖女スマイル”の裏側を。あの子、笑顔の中に“魔力の針”仕込んでるから)


彼はしばらく沈黙した後、静かにうなずいた。


「魔力の流れを視覚化する術式はあります。問題は、それを記録する媒体ですね。魔力石板では、波形しか残せません」


「じゃあ、記録できる新しい石板を作るしかないの?」


「…やってみます。セレナさんの記録がここまで来たなら、僕も次の段階に進みたいです」


私は、ノートの新しい章にこう記した。

ー開発提案:魔力録音記録装置(仮称)ー

・目的:ミレーヌの行動を音声として記録し、精神干渉の証拠を得る

・概念:前世の“録音”技術を魔力で再現

・協力者:リュシアン(術式設計・記録媒体開発)

・応用可能性:王妃への提出資料、王宮での証拠提示、学園内での監視

・現状:通信装置による音声・波形記録は成功。録音記録は未着手


リュシアンは設計図を描き始めた。

魔力の流れを“音声化”するための術式。記録媒体として使える新しい鉱石の選定。


そして、装置の形状――ペンダント型ではなく、ブローチ型にする案が出た。


「ブローチなら、視線の方向に合わせて記録できます。セレナさんが見ているものを、そのまま記録できます」


「それなら、ミレーヌが何をしてるか、私の目線で残せるわね」


「ただし、魔力の消費が激しいです。長時間の記録は難しいかもしれません」


「それでもいい。決定的な瞬間さえ残せれば、それが証拠になる」


私は、ノートに小さく書き加えた。


「決定的な証拠は、見えない場所にある。だから、見えるようにする」


その夜、私は装置の完成を願いながら、ノートを閉じた。


(次は、映像。ミレーヌの仮面を、目で暴く。ええ、“未来が輝いてます♡”の裏にある“真実が黒光りしてます”を、しっかり記録してやる)


(ミレーヌの“聖女スマイル”は、魔力で男子を魅了するけど、私のノートは“真実”で仮面を剥がすのよ。さあ、次はどの仮面が落ちるかしら。エドワルド? それとも“未来が輝いてます♡”の中身?)


お読みいただきありがとうございます。

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